-
2023.02.11
カンガルーの本棚 思いを新たに
南杏子先生の「ブラックウェルに憧れて」(光文社文庫)を読みました。
大学を退官する教授とその教え子で、女性医師として活躍する4人の同級生の物語
20年近くの時を経て、眼科医、健診医、エスコートドクター、新生児科医として生きる
彼女らの前に立ちふさがる、きびしい現実
悩み苦しみ、それでも患者さんのためにと、立ち上がる女性たちの姿に
身が引き締まる思いがします。
毎日をそれなりに過ごすことに満足しないで、
まだまだやりたいこと、やり残したことに挑んでみようという
勇気を与えてくれる1冊です。
このところ、いろいろな分野の新書に手を伸ばし、
知的好奇心が満たされていましたが
小説も、いいものですね。
2023年2月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.02.07
カンガルーの本棚 貧しい国に
小林美希さんの「年収443万円・安すぎる国の絶望的な生活」(講談社現代新書)
を読みました。
電気代、ガス代、生鮮食料品、みそ、しょうゆ
値上げのニュースを聞かない日はありません。
その国で暮らす人々は、ペットボトルのお茶を買わずに水筒を持参し、
ケーキや、スタバは高根の花
街には非正規社員があふれ、コロナ禍で失業者も増えています。
若者はその日の暮らしに忙しく、
結婚する資金もなく、子育てしようにも教育費が重くのしかかります。
小林先生は、生活者の生の声に耳を傾けられ
就職氷河期を過ごした、もはや若者とは言えない世代の声を書きとめられます。
胸が痛くなるような現実
その現実から目をそらすまいと、誓いを新たにさせる1冊です。
2023年2月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.02.03
カンガルーの本棚 複雑すぎて
島宗理先生の「使える行動分析学」(ちくま新書)を読みました。
行動分析学を用いて、自分の課題を明らかにし、それに介入して解決していく
精神論ではなく、行動の後に生じる随伴性をもとに整理する
ただ、実生活上の課題になると、いろいろな因子が絡み合い、
複雑になりすぎて、行動を起こす前にためらってしまいそうです。
まだまだ理解不足
もっと、消化する必要があると思いました。
2023年2月3日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.01.20
カンガルーの本棚 文明は進化しているのか
稲田豊史さんの「映画を早送りで観る人たち」(光文社新書)を読みました。
若者の間で、動画を倍速、あるいは10秒飛ばしで観る習慣が広がっている。
その背景にある若者が置かれている現状とは何か
作品をコンテンツと考え、鑑賞から消費へと行動が変化したこと
万人にわかりやすく伝えることが、求められる作品作り
可処分時間の減少とともに、「タイパ」を優先せざるを得ない生活
そして、そして
著者自らが、あとがきで述べられているように、
本書は「メディア論」であり、「コミュニケーション論」であり
また、「世代論」「創作論」「文化論」でもある。
幅広く、軽やかでいて奥深い論調に、記憶に残る1冊となりました。
2023年1月20日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.01.18
カンガルーの本棚 コロナ禍と少子化
河合雅司さんの「未来のドリル」(講談社現代新書)を読みました。
コロナ禍が、この国にもたらしたもの
それは日本社会の様々な面に見て取れる「この国の老化」
高齢者ファーストの背策で、若い人の青春を犠牲にした重さは、
婚姻率や出生数の減少という形で現れてきました。
河合先生は、国の宝である若い世代の輝きが
少しでも増すように後押しする必要性を訴えられます。
前に読んだ「未来の年表・業界大変化」とともに
この国の未来を考えさせられる1冊です。
2023年1月18日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.01.08
カンガルーの本棚 未婚率の増加こそ
山田昌弘先生の「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(光文社新書)を読みました。
2022年日本の出生数が77万人台になったという、衝撃的なニュースが流れ、
政府も少子化対策に本腰を入れるという宣言を行いました。
生まれた子どもを育てやすくする世の中を作ることは、とても素晴らしいことですが、
山田先生は、若者が結婚しない、結婚できない世の中こそが、
少子化の第一原因であると述べられます。
若者が、なぜ結婚しないのか、できないのか
教えられることが多い1冊でした。
2023年1月8日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2023.01.05
