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2022.09.22
カンガルーの本棚 舞い落ちる雪に
西條奈加さんの「涅槃の雪」(講談社時代小説文庫)を読みました。
時は水野忠邦による天保の改革の真っただ中
北町奉行所の与力門佑は、舞い落ちる雪を、
両手をひろげて受け止めようとする女性に出合います。
改革が進むにつれて、しぼんでいく江戸の町
門祐と女性は、改革の嵐に翻弄されながらも
どんな明日を迎えるのでしょうか
最後の1ページまで気を抜くことができない、みごとな時代小説です。
2022年9月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.19
カンガルーの本棚 また会えたね
山本甲士さんの「迷犬マジック2」(双葉文庫)を読みました。
孤独にさいなまされている人の足元に
ぶらりと現れては、役目を終えると去っていく迷犬マジック
今回は、継父となるひとを、受け入れられない少年
衝動的な性格から、人生につまづいた青年
仕事第一で過ごし、息子との確執に身動きが取れないでいる父親
ひとり暮らしが続き、孤立を深める老女のもとに、
マジックが現れます。
マジックと過ごすと、人の輪が広がり
生きる力が湧いてきます。
マジックさん、うちのクリニックにも顔を出してくださいね。
みんなが 待っていますよ
2022年9月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.17
カンガルーの本棚 旅立つ者と残された者と
長月天音さんの「ほどなく、お別れです」(講談社文庫)を読みました。
主人公は、就活中の女子大生
内定が決まらずに、はじめたバイト先は葬儀屋さん
旅立つ者と残された者の哀愁が、彼女の心を揺さぶります。
哀しみの中に、前へ進もうとする生きる力を見つけるお手伝いを
そんな仕事の意味を見つけていく小説です。
いたやど駅前、井戸書店の森店長さんお勧めの一冊です。
2022年9月17日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.14
カンガルーの本棚 黄金の蝶
飯嶋和一さんの「黄金旅風」(小学館文庫)を読みました。
寛永年間は2代将軍徳川秀忠から家光の世にうつり行く時代。
鎖国前の海外貿易が盛んな頃の、長崎の物語。
貿易商の家に生まれた型破りな末次平左衛門は、
長崎の民を守る一念で行動し、そして「黄金の蝶」を見ます。
歴史上の人物が多く登場し、読み進むのに難渋することもありましたが、
歴史に名を残す主人公の生き方に、大いに共感しました。
2022年9月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.12
カンガルーの本棚 家族の味
西條奈加さんの「まるまる毬」(講談社文庫)を、読みました。
大江戸の小さな和菓子屋さんの、3代にわたる家族の物語。
値が張る和菓子ではなく、庶民でも手が届くお値打ち値段のお菓子を
日替わりで作り続ける祖父と、それを支える娘と孫娘
どんな秘密が隠されていて、何が起きるかは読んでのお楽しみ
人情話も西條さんに、おまかせです。
2022年9月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.09
カンガルーの本棚 きんとぎん
高田郁さんの「あきない世傳金と銀 大海編」(ハルキ文庫)を読みました。
大江戸に店を構え、大火や身内の裏切りにあいながら、
商いを拡げていく五鈴屋の幸
新しいく開いた店を取り上げられ、
それでもみなと手をつなぎながら 前を向いて歩いていく
金は柔らかく、いつまでも光り続ける
銀は曇ってしまうけれども、それはひとからひとの手に渡った証
金と銀がそろわなければ商いはできないという言葉が
13巻続いた物語をしめくくります。
いまからスピンオフ作品が楽しみです。
2022年9月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.05
カンガルーの本棚 本屋さんお勧めの
朝倉宏景さんの「あめつちのうた」(講談社文庫)を読みました。
甲子園球場のグランド整備の職を選んだ青年と、仲間の成長の物語。
スポーツに関しては、新聞紙面で結果を通り読みするしか能がないわたしですが、
いたやど駅前の井戸書店の森店長さんのお勧めのまま、
