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2011.12.03
カンガルーの本棚 カンガルーでもわかるTPP
中野剛志さんの、「TPP亡国論」(集英社新書)を、読みました。
国論を二分しているTPP。
カンガルーにも分かる言葉で、わかりやすく解説されています。
内需を拡大する事で、デフレからの脱却を図るべき時期に、農業従事者を失業に追いやり、内需を冷え込ます愚かさ。
食料品は、一国の戦略物質であるのに、その生命線を他国に明け渡す愚かさ。
様々な経済的視点から、痛快にTPP反対論を述べられています。
254pの新書本ですが、あまりのおもしろさに、一日で読み終えました。
TPPを考える上で、必読の一冊です。
2011年12月3日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.12.02
カンガルーの本棚 毛布ネコ
重松清さんの、「ブランケット・キャッツ」を、読みました。
レンタルCDや、レンタカーのように、レンタルされるネコの物語。
7匹のネコが出会う、2泊3日の飼い主さんは、大切に人生を生きてきた人々。
学校や、職場や、家庭の中で、うまくいかないことがいっぱい起きて、それでも生きていく姿を、ネコ達が見つめます。
重松さんの小説には、悲しくて、せつなくて、そして少し希望の光が見え隠れします。
2011年12月2日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.30
カンガルーの本棚 ネコ派
沼田まほかるさんの「猫鳴り」(双葉文庫)を、読みました。
モンと名付けられたネコが、ひらわれて育てられ、年老いて息を引き取るまでの物語。
これでもかというくらいに、たたみかけるような描写に、気持ちが後ろ向きになりながらも、命から目を離せなくなる3部構成。
イヌの物語なら、つらくて、終わりのページまで、読み通せなかったかもしれません。
2011年11月30日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.28
カンガルーの本棚 カンガルーでもわかる言葉で
山家悠紀夫先生の「暮らし視点の経済学」(新日本出版社)を、読みました。
保険医協会の代議員会で購入してから、一週間。
時間をかけて、ゆっくりと読みました。
この10年の間に、日本経済が直面した大きな社会変動。
サブプライム問題、リーマンショック、そして3.11大震災。
構造改革を旗印に挙げる政権が続き、庶民の暮らしが立ち行かなくなった結果もたらされた大不況。
いのちと暮らしの危機をどのように克服していけばよいのか、本書はカンガルーにもわかる言葉で解説されています。
2011年11月28日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.20
カンガルーの本棚 祈りの言葉
姜尚中さんの「あなたは誰?私はここにいる」(集英社新書)を、読みました。
NHKの日曜美術館の司会をされる中で出会われた、絵画や陶器。
その一つひとつに、姜尚中さんが、心の解説をそえられます。
第8章「祈りの形」の中に、「言葉は虚しくても、祈りの態度は伝わるのです」という一節が載せられています。
東日本大震災後の日本を生きる上で、大切な言葉と思いました。
2011年11月20日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.17
カンガルーの本棚 ラッキーデー
朱川湊人さんの「本日、サービスデー」(光文社文庫)を、読みました。
不思議な5つの短編を集めた文庫本です。
気にしないでいるようで、少しは気になるのが、朝のテレビの星占い。
一番の運勢だと、5分ぐらい、ハッピーな気分をもらえます。
今日が、一生に一度のラッキーデーだとしたら。
考えるだけで、楽しくなります。
「蒼い岸辺にて」は、やさしい小説です。
心が弱った時に、一読されることをお勧めします。
2011年11月17日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.13
カンガルーの本棚 プロフェッショナルとは
NHK出版新書の「人生と仕事を変えた57の言葉」を読みました。
NHKで放送された、「プロフェッショナル仕事の流儀」の中で出会った57の言葉。
壁にぶつかった時、有頂天になった時、人は自分を見失います。
その時出会った一つの言葉が、人を大きく変える事があります。
何の気なしに発せられた言葉が、人の心の中で熟成され、人を勇気づける事があります。
57の言葉との出会い、そして、重く受け止められた記録集。
この秋、お勧めの一冊です。
2011年11月13日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.10
カンガルーの本棚 カイロ本
森浩美さんの「ほのかなひかり」(角川文庫)を、読みました。
どこにでもありそうな小さな出来事を、優しい目でみつめ、心温かくする作品に仕上げられています。
