カンガルーの小部屋

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  • 2017.03.20

    カンガルーの本棚 新たな出発

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    宮部みゆきさんの「小暮写眞館」(新潮文庫)を、読みました。

    写るはずがないものが、写っている写真。

    持ち込まれた写真の謎解きを続けるうちに、

    亡くした妹の記憶をよみがえらせる英一青年

    出会いと別れ、そして希望への旅立ち

    ミステリー仕立ての温かい物語です。

          2017年3月20日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.03.08

    カンガルーの本棚 白やぎさんと黒やぎさん

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    湊かなえさんの「往復書簡」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    手紙のやり取りの中で暴かれる、隠されていた事実

    思い出したくない事実が明らかになるにつれて、大きくなる心の揺らぎ

    そして、物語の最後は・・

    3つの短い物語のどれもが、心に残ります。

         2017年3月8日

         いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2017.03.02

    カンガルーの本棚 カブキブって

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    榎田ユウリさんの「カブキブ」(角川文庫)を読みました。

    主人公は、歌舞伎大好きな高校生

    親友を誘い、演劇部の花形を引き抜き、知り合い、知り合いの知り合いを巻き込んで、

    歌舞伎同好会を立ち上げます。

    初めておこなう公演直前のドタバタ劇

    そして・・

    井戸書店の森店長さんに勧められた全五巻

    おもしろくて、元気になれるシリーズです。

            2017年3月2日

            いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2017.01.08

    カンガルーの本棚 アニメで生理学

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    清水茜さんの「はたらく細胞④」(講談社)を、読みました。

    主人公は、なにをやってもドジな赤血球の女の子

    次々と現れる外敵から、免疫細胞が身体を守るお話です。

    今回の敵は、黄色ブドウ球菌、デングウィルス、キャンピロバクタ

    好中球、NK細胞、ランゲルハンス細胞とともに、

    身体の平和のために、熱いハート戦います。

    見ているだけで楽しく、生理学の基礎が学べます。

           2017年1月8日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2016.12.31

    カンガルーの本棚 道を究める者たち

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    木内昇さんの「櫛挽道守」(集英社文庫)を、読みました。

    幕末の木曽路を舞台に、櫛作りに命を懸ける職人たちの物語。

    女の身で、父の技を受け継ごうとする主人公「登瀬」。

    弟の早世、妹の不本意な結婚生活、そして夫を受け入れることができない日々

    物語は、主人公の弟が書き残した絵草子を読み、

    こらえていた思いに涙することで、夫が背負ってきた苦難に気づき、

    夫婦が競うように櫛づくりの高みを目指すところでページを終えます。

    今年105冊目となる小説は、

    読み終えた後も、しばらく心の高まりが鎮まらない作品でした。

    また一冊、心に残る本に巡りあえました。

    今年一年、ブログにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

    2017年も、引き続きよろしくお願いいたします。

             2016年12月31日

             いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2016.12.28

    カンガルーの本棚 お礼のお駄賃

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    森浩美さんの「家族連写」(PHP文芸文庫)を、読みました。

    8つの掌編からなる、家族の物語。

    その中の一つ「お駄賃の味」に、ひかれました。

    貧しくて、いつもおなかをすかせていた少年時代。

    お手伝いを頼まれて、その代償にといただいた親子丼のおいしさ。

    時を経て、主人公の心に、その時の温かい味がよみがえります。

    人と人とのつながりの温かさを教えてくれる作品です。

         2016年12月28日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.12.17

    カンガルーの本棚 100冊目は怒る富士

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    新田次郎さんの「怒る富士・上下」(文春文庫)を、読みました。

    宝永の大噴火により、砂に埋もれた村々

    幕府は税金を課さない代わりに、救済もしないという「亡所」の扱いをします。

    村人は、「棄民」とされ、死んでいく自由を与えられます。

    これに立ち向かう関東郡代の伊奈忠順

    お話は史実とフィクションとを織り交ぜながら進みます。

    前進座の特別公演が、2017年3月14日に神戸で決まりました。

    小説の世界が舞台でどう展開するのか楽しみです。

    今年100冊目の読書になりました。

           2016年12月17日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.12.10

    カンガルーの本棚 憲法の番人

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    佐藤功さんの「憲法と君たち」(時事通信社)を、読みました。

