カンガルーの小部屋

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  • 2011.07.28

    カンガルーの本棚 発達障害の勉強

    発達障害について書かれた本を、集中的に読みました。

    ○発達障害に気づかない大人たち<職場編>(祥伝社)

    ○発達障害のある子どもができることを伸ばす(日東書院)

    ○発達障害を持つ 子どもの心 ガイドブック(主婦の友社)

    ○アスペルガー症候群・高機能自閉症の子どもを育てる本(講談社)

    どの本も、発達障害の子どもとの「おつきあい」について、分かりやすく解説されています。

    発行年月を見ますと、なるほど、新しく出版された本ほど、細やかさを感じます。

    8月の講演会に向けて、準備が進みます。

    2011年7月28日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.07.13

    カンガルーの本棚 空気が読めない人

    星野仁彦先生の「空気が読めないという病」(ベスト新書)を、読みました。

    子どもの発達障害は、成人に達しても、その特徴は残ると言われます。

    家庭や職場でうまくいかず、孤立する人々。

    星野先生は、次のように述べられます。

    「わがまま、協調性がない、だらしない、怒りっぽい、忘れっぽい、などと思われ、誤解されています。これらは決して本人の性格によるものや悪意があるわけではなく、脳の発達のアンバランスによって起こる、一種のハンディキャップのようなものである。」

    「脳の発達がアンバランスであっても、特定の分野で素晴らしい能力を発揮する人たち。そういう人たちの力を借りながら、人類は進歩していくと思うのです。」

    家庭生活での工夫、仕事の選び方、」などなど。

    発達にアンバランスがある人の立場から、優しく解説されています。

    2011年7月13日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.07.10

    カンガルーの本棚 特別な卒業式

    新潮社の「これからを生きる君たちへ」を、読みました。

    60ページ余りの、短いブックレットです。

    3月11日の大震災の後、卒業を迎えた子ども達、学生たちへの、校長先生、学長からのメッセージ集です。

    東京都港区立青南小学校の興水かおり校長先生は、卒業生へのはなむけの言葉として、次のように述べられています。

    「自分の頭で考え、判断し、何をすべきかを決めて動きなさい。」

    「君達は私の、ここに集まった大人全ての希望の種です。」

    東大総長、阪大総長、そして、長崎大学学長。

    大震災後の、日本の未来を託す子ども達、学生への、熱いメッセージが書かれています。

    ご一読されることを、お薦めします。

    2011年7月10日
    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.07.08

    カンガルーの本棚 せんせい

    重松清さんの「せんせい」(新潮文庫)を読みました。

    重松さんは、文庫版のあとがきで、次のように語られています。

    「僕は教師という職業が大好きで、現実に教壇に立っていらっしゃるすべての皆さんに、ありったけの敬意と共感を示したいと、いつも思っている。けれど、僕は同時に、教師とうまくやっていけない生徒のことも大好きで、もしも彼らが落ち込んでいるのなら「先生なんて放っときゃいいんだよ」と肩を叩いてやりたいと、いつも思っている」

    「せんせい」には、白髪の二―ル・ドロップスは神さまの涙・マティスのビンタ・にんじん・泣くな赤鬼・気をつけ礼・と、6つの短編が収められています。

    私は、この中で「にんじん」に描かれた工藤先生が好きです。

    先輩への嫉妬、生徒への嫌悪感、人間的で、じたばたとして・・

    「先生とよばれる人も、一人のふつうの人間なんだ」と言う、当たり前のことに、ほろ苦く気づかされる短編集でした。

    2011年7月8日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2011.07.01

    カンガルーの本棚 原発への疑問

    小出裕章先生の「原発のウソ」(扶桑社新書)を、読みました。

    福島原発で起きたこと、起こりつつあることが、書かれています。

    「原発は絶対に安全なんだ」と、言われ続け、避難計画所さえ作られてこなかった現実。

    ○原子力発電って、コストが安いの?

    ○原子力発電って、CO2を排出しない、エコ・エネルギーなの?