カンガルーの本棚 明るい未来は来るのかな
河合雅司先生の「未来の年表・業界大変化」(講談社現代新書)を読みました。
2022年出生数の速報値が、77万人台になったという大きなニュースが飛び込んできました。
国立社会保障・人口問題研究所の予測より11年前倒しとなる減少です。
生まれた子どもたちが育ち20年後、
今の20才の若者に比べると40万人も少ない成人式を迎えることになります。
人口の減少は、社会に、また働く場にどのような変化をもたらすのか。
現実に直面しつつある今、どういう行動をとるべきなのか。
避けることができない重いテーマを、河合先生から突き付けられます。
2023年1月5日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2022.12.31
カンガルーの本棚 今年の一おしに
杉山尚子先生の「行動分析学入門」(集英社新書)を読みました。
行動分析学は、行動の原因を解明し、行動に関する法則をみいだそうとする科学
その言葉から始まり、好子、嫌子、強化、弱化、そして行動随伴性と
行動分析学ならではの世界へ、読者を導きます。
年末のあわただしい時期の読書となりましたが、
2022年、わたしに最も影響を与えてくれた1冊になりました。
来年も良書に巡り合うことができますように。
みなさまよいお年をお迎えください。
2022年12月31日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2022.12.30
カンガルーの本棚 若さとは
和田秀樹先生の「人は感情から老化する」(祥伝社新書)を読みました。
人の老化は、知力や体力よりも前に、感情から始まる。
意欲・自発性・好奇心といった感情が衰えると、外観も変化し、
また、知力や体力を保とうとする習慣も失われていく。
どうすれば老化を遅らせることができるのか
2006年に出版された本なので、今の時代には合わないとことが多いのですが
伝えようとされていることは、常識的な内容です。
今の時代に合ったやり方で、どう実践していくのか
読後に宿題が残りました。
2022年12月30日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2022.12.26
カンガルーの本棚 力をぬいて
本田秀夫先生の「しなくていいことを決めると、人生がラクになる」
(ダイヤモンド社)を読みました。
まじめな性格で、自分へのハードルを高く掲げ
超えられない課題を前に、自分のふがいなさに怒りを感じる
そんな生きづらさの中にいるあなたに、
するべきことよりも、楽しめること、
やりたいことを優先して取り組む生き方を伝授される本です。
2022年12月26日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2022.12.22
カンガルーの本棚 理解半分に達せず
奥田健次さんの「メリットの法則・行動分析学・実践編」(集英社新書)を読みました。
小児アレルギー学会でご講演を聞いた奥田先生の
手に取った3冊目のご著書
行動分析学について、少し専門的に解説されています。
人が行動し続けるとき、直後の結果が意味を持つという行動分析学
まだまだ理解できないところが多く、不思議な気持ちでいっぱいです。
もう少し理論を学び、手短なところから実践できればと思います。
まだまだこれから、大きな課題を見つけました。
2022年12月22日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
-
2022.12.19
カンガルーの本棚 深く静かに
高橋和巳先生の「精神科医が教える聴く技術」(ちくま新書)を読みました。
傾聴 言葉をはさまず聴き続けることで苦しむ人を救う技術
先生は、人の悩みは①人が恐い、②自分を責める、③人とうまくつき合えない
④死ぬのが恐い の4つに大別されるとしたうえで
①黙って聴く、②賛成して聴く、③感情を聴く、④葛藤を聴く中で
人は変わっていくと教えられます。カウンセリングの極意に、少し触れることができたように思います。
この本に出合い、先生の書かれた著書を、すぐに手に取りたくなりました。
2022年12月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.12.16
カンガルーの本棚 菩薩の顔の影に
西條奈加さんの「鱗や繁盛記」(新潮文庫)を読みました。
長野の山奥から大江戸は上野に出てきた末(すえ)は、料理茶屋に奉公します。
むかしの輝きを失った店の若旦那は、みなから菩薩とよばれる優しい男です。
行儀を見習いながら、店を立て直そうとする末
そして、若旦那に隠された秘密とは
お料理小説とミステリーが合わさった、時代小説です。
2022年12月16日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.12.14