    1955年に書かれた本の、復刻版です。

    押し付け憲法という中傷は、その当時からありましたが、

    日本国憲法の作成に深くかかわられた著者は、人類の英知の到達点だと明確に否定されます。

    以下、本文中より抜粋します。

    「裁判所も憲法の番人だし、また国会も、内閣も、議員や政党もじつはみんな憲法の番人なはずなのだが、国民はそれらの番人のそのまた番人だということになる、最後に憲法を守るのは国民の仕事だ

    多くの日本人が、あの戦争で命を捨てた。また、あの原子爆弾で二十何万の人が死んだ。

    こういうふうに考えれば、今の日本の憲法を、どんなふうに変えてもいいということにはならないということが、君たちにもわかるだろう。

    民主主義と、基本的人権と、そうして平和、この三つはどうしても変えてはならないことだということ・・

    憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る。」

    著者の熱いメッセージは、今の時代にこそ、私たちの心に響きます。

          2016年12月10日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.30

    カンガルーの本棚 父の素顔

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    朝井まかてさんの「阿蘭陀西鶴」(講談社文庫)を、読みました。

    「好色一代男」「好色五人女」「日本永代蔵」「世間胸算用」など、江戸初期に浮世草子の作者として一世を風靡した井原西鶴の半生を、娘の目から描いた作品です。

    「好色一代男」を語る場面では、「読む者はな、それを己に重ね合わせて胸を躍らせたり口惜しがったりできる。・・・物語というのは自分の好きな時に好きなように読んで、百人おったら百通りの世之介が生まれるわけや」と、物語の本質を伝えます。

    それでも、家族を顧みず、家族に貧しい暮らしを強いる父を許すことができず、父を見る目は冷たく凍ります。

    母が早くして亡くなってからは、養子に出された二人の弟と離れて、父と二人の生活を余儀なくされます。

    その中で、父の家族への情愛に気づき始めます。

    人情時代小説を書くと、当代一の作者の期待通りの作品です。

            2016年11月30日

            いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.29

    カンガルーの本棚 いちから人権学習

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    「人権読本」(岩波ジュニア新書)を、読みました。

    フリーライター鎌田慧さんによる、15の解説文。

    1人の人間として:子どもの権利

    弱いおとしよりをどう支えるのか:高齢者福祉

    子どもの虐待とDV:家庭内の暴力

    そばに居ることから:障碍者とともに生きる

    など、社会が抱える問題を人権の視点から解説されます。

    どの解説文も、深く重く、人がともに生きることを、考えさせられます。

          2016年11月29日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.28

    カンガルーの本棚 託された命

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    葉室麟さんの「陽炎の門」(講談社文庫)を、読みました。

    幼な友達の冤罪に、自分がかかわったのではないかと自責の念に苦しむ主人公

    その真相が明らかになった時、彼は敢然と黒幕に立ち向かいます。

    ことが成り終え、罪業深き自分を見つめる時、

    「散っていった者たちから、命を託されたのだと存じます」との

    妻からの一言に救いを見出します。

    託された命をどのように生きていくのか、作者からの問いかけが胸に届きます。

             2016年11月28日

             いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.23

    カンガルーの本棚 いつか訪ねてみたい

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    森沢明夫さんの「虹の岬の喫茶店」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    切り立った岬にある喫茶店。

    青く塗られたお店の窓からは、遠くに富士が望めます。

    そこを訪れる悩みを抱えた人たち

    子どもと訪れる妻を亡くした男性

    就活がうまくいかずに、失意のままに立ち寄る青年。

    「おいしくなあれ」と心を込めて煎れられたコーヒーと、

    その人の人生にふさわしく選ばれた音楽

    喫茶店の老主人と過ごすうちに、明日への希望に光がさしこみます。

    どこにでもありそうで、なかなか出会えない

    そして、いつか訪れてみたい喫茶店。

    そんな気持ちになる小説です。

          2016年11月23日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.20

    カンガルーの本棚 ドタバタの悲しさ

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    荻原浩さんの「母恋旅烏」(双葉文庫)を、読みました。