    ○原子力発電って、地球温暖化防止に貢献しているの?

    ○原子力発電って、化石燃料の枯渇に備えた切り札なの?

    私達が、脱原発という言葉を耳にする時に、その反論として刷り込まれている、いくつかの疑問。

    その疑問の一つ一つを、ていねいに説明されています。

    さほど厚くない新書ですが、「目からうろこ」の一冊です。

    2011年7月1日

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  • 2011.03.23

    カンガルーの本棚 子どもの貧困

    浅井春夫先生の「脱『子どもの貧困』への処方箋」を読みました。

    以前に購入していたものの、積んどく状態。

    3月11日におきた「東北関東大震災」

    それを機会にページを繰り始め、その主張に引き込まれました。

    浅井先生は、次のように主張されます。

    ①    子どもの現状を知るべき努力を続ける力

    ②    子どもや青年の声に痛みを感じる力

    ③    この現実を変えようとする真摯な姿勢

    知ることと、感じること。そして変えようとすること。

    ひとつひとつ、積み上げていく、一年にしたいと思いました。

                          2011年3月23日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.01.22

    カンガルーの本棚 春になる

    お正月の読みはじめは、コンビニで買った「テストの珍解答」(鉄人社)

    全国の試験解答から集められた、解答集です。

    「雪が溶けたら何になるでしょうか?」

    青森県の小学校の問題に、女の子は「春」

    以前このブログでもご紹介した、答えが載っていました。

    雪道を歩きながら、子どもに

    、この本のことを伏せて、同じ質問をします。

    答えは、「・・・春」

    やったね、大正解です。

    おとうさんは、「春」って、書く子どもが大好きですよ。

                           2011年1月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.24

    カンガルーの本棚 春はまだ

    重松清さんの、「季節風・春」を読みました。

    春は、別れの季節、そして、はじまりの季節です。

    そんな春を、12の物語でたどります。

    わたしは、「めぐりびな」、そして、「せいくらべ」に、こころ引かれました。

    「めぐりびな」は、母の苦労と愛の深さが描かれています。

    「せいくらべ」は、小学校5年生の女の子と、隣家の若夫婦の交流が描かれています。

    ページをめくる手に、電車の走る振動が重なる中、ひとの優しさが、深くこころに伝わります。

                           2010年12月24日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.17

    カンガルーの本棚 夢時計

    川口雅幸さんの「夢時計」(星雲社)を読みました。

    新刊コーナーに積まれていた、レトロな暖かい色の表紙にひかれて、手に取りました。

    主人公は小学6年生の男の子。

    ふとしたことから、自分が産まれた時の家族の時間に戻ります。

    そこで、おじいさんが語ります。

    「神様が人間にタイムマシンを作らせないのは、後悔や失敗を過去の塗り替えなどでなおざりにせず、その思いを、後世、未来へとしっかり紡いでいかせるためだと、わしは思うんだ」

    変えたい過去、変えたい自分。

    それは、過去の自分ではなく、未来につながる今の自分を変えていくこと。

    深いメッセージを、受け取りました。

                           2010年12月17日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.11

    カンガルーの本棚 若葉たち

    辻内智貴さんの「信さん」(小学館文庫)を読みました。

    昭和30年代、九州のお話しです。

    主人公は、イチジクの樹を見上げながら思います。

    「遮るものの無い豊かな陽ざしをうけて思うがままに育びていく若葉もあれば、陽の当たらぬまま日陰に枯れて行く葉も何処かに有るのだろう。

    人間もまた、そんな若葉に似た一時期を、その一生のうちに誰でもが持つのではないか。この人の世の様々な陽ざしの中に、人は古から抗いようもなく産まれおちつづけてきた。その理不尽さに時にくるしみながらも、それでも、人はそれぞれの天地のなかで、可憐にその一生を紡ぎつづけてもきた・・」

