カンガルーの小部屋

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  • 2017.10.04

    カンガルーの本棚 鬼の一生

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    葉室麟さんの「春雷」(祥伝社文庫)を、読みました。

    九州の とある藩の家老の物語。

    藩の借財を踏み倒し、年貢の取り立てを厳しくし

    やがて人々の怨嗟の中で、「鬼」と呼ばれるようになった主人公が

    何を守りたかったのか。

    壮絶な死のあと やがて人々は、彼のことを「世直し様」と

    呼ぶようになります。

    時代が違えども、正義とは何かを教えられる一冊です。

         2017年10月4日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2017.09.28

    カンガルーの本棚 スマホをオフに

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    奥村歩先生の「そのもの忘れはスマホ認知症だった」(青春出版社)を読みました。

    板宿駅前の井戸書店さん

    ぶらりと訪れた時に店長さんから「これ読みなさいよ」と勧められた一冊です。

    著者は、もの忘れ外来を開かれている、認知症やうつ病の専門医

    最近のITブームが、脳に過剰な刺激を与え続けているのではないか

    その処方箋は・・

    ポケモンGOを手放せないカンガルーへの

    井戸書店の森店長さんからのメッセージです。

          2017年9月28日

            いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2017.09.24

    カンガルーの本棚 人情長屋

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    畠山健二さんの「本所おけら長屋1~9」(PHP文芸文庫)を、読みました。

    宣伝紙を読み、おもしろさに引きずられて9巻まるごとの読破です。

    1冊に、5~6編の人情物語。

    長屋に住む誰もが主人公

    江戸の下町の落語の世界にどっぷりの3週間になりました。

        2017年9月24日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.09.19

    カンガルーの本棚 軽くて重くて

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    高田郁さんの「あきない世傳 金と銀Ⅳ」(ハルキ文庫)を、読みました。

    時代は江戸中期、大阪呉服商に嫁いだ主人公の人情物語です。

    読み進むうちに、すごい文章に出合います。

    「どれほど良い品が店の蔵にあっても、売る者がその値打ちを知らなければ、売りようがない。

    扱う品について熟知する売り手を育てることが大事なのだ。売り手を育てる土壌になるのが「店」ではないだろうか。

    ひとを育てる店であらねば、商いは育たない」

    時代は今、わが身に置き換えると、

    職員を育てるクリニックでありたいと、強く思いました。

        2017年9月19日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.09.03

    カンガルーの本棚 食べることの

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    原田マハさんの「まぐだら屋のマリア」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    料亭の偽装疑惑に巻き込まれ、職場を追われた青年

    母を捨てたどりついたのは 地の果ての寒村

    あたたかな味噌汁の香りに引き寄せられ、入った小さな食堂

    マリアと呼ばれる女性との出会いが、青年を絶望の淵から救います。

    マリアと呼ばれる女性の秘密

    次々とたどり着く、行き場を無くした人々

    物語は青年の目から、寒村に暮らす人々の温かさを描きます。

    登場人物たちの謎に引き寄せられ、最後まで一気読みの1冊です。

         2017年9月1日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.08.28

    カンガルーの本棚 あなたのかわりに

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    原田マハさんの「旅屋おかえり」(集英社文庫)を、読みました。

    主人公は、売れない元アイドル

    グルメ旅のレポーター役の仕事もなくなり、追い詰められた時に

    病気の娘の代わりに、旅をしてきてほしいという依頼

    旅が 人を元気にする 

    旅が 人と人との結びつきを新たにする

    主人公は、まわりの人々を笑顔にしながら、

    新しい旅をつづけます。

    軽快な文章を読み進みながら、ほっこりとした気持ちになる1冊です。

         2017年8月28日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.08.18

    カンガルーの本棚 鷹と少女

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    遠田潤子さんの「月桃夜」(新潮文庫)を、読みました。

