カンガルーの小部屋

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  • 2023.06.13

    カンガルーの本棚 会話の楽しさ

    小野寺史宜さんの「タクジョ!」(実業之日本社文庫)を読みました。

    夏子が大学を出て働き始めたのは、タクシー会社

    タクジョの誕生です。

    お客さんとの出会いと会話、

    乗り逃げや、強盗もどきとも出会い、怖い思いをしながらも、

    タクジョという仕事をやめられません。

    別れた父を乗せて交わす会話

    まるでタクシーに乗っているかのように

    テンポの良い話の運びに、乗せられてしまいます。

    若者の前を向いて生きる姿に、フレーフレーと声を出して応援したくなる小説です。

    2023年6月13日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.06.10

    カンガルーの本棚 思い描いて

    西條奈加さんの「千両かざり」(新潮文庫)を読みました。

    水野忠邦の倹約令が、人々の暮らしを凍えさせた江戸時代

    細工師の家に生まれた女主人公は、

    時代の制約の中で、ひとり飾り修行を続けます。

    現れた、人を寄せ付けない職人の腕に惹かれ

    そして・・・

    飾り物の緻密な描写が心を打つのですが、

    その形を頭に思いえがく才がありません。

    読書するにも、才がいるのですね。

    2023年6月10日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.30

    カンガルーの本棚 なかなかな人生

    青山誠さんの「牧野富太郎」(角川文庫)を読みました。

    朝ドラの「らんまん」に惹かれて、手に取った1冊

    牧野博士の生涯を、伝記風にまとめた読み物です。

    造り酒屋の裕福な暮らしに飽き足らず、

    植物学を目指して東京へ、

    借財を重ね、重ねて作り上げた日本の植物学

    まわりの人々が支えたことの、賜物です。

    2023年5月30日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.21

    カンガルーの本棚 不思議なお話

    佐藤正午さんの「月の満ち欠け」(岩波文庫)を読みました。

    子どもを残すのではなく、

    何度も生まれ変わって思いを遂げる女性の物語。

    前世の記憶を受け継いで、大切な人に会いに行く

    でも、なぜか感情移入ができません。

    第157回直木賞受賞作です。

    2023年5月21日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.18

    カンガルーの本棚 できすぎ君

    原田マハさんの「旅屋おかえり・丘の上の賢人」(集英社文庫)を読みました。

    今回の旅の先は北海道、小樽と札幌

    依頼人から頼まれた旅で、出会う3名の人

    帰りたくても帰れない

    旅の成果物を届けるときに

    ふるさととは、「おかえり」って言ってくれる人が住む所だと気づきます。

    少しできすぎかなという、印象が残りました。

    2023年5月18日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.16

    カンガルーの本棚 わかってはいても

    小野寺文宜さんの「近いはずの人」(講談社文庫)を、読みました。

    急逝した妻が残した、携帯電話

    ロックをはずすと、最後に交わされた謎のメールが

    わかっていたつもりの妻にどんな秘密が隠されていたのか

    テンポいい文体に、ページをめくるスピードは速まるのですが、

    あまり好きになれない結末が待っていました

    2023年5月16日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.12

    カンガルーの本棚 命綱を握りしめて

    凪良ゆうさんの「流浪の月」(創元文芸文庫)を読みました。

    行き場を失った若い二人に残されていたのは、

    友情でもない、恋愛感情でもない

    お互いを支え合う、命綱

    世の中の人がどう言おうと、

    強く結ばれた掌に、お互いの命を感じ取る

    本屋大賞2021年の受賞作は、生きる難しさと救いとを

    わたしに語りかけます。

    2023年5月12日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.10

    カンガルーの本棚 それぞれの秘密

    凪良ゆうさんの「神様のビオトープ」(講談社タイガ)を読みました。

    事故で夫を亡くした主人公は、残された家で夫の幽霊と出会います。

    彼女にしか見えない姿、聞こえない声をたよりに、

    夫との二人の生活を続けます。

    そこに現れる、普通の人々に隠された秘密とは

    彼の最期の選択を探し続ける女子大生

    ロボットとの友情を取り戻そうとする小学生

    成熟を拒み続ける大学生

    美しさの中に、恋心を隠し続ける高校生

    それぞれが秘密を抱えながら暮らすことの普通さを、

    小説は教えてくれます。

    2023年5月10日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.05.08

    カンガルーの本棚 願いを託して

    東野圭吾さんの「くすのきの番人」(実業之日本社)を読みました。

    罪を犯した青年に待っていたのは、「くすのきの番人」というお仕事

    月の満ち欠けに合わせて訪れる願い人が、

    くすのきに何を託すのか

    青年にはその謎がわかりません。

    固く守られているくすのきの秘密

    やがて青年は、言葉では伝えきれない ひとの思いに気づきます。

    ふしぎな、ひとの情念を描いた作品です。

    2023年5月8日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.27

    カンガルーの本棚 悩める人々に

    凪良ゆうさんの「わたしの美しい庭」(ポプラ文庫)を読みました。

    古ぼけたマンションの屋上にある、手入れされた神社

    悩みを持ち訪れる人は、後を絶ちません。

    マンションに住む住民も訳あり人ばかりです。

    急死した彼の思い出を、何十年も引きずる女性

    両親から受け止めてもらうことができず、さまよう性的少数者

    うつ病から脱することができず、もがき苦しむ男性

    そんな彼女、彼に救いの日は来るのかな

    細やかな心理描写に、引き込まれてしまう小説です。

    2023年4月27日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.21

    カンガルーの本棚 もどきってなあに

    成田奈緒子先生の「発達障害と間違われる子どもたち」(青春新書)を読みました。

    この13年間で、10倍に増えたと言われる発達障害

    成田先生はその背景に、過剰診断があるのではないかと危惧されます。

    睡眠障害や生活リズムの乱れ、