    職員健診にむかう神戸電鉄のなかで、あふれくる涙に戸惑いながら、読みすすみました。

    クリスマスまでに、多くの人が読まれたらいいですね。

                           2010年12月11日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏 

  • 2010.12.09

    カンガルーの本棚 ぼんやり

    辰濃和男さんの「ぼんやりの時間」(岩波新書)を読みました。

    数か月前に、購入しながらつんどく状態。

    年が変わる前に、ようやく読了です。

    「ぼんやりすること、休むこと、懶惰であること、閑なこと、それらをたのしむことのすばらしさ」

    辰濃さんは、この本の主題をこのように記しています。

    「休むこと」は決して負の営みではなくて、自分の生きる力を強いものにするための積極的な営みなのだと思う。

    辰濃さんの主張は、その通りだと思います。

    その一方で、ページをめくる手を休めない自分がいます。

    今はまだ忙しいけれど、いつかきっと、のんびりと雲を見上げて過ごす毎日がくるよね。

    自分の中の矛盾に、気づかせてくれる名著です。

                           2010年12月9日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.07

    カンガルーの本棚 野の風

    井戸書店の森店長さんに勧められ、辻内智貴さんの「野の風」を読みました。

    「野の風」、「帰郷」、「花」の、三作品が収められています。

    「野の風」は、父の危篤を機会に、家族の絆を取り戻していく物語。

    「帰郷」は、夫の故郷を尋ねる物語。

    どこかで読んだようで、それでいて、はじめての、しんみりとさせられるお話しです。

                           2010年12月7日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.01

    カンガルーの本棚 さよなら大江戸

    佐伯泰英さんの「鎌倉河岸捕物控・紫房の十手」を読みました。

    政次・亮吉・彦四郎・しほが大江戸を駆け回る捕物帖。

    幼なじみ四人の、成長のドラマが並行して描かれます。

    秋から始まった、わたしの中での捕物帖ブーム。

    何に引かれるのかと振り返ると、人情と、単純さ。

    人情は、ある面ではルール違反。

    権力の独走とも言えます。

    単純さは、勧善懲悪。

    裁判員制度抜きで、即決刑が決まります。

    閉塞的な今の社会状況への、反発から痛快さを求めるのかも知れません。

    「鎌倉河岸」シリーズは、既刊17冊を読了。

    まだまだ続編が期待されます。

    が、いつまでも大江戸に留まる訳にはいきません。

    今年の101冊目は、今の日本に戻ることにしましょうか。

                           2010年12月1日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.11.18

    カンガルーの本棚 いまは冬

    重松清さんの、「季節風・冬」を読みました。

    冬を題材に綴る、12の物語です。

    その中でも、わたしは「じゅんちゃんの北斗七星」という小編に、心ひかれました。

    40年も前に会わなくなった、隣家のじゅんちゃん。

    北の空を見上げながら、思い出します。

    みんなとは、すこし違っていたじゅんちゃん。

    となりのおじさんと、おばさんは、小学生になる主人公に、「これからも、じゅんと仲良くしてやってね」と、何度もくり返します。

    その言葉の重さと苦さを、主人公は大人になり、親になってから、少しづつ噛みしめます。

    重松さんは、こう述べられています。

    「ひとの想いを信じていなければ、小説は書けない気がする」             

    ひとの心を想像すること、思いやることを教えてくれる小編集でした。

                           2010年11月18日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.11.03

    カンガルーの本棚 大江戸捕物帖

    捕物帖に、はまっています。

    9月の末から読み始め、14冊。

    今は佐伯泰英さんの「鎌倉河岸捕物控シリーズ」(ハルキ文庫)の8冊目です。

    「鎌倉河岸捕物控・街歩き読本」なる一冊を見つけました。

    今に残る大江戸の香を訪ねる、解説書です。

    10月25日の夕方、テレビをつけると、「鉄腕DASH」。

    今回は、江戸名物すごろく対決。

    サイコロをふって、出た目を進み、そこに書かれている大江戸の名物を探す番組です。

    読んだばかりの店の名が、次々に登場します。

    創業300年、350年の老舗ばかり。

    捕物帖の世界に、ますますのめり込んでいく予感がしました。

