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2017.11.24
カンガルーの本棚 大きな未来へ
椰月美智子さんの「その青の、その先の、」(幻冬舎文庫)を、読みました。
主人公まひるは、高校2年生の女の子、
なかよし4人組と、平凡な毎日を過ぎしています。
彼との出会い、そして彼の事故をきっかけに、
まひるは、 強くなろうと決心します。
「その青のその先に、力強く手を伸ばす。
その先に広がっている、大きな未来に向かって」
小説の最後の2行から、作者の青春への力強い応援歌が聞こえてきます。
がんばれ、まひる
いろんなことがあっても、人生っていいもんだからね。
2017年11月24日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.11.09
カンガルーの本棚 カフーってなに?
原田マハさんの「カフーを待ちわびて」(宝島社文庫)を、読みました。
舞台は太陽の光が降りそそぐ沖縄
そこで暮らす青年と、イヌとの物語。
突然現れた女性が、青年の生活と心を変えていきます。
やがて明らかになる、哀しい過去。
愛し合いながらの すれ違い
カフーとは、なになのか、
うまくいきますようにと、主人公を応援したくなるラストです。
「日本ラブストーリー大賞」に輝く、原田マハさんのデビュー作品です。
2017年11月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.11.07
カンガルーの本棚 3組の母娘
原田マハさんの「永遠をさがしに」(河出文庫)を、読みました。
主人公は、15歳の女子高生
母は突然いなくなり、
世界的な指揮者の父との二人暮らし
そこに突然現れた、新しい母
物語は15才の女の子の心を激しく揺さぶりながら 進みます。
やがて明らかになる 3組の母娘の秘密
明日へと羽ばたくその日のために、永遠をさがしに生きていきます。
お休みの日の朝、読書の喜びを満喫させてくれる1冊です。
2017年11月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.11.05
カンガルーの本棚 ほのかなしあわせ
原田マハさんの「星がひとつほしいとの祈り」(実業之日本社文庫)を、読みました。
女性を主人公とした、7つの短い物語集
どれも感涙ものですが、斉唱、長良川の2編は心に残ります。
つらい日々の中に、わずかにみいだす希望の灯
しあわせは日々のふとした風景の中にあるのだなと、教えられる一冊です。
2017年11月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.10.26
カンガルーの本棚 生きてきた足取り
湊かなえさんの「リバース」(講談社文庫)を、読みました。
ドラマ化された作品なので、読まれた方も多いかと思います。
内向的な主人公が巡りあえた 初めての親友
そして、親友の死
親友が生きてきた足取りをたどるうちに、
主人公は 自らの生きざまを振り返ります。
幾重にも張り巡らされた伏線と、明らかになる真実
日曜の早起きの朝、一気読みの一冊です。
2017年10月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.10.24
カンガルーの本棚 山神さまとの契約
朝井まかてさんの「御松茸騒動」(徳間時代小説文庫)を、読みました。
舞台は江戸尾張藩、出世欲の塊だった主人公が 御松茸同心に左遷され
山の暮らしの中で
松茸と赤松との取引、村人と山の神との契約
そして今は失脚し、蟄居中の大殿が民を思うこころに気づきます。
そして、今はなき父に思いを寄せ、その生き方をなぞりはじめます。
まかてさんならでの 時代小説です。
2017年10月24日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.10.20
カンガルーの本棚 発達の多様性
岩波明先生の「発達障害」(文春新書)を、読みました。
「おとなの発達障害」についての本が、書店の平積みコーナーをにぎわせています。
ASD(自閉スペクトラム症)、
ADHD(注意欠如多動性障害)に代表される発達障害という診断名が
一人歩きをしだし、過剰診断と過小診断という
誤診につながっているのではないかと警告をだされます。
その反対に、自らの行動・思考特性を、
育てられ方や個人の努力により乗り越えるべきものととらえて、
必要な援助や配慮を得ることができないまま大きくなった方の悲劇も
ていねいに説明されています。
今を生きる人に必読の1冊です。
2017年10月20日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.10.11
カンガルーの本棚 日本の闇
矢部宏治さんの「知ってはいけない隠された日本支配の構造」
(講談社現代新)を、読みました。
矢部さんは 戦後史の構造を
「古くて都合の悪い取り決め」=「新しくて見かけのよい取り決め」+「密約」
という方程式で読み解かれます。
日本が戦争に巻き込まれないために、戦争に出かけていかないために、
はじまったばかりの衆議院選挙の各党の政策を、しっかりと見ていきたいと思います。
2017年10月11日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.10.04
カンガルーの本棚 鬼の一生
葉室麟さんの「春雷」(祥伝社文庫)を、読みました。
九州の とある藩の家老の物語。
藩の借財を踏み倒し、年貢の取り立てを厳しくし
やがて人々の怨嗟の中で、「鬼」と呼ばれるようになった主人公が
何を守りたかったのか。
壮絶な死のあと やがて人々は、彼のことを「世直し様」と
呼ぶようになります。
時代が違えども、正義とは何かを教えられる一冊です。
2017年10月4日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.09.28
カンガルーの本棚 スマホをオフに
奥村歩先生の「そのもの忘れはスマホ認知症だった」(青春出版社)を読みました。
板宿駅前の井戸書店さん
ぶらりと訪れた時に店長さんから「これ読みなさいよ」と勧められた一冊です。
著者は、もの忘れ外来を開かれている、認知症やうつ病の専門医