    その結果生じる不適切な行動を、「発達障害もどき」と名付けられ、

    まず子どもを「立派な原始人」に育てるところから始めようと言われます。

    子育てにお悩みの方にお勧めの1冊です。

    2023年4月21日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.19

    カンガルーの本棚 空飛ぶ猫

    ルイス・セプルベタさんの「カモメに飛ぶことを教えた猫」(白水社)を読みました。

    黒猫のもとにたどり着いた瀕死のカモメが言い残した3つの願い

    1つ目は、わたしが産む卵を食べないでください

    2つ目は、その卵のめんどうをみてやってください

    そして、3つ目の願いとは

    猫とカモメという種を超えた友情の先に現れる勇気と奇跡

    作者は動物に名を借りて、私たち人間に何を伝えようとしたのでしょう

    読みやすい文体と、ルビ付きの文章

    子どもから大人まで楽しめる1冊です

    2023年4月19日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.12

    カンガルーの本棚 強く弱く悲しく

    凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」(講談社)を読みました。

    高校で出会った、暁海と櫂が過ごした15年の物語

    瀬戸内の島のしがらみの中で、もがきながら愛を確かめ合うふたり

    惹かれ合いながらも引き裂かれ、

    強く、弱く、悲しく そして

    昨年の夏に頂きながら、積ん読く状態の8カ月間

    ようやく手に取ると2日間で一気読み

    本を閉じた後も、小説の世界が目に浮かびます。

    読了した日に、2023年度の「本屋大賞第一位」選ばれた作品です。

    2023年4月12日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.11

    カンガルーの本棚 少しだけ顔を上げて

    西條奈加さんの「わかれ縁」(文春文庫)を読みました。

    金と女にだらしがない亭主のもとから逃れようとする絵乃

    人ごみの中で救ってくれた「別れ屋」家業の手代のもとで、

    新しい人生を探し始めます。

    視野が狭くなり、下を向き足許ばかりを見ている

    そんな顎を一寸だけ上げてやる

    「別れ屋」は絵乃を救い、そして幾多の人を救います。

    今よりのずっと女性の人権が疎んじられていた江戸時代にあって、

    生きる力を取り戻していく女性たちの物語です。

    2023年4月11日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.08

    カンガルーの本棚 愛してるのに

    中野信子先生の「毒親」(ポプラ新書)を読みました。

    子どもの人生を支配し、子どもの人生に悪影響を及ぼす親を指します。

    愛してるのに、愛されたいと思っているのに

    すれ違う親と子の気持ち

    中野先生は、

    子を産む役割と、育てる役割を

    ゆるやかに自然な形で分担できるならと述べられます

    2023年4月8日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.05

    カンガルーの本棚 深おも本

    中野信子先生の「脳の闇」(新潮新書)を読みました。

    不安が持つ意味

    うつの生き方

    正義中毒のわな

    不健康の自慢

    これまで抱いていた常識を、根底からひっくり返される心地よさ

    脳科学者の中野先生による、深くて面白い論説集。

    脳が最高に活動しているときに、おすすめの1冊です。

    2023年4月5日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.31

    カンガルーの本棚 親と子のきずな

    高橋和巳先生の「子は親を救うために心の病になる」(ちくま文庫)を読みました。

    学校に行けなくなった子ども、虐待を受けた子ども

    発達障害がある親の元で育てられた子ども

    子どもが自分の課題を乗り越えるうえで見えてくる、親がもつ課題

    カウンセリングは、その人の生き方や悩みをきくのではなく、

    その「存在」を確認する作業だと、高橋先生は述べられます。

    やさしい文体の中に、人の心に迫る深い内容が描かれています。

    2023年3月31日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.26

    カンガルーの本棚 おかしくそして泣かせる人情噺

    畠山健二さんの「本所おけら長屋二十」(PHP文芸文庫)を読みました。

    大江戸の下町長屋を舞台にしたシリーズも、二十巻目をむかえました。

    これまでは四つの小話がつまっていたシリーズも

    今回は、三つのお話に凝縮

    やくざな生き方、母との再会、そして新たな旅立ちと

    どの話もおかしく、そして泣かせるお話

    シリーズの中で、一押しの一冊です。

    2023年3月26日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.23

    カンガルーの本棚 五公五民

    森永卓郎先生の「増税地獄」(角川新書)を読みました。

    所得税に復興特別所得税が加算され、20年先まで延長という話が出ています

    介護保険料に国民年金、医療費負担も増え

    おまけに消費税増税も論議されています。

    江戸時代の租税システムは、四公六民からはじまり

    五公五民になると、人口の伸びがなくなり一揆が多発するようになります。

    そして令和の今、多くの人は五公五民に苦しんでいます。

    減税を、消費税の即時停止をと、森永先生は声を大きくして訴えられます。

    令和の人々は、なぜ減税一揆に立ち上がらないのでしょうか

    庶民の立場から税を考えることができる1冊です。

    2023年3月23日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.18

    カンガルーの本棚 一冊の本から

    青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」(ポプラ文庫)を読みました。

    小学校に隣接する、小さな市民図書室を訪れる5人の物語

    婦人服売り場での仕事に悩む朋香には、「ぐりとぐら」

    経理の仕事になじめない諒には、「植物図鑑」

    ワンオペで閑職に回されて悩む夏美には、「占いの本」

    ニートの浩弥のもとには、「写真集」

    定年後のなしなし生活を送る正雄には、「詩集」が

    それぞれの手元に届けられた一冊が、

    生きる勇気を、そして人生を変える力を与えます。

    本が持つ力を、静かにやさしく教えてくれる一冊です。

    2023年3月18日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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