                           2010年11月3日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.10.19

    カンガルーの本棚 傷ついたキャンパス

    島誠一郎さんが書かれた、「無言館を訪ねて」(講談社)、「傷ついた画布の物語」(新日本出版社)を読みました。

    先日、信州上田市の戦没画学生美術館「無言館」で、買い求めた2冊です。

    残された一枚の絵が描かれるまでに、ひとりの青年が歩んできた道のり。

    描くことを断ち切られた青春を受けとめる、父や母、妻や子どもたちの慟哭。

    残された絵は、その悲しみを何も語りません。

    ただ、静かに人間の生き方を、問いかけます。

    愛犬を連れたお散歩の途中で、丘の上の「無言館」が、急に目の前に現れそうな気がします。

                           2010年10月19日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.09.24

    カンガルーの本棚 今朝の春

    高田郁さんの、みおつくし料理帖新作「今朝の春」(ハルキ文庫)を読みました。

    宝塚出身の高田さんは、リュック姿で、板宿駅前の井戸書店さんにも、気軽に来られるとのことです。

    ブログの管理人さんも、大ファンの作家です。

    「今朝の春」は、4つの短編いずれもが、季節は厳冬。

    西日を浴び歩きながらページをめくる手は、冬の寒さを感じます。

    作品の中で、いくつかの素敵な言葉を見つけました。

    「料理に向かう時、いつも心に陽だまりを抱いていよう・・」

    「勝ちたい一心で精進を重ねるのと、無心に精進を重ねた結果、勝ちを手に入れるのとでは、『精進』の意味が大分と違うように思いますねえ」

    高田さんの次の作品が、楽しみです。

                           2010年9月24日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.09.21

    カンガルーの本棚 アメリカ・アメリカ

    池上彰さんの「そうだったのか!アメリカ」(集英社文庫)を、読みました。

    「そうだったのかシリーズ」の4冊目です。

    今回のテーマは、アメリカの今と昔。

    私はアメリカが嫌いです。

    私はアメリカが大好きです。

    そんな相矛盾する言葉から、始まります。

    「銃社会」「差別との戦い」「メディアの大国」「移民の国」「帝国主義国家」

    さまざまな視点から、アメリカの今と昔が、書き進められていきます。

    読み進むうちに、アメリカの若さが見えてきました。

    若さ故のバイタリティー、自由、柔軟さ、そして傲慢さ。

    そんなアメリカが、わたしも大嫌いで、大好きになりました。

                           2010年9月21日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.09.20

    カンガルーの本棚 ガリレオ

    子どものマイブーム、東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」(文春文庫)を読みました。

    子どもがはじめて手にした、文庫本。

    読み終えたばかりの、本を借りました。

    子どもの前で読んでいると、「おとうさん、どこ読んでるの?」「犯人誰か知ってる?」と気になる様子。

    お願いですから、探偵ものは、犯人を教えないでくださいね。

                           2010年9月20日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.09.05

    カンガルーの本棚 すこしずつ

    俵万智さんの「101個目のレモン」(文春文庫)を読みました。

    5月半ばに手元に置き、少しずつ読み進めました。

    あとがきのなかで、俵さんは「すべてをひっくるめた自分自身の三十代が、ここには詰まっているような気がします。」と、書かれています。

    そんなエッセイ集の中で、「絵画あれこれ」というタイトルに集められたエッセイが、わたしは好きです。

    「書きたいものがあるとき、書きたくてしかたがないとき、原稿用紙の白は、無限の可能性をもって歓迎してくれる。けれど、書きたいものが見えないとき、書きたくても書けないとき、その白は、残酷で冷たい鏡となる。」

    12月に発行予定の共同執筆3冊目の「学校生活に必要な食物アレルギーの知識(仮題)」

    この31日にようやく脱稿し、編集者に送付しました。

    ものを書くと言うこと。

    とても魅力的で、苦しいものですね。

                           2010年9月5日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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