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2016.11.20
カンガルーの本棚 ドタバタの悲しさ
荻原浩さんの「母恋旅烏」(双葉文庫)を、読みました。
夢破れ、いまはレンタル家族業を営む大衆演劇一家
おかしさあり、涙ありの ドタバタ喜劇そのものの家族関係
やがて、ひとりひとりと 家族を離れ・・
おもしろうて やがて悲しき 作品です。
2016年11月20日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.11.04
カンガルーの本棚 マニュアル人生
村田沙耶香さんの「コンビニ人間」(文芸春秋社)を、読みました。
主人公は、コンビニに開店当時から務める30台のアルバイト店員。
コンビニを訪れるお客の足音や、商品の音に
生きている、必要とされていると 実感します。
泣いている子どもに感じる 簡単に泣き止ませる方法や
季節に応じた服の選び方など、
その行動は、コンビニに居場所を見つけたアスペルガーの女性そのもの。
発達を勉強している友だちからお借りし、一気読みしました。
世の中の いろいろな考え方、感じ方を持つ方への理解が深まる一冊です。
2016年11月4日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.11.01
カンガルーの本棚 見上げる星は
荻原浩さんの「メリーゴーランド」(新潮文庫)を、読みました。
主人公は、地方公務員の中年男性
お荷物になったテーマパークの再生を命じられます。
旧態依然としたお役所の中で、彼の魂がはじけます。
おもしろくて、やがて悲しき物語の最後に用意されていたのは、
家族と見上げる夜空の星。
「さわやかだけど、ほろ苦い」
巻末の書評の最後のページまでが、いとおしくなる作品です。
2016年11月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.10.18
カンガルーの本棚 ジェントルゴースト
荻原浩さんの「押入れのちよ」(新潮文庫)を、読みました。
ジェントルゴーストとは、優霊のこと。
死んでなお、残された人に尽くすゴーストたち。
もちろん こわ~いお話も入っています。
全9編の不思議な物語を、お休みの一日堪能しました。
2016年10月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.10.13
カンガルーの本棚 母娘ふたりで
中江有里さんの「結婚写真」(小学館文庫)を、読みました。
主人公は中学2年生の娘と、若い恋人がいるシングルマザー
わかりあい、つきはなし、揺れ動くこころ。
しあわせは、誰かが運んでくるのじゃなくって、
しあわせは、自分の中にあるはず。
こう言い切る大人になった主人公のすがすがしい決意に、共感します。
親と子の関係に悩むあなたに、お勧めの一冊です。
2016年10月13日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.10.12
カンガルーの本棚 ややこしや
大沼紀子さんの「真夜中のパン屋さん・シリーズ」を、読みました。
主人公は高校3年の女子生徒。
真夜中にだけ開くパン屋さんで繰り広げられる人間模様。
午前0時から始まり、午前4時までと続くシリーズは、
飛躍がすごすぎて、ついていくのに苦労が必要です。
それでも主人公を助け、温かく見守る人々に、救いを感じます。
おいしそうなパンの描写とともに、こころがホッとする小説です。
2016年10月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.09.30
カンガルーの本棚 なぜにゴリラ
アレルギーの勉強会にでかけると
小児科の中村先生に 呼び止められます。
「自費出版したのですけど・・」と、
いただいたのが「ウガンダにゴリラを訪ねて」
先生の紀行文に、ご主人が撮られた写真
読み進めるうちに、気分はすっかりウガンダです。
中村先生、ありがとうございます。
2016年9月30日
いたやどクリニック 木村彰宏 -
2016.09.29
カンガルーの本棚 あったやもしれぬ
荻原浩さんの「誰にでも書ける一冊の本」(光文社文庫)を、読みました。
主人公は広告制作会社を経営する中年男性。
郷里に残した父の、危篤の報が届きます。
母から手渡されたのは、父が書き残した原稿の山
読み進めるうちに、父の生き方が浮かび上がってきます。
150ページにも満たないこの小説が、生きるという意味を問いかけます。
2016年9月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.09.23
カンガルーの本棚 あの日に帰りたい
荻原浩さんの「あの日にドライブ」(光文社文庫)を、読みました。
主人公は、大手銀行から、タクシードライバーに転職した中年男性。
不規則勤務で体は悲鳴をあげ、家族との関係もきしみはじめる
昔の自分に戻れるとしたら、いつ頃に自分からやり直せばよいのか
誰もが一度は考える問いに、答えは見つかりません。
ほろ苦く、それでいて一筋さす光を感じさせる作品です。
2016年9月23日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.09.09
カンガルーの本棚 赤に染まる街
重松清さんの「赤ヘル1975」(講談社文庫)を、読みました。
1975年の春から秋にかけての、広島の少年たちの物語。
父に連れられて、広島の街に住むことになったマナブ少年。
出合う人の心の中に、消えないでいる戦争の災禍
「よそもの」と言われながらも、少年はこの街を分かろうとし、
「ひろしま」を好きになっていく。
この年、広島カープは、念願のリーグ優勝を果たし。
少年たちも友情を深めていきます。
2016年の今年、25年ぶりのリーグ優勝を目前にしたカープ
当時の中学生は、中年になり、
いま、何を思っているのか、とても気になります。
2016年9月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.08.15
カンガルーの本棚 止めることはできなかったのか
NHK取材班の「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」
(外交・陸軍編)(新潮文庫)を、読みました。
世界から孤立し、戦争への道を進んだ日本。