読み始めると、これがやめられない。
スポーツ選手の汗と苦悩が迫り、一気読みの1冊になりました。
2022年9月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.01
カンガルーの本棚 変わるものと変わらないものと
三上延さんの「同潤会代官山アパートメント」(新潮文庫)を読みました。
19年からはじまる4世代の物語、
関東大震災、戦争、バブルの崩壊、そして、阪神淡路大震災
歴史の大きな流れの中で翻弄されながら、
変わるものと、変わらないものと
アパートメントとともに、家族のささやかな歴史が刻まれていきます。
2022年9月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.29
カンガルーの本棚 やらまいか
伊吹有喜さんの「なでし子物語地の星」(ポプラ文庫)を読みました。
子どもが生まれ、働き始めた耀子
高齢化をたどる山村で、自分ができること、
じぶんがやりたいことを模索します。
「やらまいか」
まわりを励まし、自分を励ます言葉とともに、
耀子は、おとなの女性へと育っていきます。
時代の流れの中で、力強く生きようとする耀子が、輝きます。
大河小説の3巻目は、心に響く1冊です。
2022年8月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.26
カンガルーの本棚 旅立ちの日に
伊吹有喜さんの「なでし子物語天の花」(ポプラ文庫)を読みました。
高校を卒業する前に、耀子は誰にも告げず家をでます。
車窓を見つめるうちに、ともに過ごした少女時代の思い出がよみがえります。
誰にも愛されない、だれも頼ることができない耀子
不安の中で物語は進んでいきます。
大河小説の2巻目も、つらくなる思いがする1冊です。
2022年8月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.23
カンガルーの本棚 山奥の村で
伊吹有喜さんの「なでし子物語」(ポプラ文庫)を読みました。
家族の愛情に恵まれない耀子
山奥の生活で出会った、立海
ふたりは、自分を消すことで生き延びようとする同類である事に気づきます。
自立とは、顔をあげて生きること
自律とは、美しく生きること
全3巻からなる、大河小説の1冊目
幼いものが、大きな流れに押し流されていく時代にあらがいながら、
遠くにちいさな灯をみる思いがする小説です。
2022年8月23日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.20
カンガルーの本棚 蓮の花のすがた
西條奈加さんの「大川契り・善人長屋」(新潮文庫)を読みました。
囚われの身となった母と娘
恐怖を共にする中で、母は娘に自分の過去をはなし聞かせます。
貧しい幼い時、そして天下をわが手にした娘時代
絶望の中、夫との出合い救われていく
家族の絆が、強く胸を打ちます。
真夏の夜半に読み終えると、自身の昔の出来事が思い出されます。
2022年8月20日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.18
カンガルーの本棚 正義とは
西條奈加さんの「閻魔の世直し」(新潮文庫)を読みました。
大江戸で次々と起こる、裏社会の親玉の死
「閻魔組」と称する一味が、世直しを始めたとの瓦版がまかれます。
江戸と令和という時代は違えども、
正義の名に置いて他人を誅する人心は、おなじ根を持っています。
「社会の病理を無視して厳罰化を進めても、果たして効果はあるのだろうか。」
末國善己氏が本書の解説に寄せる一文に、大きくうなづきます。
2022年8月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.16
カンガルーの本棚 いい人の影に
西條奈加さんの「善人長屋」(新潮文庫)を読みました。
大江戸は深川にある長屋の別名は「善人長屋」
その実態は、裏社会につながる悪党が住む長屋です。
そこへ、本当の善人が迷い込むことから始まる物語。
それぞれの特技を生かしながら、ふりかかる問題を解決していく痛快さ
新しいタイプの時代劇に、ワクワクします。
2022年8月16日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.12