8つの短編は、どれもがもう一度読みたくなるものばかり。
中でも、
「褒め屋」「思い出バトン」「聖夜のメール」は、特にお勧めです。
解説文に書かれている、キャッチコピー。
「これからの寒い季節、カイロの代わりに森浩美さんの文庫本をポケットに忍ばせてみませんか?心の底からあたたかくなります。」に完全同意です。
2011年11月10日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.09
カンガルーの本棚 トトロの本棚
宮崎駿監督の「本へのとびら・岩波少年文庫を語る」(岩波新書)を読みました。
少年文庫の中から、悩みに悩まれ50冊を厳選。
ひとつひとつの作品に、短い読書評がよせられています。
後半は、宮崎監督のインタビュー記事。
3月11日のあと、世界は「風が吹きはじめた時代」に入ったと、言われます。
そのうえで、「生きていてよかったんだ、生きていいんだと、子どもたちにエールを送るのが、児童文学なんだ」と、書かかれています。
大震災、そして世界経済不安。
この不確かな時代にあって、子どもたち「やり直しがきく」と、熱いメッセージを送られる宮崎監督。
おとなのわたしも、励まされる一冊です。
2011年11月9日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.11.06
カンガルーの本棚 日本一の社説ツー
水谷もりひとさんの「日本一心を揺るがす新聞の社説2」(ごま書房新社)を、読みました。
パート1を読み終え、その足で学会開催地の福岡の書店で買い求めた一冊です。
これまでに「みやざき中央新聞」に掲載された社説の中から、厳選されたもの。
43編の中で、わたしは次の2編に感動しました。
「勇気を出して『ありがとう』『ごめんね』」
「お墓の前で『いのちのまつり』」
どの作品に思いを入れるのかは、読者のその時のあり様に左右されます。
「ありがとう」「ごめんね」は、今のわたしの心を映す言葉なのでしょうか。
2011年11月6日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.29
カンガルーの本棚 日本一の社説集
水谷もりひとさんの「日本一心を揺るがす新聞の社説」(ごま書房新社)を、読みました。
かかりつけの地下鉄板宿駅前の「井戸書店」さんの、推薦本。
毎週月曜日に発行されている、みやざき中央新聞の41本の社説集です。
「抱っこの宿題、忘れんでね」
「こころを込めて、いただきます」
「生まれ変わって、今がある」
「感動は何年経っても色あせない」などなど、わたしの心の深くに刻まれる名文の数々。
今年読んだベストワン候補の一冊です。
続編を、すぐに買いに行かなくては・・・。
2011年10月29日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.28
カンガルーの本棚 うちの旦那は
野波ツナさんの、「旦那さんはアスペルガーⅠ:ⅱ」(コミックス出版)を、読みました。
コミックスなので、ゴロリと横になって読んでも、1時間もしないうちに最後のページにたどりつく、お気軽さです。
アスペルガー症候群の男性を夫にもった妻の「とまどい」が、描かれています。
子ども期のアスペルガー症候群は、少しずつ知られてきましたが、彼らが大人になった時に、家族はどのように感じ暮らすのか、当事者だけにしか分からない重いテーマ。
もしかして、我が家の事だったりしてと、ドキドキの1冊です。
2011年10月28日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.26
カンガルーの本棚 安川先生には読ませたくない本
洋泉社の、「脱原発の教科書」(原発を止めても大丈夫なこれだけの理由)を、読みました。
原発を廃絶すると、電力供給が不安定になる。
電気代が、かなり高くなる。
企業が国外に流出して、産業の空洞化が進む。
などなど、原発を守ろうとする論調が、マスコミを通じて流されています。
本書では、各分野の専門家が、脱原発への疑問に対して、ひとつひとつ丁寧に解説されています。
いたやどクリニックでは、11月27日(日)に、秋の文化祭を開きます。
その中で、「原発は必要か?。木村先生vs安川先生」の公開討論会が企画されています。
脱原発派は、クリニック副院長の安川先生。
そして、原発推進派は、きむらが、意見を闘わせます。
お互い、相手に負けないようにと学習中。
205ページになるこの本は、安川先生には読ませたくありません。
どんな討論会になるのかは、当日のおたのしみです。
2011年10月26日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.25
カンガルーの本棚 思いのたけを文章に
近藤勝重さんの「書くことが思いつかない人のための文章教室」(幻冬舎新書)を、読みました。
毎日新聞編集委員、「サンデー毎日」編集長を歴任されている近藤さんが、文章を書く指南をされます。
「思う」ことより、「思い出す」ことを言葉にする。