最近のITブームが、脳に過剰な刺激を与え続けているのではないか
その処方箋は・・
ポケモンGOを手放せないカンガルーへの
井戸書店の森店長さんからのメッセージです。
2017年9月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.09.24
カンガルーの本棚 人情長屋
畠山健二さんの「本所おけら長屋1~9」(PHP文芸文庫)を、読みました。
宣伝紙を読み、おもしろさに引きずられて9巻まるごとの読破です。
1冊に、5~6編の人情物語。
長屋に住む誰もが主人公
江戸の下町の落語の世界にどっぷりの3週間になりました。
2017年9月24日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.09.19
カンガルーの本棚 軽くて重くて
高田郁さんの「あきない世傳 金と銀Ⅳ」(ハルキ文庫)を、読みました。
時代は江戸中期、大阪呉服商に嫁いだ主人公の人情物語です。
読み進むうちに、すごい文章に出合います。
「どれほど良い品が店の蔵にあっても、売る者がその値打ちを知らなければ、売りようがない。
扱う品について熟知する売り手を育てることが大事なのだ。売り手を育てる土壌になるのが「店」ではないだろうか。
ひとを育てる店であらねば、商いは育たない」
時代は今、わが身に置き換えると、
職員を育てるクリニックでありたいと、強く思いました。
2017年9月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.09.03
カンガルーの本棚 食べることの
原田マハさんの「まぐだら屋のマリア」(幻冬舎文庫)を、読みました。
料亭の偽装疑惑に巻き込まれ、職場を追われた青年
母を捨てたどりついたのは 地の果ての寒村
あたたかな味噌汁の香りに引き寄せられ、入った小さな食堂
マリアと呼ばれる女性との出会いが、青年を絶望の淵から救います。
マリアと呼ばれる女性の秘密
次々とたどり着く、行き場を無くした人々
物語は青年の目から、寒村に暮らす人々の温かさを描きます。
登場人物たちの謎に引き寄せられ、最後まで一気読みの1冊です。
2017年9月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.08.28
カンガルーの本棚 あなたのかわりに
原田マハさんの「旅屋おかえり」(集英社文庫)を、読みました。
主人公は、売れない元アイドル
グルメ旅のレポーター役の仕事もなくなり、追い詰められた時に
病気の娘の代わりに、旅をしてきてほしいという依頼
旅が 人を元気にする
旅が 人と人との結びつきを新たにする
主人公は、まわりの人々を笑顔にしながら、
新しい旅をつづけます。
軽快な文章を読み進みながら、ほっこりとした気持ちになる1冊です。
2017年8月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.08.18
カンガルーの本棚 鷹と少女
遠田潤子さんの「月桃夜」(新潮文庫)を、読みました。
海の上で鷹が少女に語るか哀しみの物語
時代が違えども、同じ境遇で絶望していた二人が、
少しずつ心を通わせあい、生きる意味を見つけ出していきます。
遠田さんのお話は、この1か月の間で4冊目です。
人の生き死にが多く とても強烈ですが
最後に救いの場面が用意されています。
次の本はいつなのかと、首がながくなります。
2017年8月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.08.13
カンガルーの本棚 哀しみの連鎖
遠田潤子さんの「アンチェルの蝶」(光文社文庫)を読みました。
主人公の男は、場末の居酒屋の主人
人生に絶望し、自堕落な生活を送っています。
突然現れた少女との生活に、明日への希望を見出します。
虐待を受け続けた少年の、哀しい再生の物語です。
2017年8月13日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.07.30
カンガルーの本棚 小学生の頃
重松清さんの「一人っ子同盟」(新潮文庫)を、読みました。
主人公は、小学6年生の男の子
お話の時代は、どの家庭も子どもが多く、一人っ子は男の子と同級の女の子だけ
季節が進む中で、男の子にはお兄さんがいたこと、
女の子は家族構成が変わったことが話されます。
あとがきの中で作者は、「こどものもどかしさ」を描こうとしたと述べています。
作中の子どもたちが、
幸せなおとなになっていますようにと、願いを込められます。
毎日外来の診察で出会う子ども達が、どんなおとなに育っていくのか、
わたしも 子ども達のしあわせを 祈りたいと思います。
2017年7月30日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.07.03
カンガルーの本棚 キミスイ
住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」(双葉文庫)を、読みました。
主人公の高校生の男の子と、つきあい始めたばかりの彼女
真反対の性格のふたりが、よりそい 求めあい
そして、衝撃のラスト
荒削りな文章から伝わる 若者の悲しみ
題名に込められて思いが伝わります。
2017年7月3日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.07.02
カンガルーの本棚 哀しみの連鎖
遠田潤子さんの「鉄の鉄樹」(光文社文庫)を、読みました。
庭師の主人公の愛と再生の物語
食べること、灰皿、苔の庭 バイオリン
散りばめられた言葉がつながるとき、愛の物語が
そして、主人公につながる人々の 再生の物語が聞こえだします。
「これはすごい」
すごい小説に出合いました。
2017年7月2日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.07.01
カンガルーの本棚 父の秘密
遠田潤子さんの「あの日のあなた」(ハルキ文庫)を、読みました。
主人公「ある」くんの、父の急逝から始まる家族の物語。
名前に隠された出生の秘密
女子高生との出会い
人と人とのつながりと、喪に服すことの意味
重いけれど、こころの奥底まで揺さぶられる 小説との出会いです。
2017年7月1日
いたやどクリニック 木村彰宏