カンガルーの本棚 ラジオのむこうから
湊かなえさんんの「ブロードキャスト」(角川文庫)を読みました。
主人公は、事故で運動部を断念した高校生圭祐
入学したての日に、一度も話したこともない同級生正也から
放送部に入部しようと誘われます。
その声に惚れたとの言葉と共に
全国大会を目指す中で、物語の中の世界ではなく、
生きているこの世界で、どう行動するのかが試されていることに気づきます。
文化部というと、地味に思われがちな部活の中での青春。
数時間の読書タイムが、短く感じられるワクワク作品です。
2022年8月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.09
カンガルーの本棚 親ガチャの時代に
志水宏吉先生の「ペアレントクラシー」(朝日新書)を読みました。
ペアレントクラシーとは、親の影響力が極めて強い社会
家庭の富と、親の願望とが子どもの将来や人生に
大きな影響を及ぼす社会のことです。
この社会を、子ども、親、教師、教育行政の視点から分析されています。
「幸せとは、好きなことを好きな人と一緒にできること」
「好きなこと」を見出すためには、幅広い確かな学力を
多くの「好きな人」を見つけるためには、豊かな人間性や社会性が必要である
それらを育む経験や機会を提供するのが、公教育の務めであると
筆者は、この信念をもとに、ペアレントクラシーの克服策を
教え子と共に考えられていきます。
今の子どもの世界、特に教育の世界を知るうえで、一読をお勧めします。
2022年8月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.08
カンガルーの本棚 陽が降り注ぐ岬の家で
伊吹有喜さんの「風待ちのひと」(ポプラ文庫)を読みました。
主人公哲司は40歳を前に、心を病みます
亡き母の遺品整理にと帰った岬の家で、
ペコちゃんと出合い、命を助けられます。
遺品整理を手伝ってもらい、
食事をして、眠り、ゆったりとした生活をする中で、
哲司に生きていくうえで、大切なものがよみがえります。
ひとりの男性と、ひとりの女性をめぐる
1本の映画のような素敵な小説です。
2022年8月8日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.07
カンガルーの本棚 2枚目のすごろく
西條奈加さんの「隠居すごろく」(角川文庫)を読みました。
仕事一筋に生き、隠居生活を夢見ていた「徳兵衛」は、
孫の千代太が訪ねてきてから、歯車が狂いだします。
まずは白イヌ、そして、汚い身なりの兄妹
次々に千代太が連れてくるお客に翻弄されながら、
人生の意味について、悟ります。
450ページを超える大作ですが、お勧めの1冊です。
2022年8月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.06
カンガルーの本棚 ドイツ人の生き方
キューリング恵美子さんの「ドイツ人はなぜ自己肯定感が高いのか」
(小学館新書)を読みました。
国際比較では、日本人の自己肯定感の低さが注目されています、
一方「自分自身にまんぞくしてる」ドイツ人は81%
この差はどこから来るのか
自分のために生きる
そのままの自分を受け入れて、自分を大切にする
自分に自信をもつ、自分の意見をしっかりと持つ
自分自身が居心地よく、楽しく過ごせるように心がける
仕事、お金よりも自分や家族の時間を優先する
他人と自分を比べない
この観点から、キューリングさんはドイツ人の生き方を伝えられます。
この生き方が平均的なドイツ人だとすれば、
わたし達は何をしているのでしょうね
島国に住むわたし達に投じられた、生き方を問う1冊です。
2022年8月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.05
カンガルーの本棚 おとなにも難しい
浜矩子先生の「子どもと考える経済のはなし」(クレヨンハウス)を読みました。
お金ってなに
経済ってなに
大人にもむずかしい、問いかけです。
ひととひととが信頼関係をもって作るもの
ひとをしあわせにするもの
浜先生は、お金や経済への問いかけに、明確に答えられます。
子ども向けにかかれた絵本ですが、
短い文章の中に、お金の本質が詰まった1冊です。
2022年8月5日
いたやどクリニック 木村彰宏