歴史を後から振り返り、
止めることはできなかったのかという思いは、
誰しも一度はいだかれたことかと思います。
外交情報の共有のなさ、
組織防衛が第一優先の国家機関
排他的かつ刹那的な国民感情
などが、取材資料から明らかになります。
終戦の日に、お勧めの1冊です。
2016年8月15日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.08.03
カンガルーの本棚 積み続けること
エドワード・ムーニー・Jrの「石を積むひと」(小学館文庫)を読みました。
妻を亡くし、孤独に生きていく男の物語。
妻が残してくれた手紙を道しるべに、若者の再生に力を尽くします。
親子とはなにか、夫婦とはなにか
子育ての原点を考えさせられる作品です。
2016年8月3日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.07.10
カンガルーの本棚 戦争へと進む道
加藤陽子先生の「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」
(新潮文庫)を、読みました。
東大教授の加藤先生が、私立中高校の生徒に、
日本の近代史を講義します。
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、日中戦争、
太平洋戦争
この国が経験してきた戦争への過程と、戦後とが
多くの資料とともに解き明かされます。
加藤先生はあとがきの中に、このように書き記されます。
「戦争となれば真っ先に犠牲となるはずの普通の人々が、
なぜ、自己と国家を過度に重ね合わせ、
戦争に熱狂してしまうのか」
500ページ近くの大作を、投票日までに読み上げようと、
数日間、殆どの時間をこの本と対峙することに使いました。
「過去を正確に描くことでより良き未来の創造に加担すると
いう、歴史家の本分にだけは忠実であろうと心がけました。」
加藤先生の力作が、多くの方に読まれることを望みます。
2016年7月10日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.07.03
カンガルーの本棚 家族のありかた
重松清さんの「ファミレス」(角川文庫)を、読みました。
3組の中年オヤジが直面する家族の問題。
結婚をして、子どもが生まれ、年収が増え、家も大きくなる
そんな右肩上がりの家族のありかたが、
子どもが独立することで、微妙に崩れていきます。
ファミレスは、ファミリーレストランなのか
それとも、ファミリーレスの略なのか
軽快な重松ぶしに乗りながら、家族のありかたを考えさせられます。
2016年7月3日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.06.28
カンガルーの本棚 助けること助けられること
梨木香歩さんの「雪と珊瑚と」(角川文庫)を、読みました。
生まれたばかりの雪を育てながら奮闘するシングルマザーの珊瑚
アルバイトしていたお店が閉店することを期に、
仕事疲れの人がホッとできる食べ物屋さんを開こうと考えます。
出会う人に助けられながら、どこかで助けられることを期待する自分に葛藤します。
助けられるとは、感謝が6割、屈辱感が2割、反感が2割と、著者は記します。
人を助けるとは、人に助けられるとは
善意の意味を考えさせられる小説です。
2016年6月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.06.22
カンガルーの本棚 言葉の影を
ほしおさなえさんの「活版印刷三日月堂」(ポプラ文庫)を、よみました
川越の街で、活版印刷を営む小さな店の物語。
息子のたびだちを、寂しく見つめる母親
叔父の喫茶店を引き継いで、自信が持てない青年。
親友の悩みを受け止めきれない高校生
活版印刷の懐かしい文字に、きぼうの灯を見つけます。
今が旬の心温まる短編集です。
2016年6月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.06.21
カンガルーの本棚 映画館に住んでいるという
原田マハさんの「キネマの神様」(文春文庫)を、読みました。
主人公は、シネコン建設に携わるキャリアウーマン
父の入院と時を同じくし、仕事をやめて映画雑誌社で働くことになります。
そこで起きる奇跡の数々。
映画館には「キネマの神様」が住んでいると言います。
描かれる懐かしい名画のシーンに、心が温かくなりました。
2016年6月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.06.12
カンガルーの本棚 日本の自然を愛して
朝井まかてさんの「先生のお庭番」(徳間文庫)を読みました。
舞台は、幕末期の長崎は出島
シーボルトのもとで働く庭師熊吉の物語。
日本の自然を愛する先生のお気持ちのもと、精進を重ねる熊吉
物語は、シーボルト事件に連座して、愛する人を失う悲しみに進みます。
終章にかかれる後日談にすくいを感じるのは、私だけでしょうか
紫陽花の名に込められた思いを、深く感じます。
2016年6月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.05.30
カンガルーの本棚 潮の声が聞こえる
葉室麟さんの「潮鳴り」(祥伝社文庫)を、読みました。
襤褸蔵とあだ名される主人公は、
何一失うものはなく、誰に頼られることもなく、
破れ小屋で、すさんだ暮らしを過ごしています。
弟の死をきっかけに、彼の心に、生きかえってみようという灯がともり始めます。
死ぬよりもつらいこと、汚名を浴びながらも生き続けることで、
愛する人を、守り抜く決意を固めます。
人の矜持とは何たるかを教えてくれる、お勧めの1冊です。
2016年5月30日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2016.05.29
カンガルーの本棚 みやびの奥に
朝井まかてさんの「恋歌」(講談社文庫)を、読みました。
幕末に活躍した歌人・中島歌子の物語。
商家のおきゃんな娘が恋い焦がれ、添い遂げた夫は尊王攘夷の志士
天狗党の乱に巻き込まれた歌子は、投獄され、
愛する人を、目の前で次々と失っていく・・
絶望の果てに歌子が再生を託したのが歌
死を前にして、歌子が願った事とは
第150回直木賞受賞の作品です。
2016年5月28日
いたやどクリニック 木村彰宏