記憶を全体から、部分、さらには細部へとたどっていくという、手法を紹介されます。
神戸医療生協の機関紙「三つの輪」にページをいただいている「カンガルーのポケット」も、この11月号で45回目の連載となります。
2か月に一度のエッセイですが、毎号何を話題にしようかと、悩むものです。
近藤さんの文章に励まされながら、次の号に挑戦です。
2011年10月24日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.17
カンガルーの本棚 ものおじしない
宮西達也さんの「にゃーご」(鈴木出版)を読みました。
授業参観に出かけた日、子どもは休み時間を図書室で過ごします。
つられて入った図書館で、大きな大きな絵本を見つけました。
40.8×50cmもある大きな本は、ねことネズミのお話です。
「何読んでるの」
後から来た、1年生のふたごちゃんが尋ねます。
「にゃーご だよ」と、大きなページをめくりながら、声を出して読むことにします。
ものおじしない、ふたごちゃん。
わたしは、そんな子どもが大好きです。
2011年10月17日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.16
カンガルーの本棚 子規さんと遊ぶ1週間
夏井いつきさんの「子規365日」(朝日新書)を読みました。
松山への講演旅行で立ち寄った子規記念博物館で、買い求めた一冊です。
365日、その日その日にちなんだ一句を、夏井さんが自由に解説されています。
目に映った一瞬の情景を、言葉のカメラで写し撮り、575の17文字に編集するすごさ。
子規さんと遊ぶ、1週間です。
2011年10月16日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.10.01
カンガルーの本棚 卵の緒
瀬尾まいこさんの、「卵の緒」(新潮文庫)を読みました。
表題作のほかに、「7’s blood」が収められています。
小学5年の男の子と、高校3年の少女が綴る、家族の物語。
不思議な語り口で、小さな家族の世界に引き込まれていきます。
9月に読んだ17冊の本は、私の心をいつまでも温かくしてくれます。
2011年10月1日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.09.30
カンガルーの本棚 はじめの一歩
雨宮処凛さんの「14歳からの原発問題」(河出書房新社)を、読みました。
「素朴に怖いから、誰かに犠牲を強いるのは嫌だから、動物たちが置き去りにされる姿をもう二度と見たくないから、『原発のない世界』を夢みたいし、目指したい。」
雨宮さんは、「あとがき」でこのように書かれています。
3月11日までは、原発の本など手に取ったことがなかったわたし。
雨宮さんの半年の心の軌跡が、わたしの心の奥深くで響きあいます。
知ることから、感じるところから、それが「はじめの一歩」です。
2011年9月30日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.09.28
カンガルーの本棚 子どもの貧困
新日本出版社の「誰かボクに食べものちょうだい」を、読みました。
新聞の連載記事を、一冊にまとめたものです。
保育所、小学校、中学校、そして高校。
こどもの生活現場に足を運び、「教育と貧困」を見つめます。
取材先の小学校の校長先生の言葉が、心に残りました。
「子どもがおとなへのあこがれをもてるようにすること。
おとな自身が夢をもって子どもに語れることが大切です。
自分が勉強することが将来どのようにつながっていくのかを、子ども自身が描けるようにすることです」
小児科医師として、知っていくこと、声に出していくことの多さに気づかされました。
2011年9月28日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2011.09.25
カンガルーの本棚 ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ
田口ランディさんの「ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ 原子力を受け入れた日本」(ちくまプリマー新書)を、読みました。
原発・原爆についての、田口ランディさんからのメッセージです。
新書の帯には、「唯一の被爆国が、なぜ原発大国に?」とあります。
「相手と自分が違う事を認め、自分の中に起こる理不尽な怒りや差別をコントロールできるようにならないと、私たちはすぐに誰かが唱える正義や、明るい未来や、絶対の安全に、まどわされてしまうのです。」
「私たちはあまり歴史から学ぼうとしていません。その結果が、この現状なのです。歴史の中で自らの存在を俯瞰しないので、自分たちが何を望んでいるのかも判然としなくなってしまいました。」
田口ランディさんの歴史観に、共感を覚えました。
2011年9月25日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