    海の上で鷹が少女に語るか哀しみの物語

    時代が違えども、同じ境遇で絶望していた二人が、

    少しずつ心を通わせあい、生きる意味を見つけ出していきます。

    遠田さんのお話は、この1か月の間で4冊目です。

    人の生き死にが多く とても強烈ですが

    最後に救いの場面が用意されています。

    次の本はいつなのかと、首がながくなります。

        2017年8月18日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.08.13

    カンガルーの本棚 哀しみの連鎖

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    遠田潤子さんの「アンチェルの蝶」(光文社文庫)を読みました。

    主人公の男は、場末の居酒屋の主人

    人生に絶望し、自堕落な生活を送っています。

    突然現れた少女との生活に、明日への希望を見出します。

    虐待を受け続けた少年の、哀しい再生の物語です。

           2017年8月13日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.07.30

    カンガルーの本棚 小学生の頃

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    重松清さんの「一人っ子同盟」(新潮文庫)を、読みました。

    主人公は、小学6年生の男の子

    お話の時代は、どの家庭も子どもが多く、一人っ子は男の子と同級の女の子だけ

    季節が進む中で、男の子にはお兄さんがいたこと、

    女の子は家族構成が変わったことが話されます。

    あとがきの中で作者は、「こどものもどかしさ」を描こうとしたと述べています。

    作中の子どもたちが、

    幸せなおとなになっていますようにと、願いを込められます。

    毎日外来の診察で出会う子ども達が、どんなおとなに育っていくのか、

    わたしも 子ども達のしあわせを 祈りたいと思います。

             2017年7月30日

             いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2017.07.03

    カンガルーの本棚 キミスイ

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    住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」(双葉文庫)を、読みました。

    主人公の高校生の男の子と、つきあい始めたばかりの彼女

    真反対の性格のふたりが、よりそい 求めあい

    そして、衝撃のラスト

    荒削りな文章から伝わる 若者の悲しみ

    題名に込められて思いが伝わります。

                         2017年7月3日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2017.07.02

    カンガルーの本棚 哀しみの連鎖

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    遠田潤子さんの「鉄の鉄樹」(光文社文庫)を、読みました。

    庭師の主人公の愛と再生の物語

    食べること、灰皿、苔の庭 バイオリン

    散りばめられた言葉がつながるとき、愛の物語が

    そして、主人公につながる人々の 再生の物語が聞こえだします。

    「これはすごい」

    すごい小説に出合いました。

          2017年7月2日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.07.01

    カンガルーの本棚 父の秘密

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    遠田潤子さんの「あの日のあなた」(ハルキ文庫)を、読みました。

    主人公「ある」くんの、父の急逝から始まる家族の物語。

    名前に隠された出生の秘密

    女子高生との出会い

    人と人とのつながりと、喪に服すことの意味

    重いけれど、こころの奥底まで揺さぶられる 小説との出会いです。

          2017年7月1日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.06.12

    カンガルーの本棚 不思議な体験

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    椰月美智子さんの「消えてなくなっても」(角川文庫)を、読みました。

    カッパや、カラス天狗など この世のものでない者たちが現れて、

    生の世界と死の世界とが重なり合い、主人公の心が清められていく。

    読み終えた後の懐かしさとすがすがしさ。

    不思議な心もちにさせてくれる1冊です。

          2017年6月12日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.05.22

    カンガルーの本棚 夜明けの一冊

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    おしおさなえさんの「活版印刷三日月堂 海からの手紙」(ポプラ文庫)を読みました。

    小さな印刷所をめぐる 4つの物語

    ちょうちょ、あわゆき、かいがら、そして西部劇と、鍵になる出会い

    先生から男の子、男の子から若い女性 そして中年男性へと

    不思議な物語はつなります。

    4月になり、新入学、自然学校の説明、アレルギー学会の準備と忙しく、

    1冊の本も読めないうちに、5月も半ばも過ぎました。

    4時に目を覚まし、夜明けに読み終えた一冊は、

    わたしを本の世界に戻してくれる魔法の力を持っていました。

           2017年5月22日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.04.24

    カンガルーの本棚 蝉の鳴き声

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    佐伯泰英さんの「声なき蝉・上・下」(双葉文庫)を、読みました。