    夢破れ、いまはレンタル家族業を営む大衆演劇一家

    おかしさあり、涙ありの ドタバタ喜劇そのものの家族関係

    やがて、ひとりひとりと 家族を離れ・・

    おもしろうて やがて悲しき 作品です。

         2016年11月20日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.11.04

    カンガルーの本棚 マニュアル人生

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    村田沙耶香さんの「コンビニ人間」(文芸春秋社)を、読みました。

    主人公は、コンビニに開店当時から務める30台のアルバイト店員。

    コンビニを訪れるお客の足音や、商品の音に

    生きている、必要とされていると 実感します。

    泣いている子どもに感じる 簡単に泣き止ませる方法や

    季節に応じた服の選び方など、

    その行動は、コンビニに居場所を見つけたアスペルガーの女性そのもの。

    発達を勉強している友だちからお借りし、一気読みしました。

    世の中の いろいろな考え方、感じ方を持つ方への理解が深まる一冊です。

              2016年11月4日

              いたやどクリニック 木村彰宏  

     

  • 2016.11.01

    カンガルーの本棚 見上げる星は

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    荻原浩さんの「メリーゴーランド」(新潮文庫)を、読みました。

    主人公は、地方公務員の中年男性

    お荷物になったテーマパークの再生を命じられます。

    旧態依然としたお役所の中で、彼の魂がはじけます。

    おもしろくて、やがて悲しき物語の最後に用意されていたのは、

    家族と見上げる夜空の星。

    「さわやかだけど、ほろ苦い」

    巻末の書評の最後のページまでが、いとおしくなる作品です。

          2016年11月1日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.10.18

    カンガルーの本棚 ジェントルゴースト

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    荻原浩さんの「押入れのちよ」(新潮文庫)を、読みました。

    ジェントルゴーストとは、優霊のこと。

    死んでなお、残された人に尽くすゴーストたち。

    もちろん こわ~いお話も入っています。

    9編の不思議な物語を、お休みの一日堪能しました。

             2016年10月18日

             いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.10.13

    カンガルーの本棚 母娘ふたりで

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    中江有里さんの「結婚写真」(小学館文庫)を、読みました。

    主人公は中学2年生の娘と、若い恋人がいるシングルマザー

    わかりあい、つきはなし、揺れ動くこころ。

    しあわせは、誰かが運んでくるのじゃなくって、

    しあわせは、自分の中にあるはず。

    こう言い切る大人になった主人公のすがすがしい決意に、共感します。

    親と子の関係に悩むあなたに、お勧めの一冊です。

          2016年10月13日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.10.12

    カンガルーの本棚 ややこしや

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    大沼紀子さんの「真夜中のパン屋さん・シリーズ」を、読みました。

    主人公は高校3年の女子生徒。

    真夜中にだけ開くパン屋さんで繰り広げられる人間模様。

    午前0時から始まり、午前4時までと続くシリーズは、

    飛躍がすごすぎて、ついていくのに苦労が必要です。

    それでも主人公を助け、温かく見守る人々に、救いを感じます。

    おいしそうなパンの描写とともに、こころがホッとする小説です。

            2016年10月12日

            いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.09.30

    カンガルーの本棚 なぜにゴリラ

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    アレルギーの勉強会にでかけると
    小児科の中村先生に 呼び止められます。
    「自費出版したのですけど・・」と、
    いただいたのが「ウガンダにゴリラを訪ねて」
    先生の紀行文に、ご主人が撮られた写真
    読み進めるうちに、気分はすっかりウガンダです。
    中村先生、ありがとうございます。
    2016年9月30日
    いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.09.29

    カンガルーの本棚 あったやもしれぬ

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    荻原浩さんの「誰にでも書ける一冊の本」(光文社文庫)を、読みました。

    主人公は広告制作会社を経営する中年男性。

    郷里に残した父の、危篤の報が届きます。

    母から手渡されたのは、父が書き残した原稿の山

    読み進めるうちに、父の生き方が浮かび上がってきます。

    150ページにも満たないこの小説が、生きるという意味を問いかけます。

           2016年9月29日

           いたやどクリニック 木村彰宏 

     

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