カンガルーの本棚 汽笛が聞こえる
高田郁さんの「駅の名は夜明・軌道春秋Ⅱ」(双葉文庫)を読みました。
鉄道にまつわる9つの小さな物語別れ話に悩む女性、連れ合いに先立たれ一人異国の地を旅する女性
車内でおきた出来事から老婆を守る人々
などなど、どのお話も心に深く染み入ります。
あなたなら、どのお話を一押しされますか。
2022年12月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.12.11
カンガルーの本棚 ゆるやかにのびのびと
本田秀夫先生の「学校の中の発達障害」(SB新書)を読みました。
集団の中で生きづらさを感じている子どもたち
本田先生は、つらさをかかえている子どもたちに焦点を当てて、
学校とはなにか、
学力とはなにか
教育で大事なことはなにかと 問いかけられます。
300ページに近い大作ですが、
今の教育で変えてほしい、変わってほしいことが伝わってきます。
時間がかかるかもしれませんが、一読されることをお勧めします。
2022年12月11日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.12.06
カンガルーの本棚 タイミングよく褒める
奥田健次先生の「叱りゼロで自分からやる子に育てる本」(だいわ文庫)を読みました。
子育ては大変な労力と忍耐を要します。
片づけない子ども、約束を守らない子どもなど、
わかっていても注意する言葉がついきつくなります。
奥田先生は叱ることで子どもをコントロールするのではなく、
できたときに、約束を守れたときに、
タイミングよく褒めることで好ましい行動を定着させる子育てを提唱されます。
行動分析療法に基づく子育て
慣れるまでは難しいかもしれませんが、
魔法のような子育てが書かれているこの本を、一読されることをお勧めします。
2022年12月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.12.02
カンガルーの本棚 まだ使いこなせるには
奥田健次先生の「子育てのほんとうの原理原則」(TAC出版)を読みました。
子どもの問題行動に直面した時に、子どもの気持ちを尊重し、
受容と寛容の精神で接すべしとする指導法に、真っ向から異を唱え
社会に出ていくために、家庭のルールをそして社会のルールを身につけさせる
奥田先生の教育法が、わたしを揺さぶります。
理論ではなく実践を、その確かな技術をと論じられる先生に、
もう少し深く学び、両親を家庭をそして子どもを支えることができるよう
まずは先生の著作2冊を発注しました。
この本との出会いが、今後のわたしをどう変えていくのか楽しみです。
小児アレルギー学会会頭大矢幸弘先生がご推薦の1冊です。
2022年12月2日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.11.29
カンガルーの本棚 聞く耳を育てる
東山紘久先生の「マンガで読み解くプロカウンセラーの聞く技術」
(創元社)を読みました。
自分の話をしたがる気持ちを抑え、
相づちを打ちながら、ゆっくりと相手の話を聞くこと
そんな当たり前のことが苦手なカンガルーが、
もしかしてこれはと思い立ち、手に取った1冊です。
はじめは、ハードルを低くと思い、コミック版をえらびましたが、
なるほど、納得のなかみでした。
2000年に発売され、今なおヒット中の原作のコミック版です。
2022年11月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.11.26
カンガルーの本棚 実行は難しいかも
中島美鈴先生の「もしかして、私、大人のADHD?」(光文社新書)を読みました。
ADHDは、小児科領域ではなじみ深い発達障害です。
子どもにとっても、大人にとっても、自尊感情が大きく損なわれやすいADHD
診断されると、すぐに薬物療法へとすすむ流れに
中島先生は「認知行動療法」の視点から、
生きづらさをやわらげ、新しい自分を創造するプログラムを提唱されます。
頭では分かりながら、実行となると難しい課題だと感じました。
2022年11月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
-
2022.11.22
カンガルーの本棚 ことしの一押し
中島美鈴先生の「悩み・不安・怒りを小さくするレッスン」(光文社新書)を読みました。
副題に「認知行動療法入門」とあります。
出来事の受け止め方は、その人によりさまざまです。
好意的に受け取る方もあれば、否定的に見る方
そのひとの考えるパターンによって、幾通りにも解釈されます。
認知のゆがみがあると、出来事はその人を苦しめます。
中島先生はその悩みを優しく解説され、悩みが小さくなるように手ほどきをされます。
今年読んだ100冊目は、一押しの一冊です。
2022年11月22日
いたやどクリニック 木村彰宏