    累計2000万部が販売されたという「居眠り磐音」シリーズの最新版

    主人公は かわって磐音の息子、空也の修行の物語。

    日曜の朝、二時から起きだし、明け方までに下巻を読み終えるしあわせ。

    巻末の作者 佐伯氏のメッセージが こころに残ります。

    「書店が近くにある読者諸氏にお願い申します。書店さんが近くにない方は、

    大きな町を訪れた折にふらりと本屋の書棚を覗いてください。

    そして、だれの本でもいい、手にとって紙の本の感触を改めて確かめてください。

    電子書籍など出版物が生き残る道は残されているのだろう。

    だが、その前に書店さんで

    『ああ、今の本の傾向はこんなふうか』と

    自分の目と手で確かめていただきたい。

    それが書店さんを元気づけ、小説家を生き残らせる道なのです。」

         2017年4月24日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.04.23

    カンガルーの本棚 夏が来て

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    東直子さんの「いとの森の家」(ポプラ文庫)を、読みました。

    主人公は、小学4年生の女の子

    父親の都合で、人里離れた村に引っ越してきます。

    そこでの出会いと、豊かな自然の中で、

    少女は少しずつ、自分が歩む道を見つけていきます。

    虫や猫たち、そして土のにおいが 

    手を延ばせば届きそうに思えるほどに、

    作者の美しい語り口に引き込まれます。

    新しい作家との出会いは、なによりのごちそうです。

          2017年4月23日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.04.15

    カンガルーの本棚 なりたいもの

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    東直子さんの「とりつくしま」(ちくま文庫)を、読みました。

    「とりつくしま」とは、亡くなった人の魂が、

    この世に戻ってきて とりつく「もの」のこと。

    母は、息子の野球に使うロージンに

    幼子は、母と通った公園の青いジャングルジムに

    妻は、夫が大切にしているマグカップに

    夫は、妻が書き続ける日記帳に

    少女は、片思いの男の子の彼女が使うリップに

    娘は、恩師が使う白檀の扇子に

    文庫本には、「・・・」になって「・・・」をしてみたい、という栞が挟まれています。

    11の短いお話は、亡くなった人の想いのすべてを込めて 終わります。

          2017年4月15日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.04.09

    カンガルーの本棚 ことばの力

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    原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」(徳間文庫)を、読みました。

    主人公は、どこにでもいる普通のOL

    親友の結婚式でやらかした失態からであった、ことばの魔術師

    導かれるままに ことばの魔力に引き込まれ、

    幼馴染の門出に ちからを尽くします。

    「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、

    想像してみるといい。

    三時間後の君、涙がとまっている。

    二十四時間後の君、涙は乾いている。

    二日後の君、顔を上げている。

    三日後の君、歩き出している。」

    小説を読み、励まされ、わたしも主人公のように、

    自分の道を こころ新たに歩いていこうと思います。

           2017年4月9日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.03.25

    カンガルーの本棚 うつコミック

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    田中圭一さんの「うつヌケ」(角川書店)を、読みました。

    うつをテーマにした、コミック本です。

    大槻ケンヂさんや、熊谷達也さんなど著名人の

    18のうつ脱出実体験が収録されています。

    生真面目で、責任感が強い人ほど、うつになりやすいと言われています。

    本書は、コミック版ですが、軽くて深い中身の1冊です。

           2017年3月25日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.03.23

    カンガルーの本棚 2年半ぶりの再会

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    三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帳7」

    (メディアワークス文庫)を読みました。

    古書にまつわる人間模様を描く作品シリーズの

    今回のテーマはシェークスピア

    最後に隠されている どんでん返し

    シリーズ前作は、2014年12月発刊ですから、

    2年3か月ぶりの新作ですが、一気読みで楽しめる作品です。

           2017年3月23日

           いたやどクリニック 木村彰宏

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