カンガルーの小部屋

2010.02.21

かんがるう目線 臨床美術

起きぬけの頭で、おもしろいテレビ番組を見ました。

「カラダのキモチ」という番組です。

今日のテーマは、臨床美術。上手な絵を書く技法ではありません。脳の司令塔と言われる前頭前野を活性化させる美術です。

通常、わたし達がリンゴや、とら、家、月、星を書くときには、その特徴を象徴化した記号として書いているとのことです。この書き方では、前頭前野は殆ど活性化されません。

臨床美術では、リンゴの香り、味、質感を感じ取ります。つぼみから、実になり大きく育っていく過程を想像します。そして、それを絵で表現します。それがしっかりと脳を使うと言うことだとのこと。

「ネガポジ画」という手法にも、ふれられていました。

ものを描くときに、その形ではなく、ものが占有している周囲の空間の形から描いていく、

発想の転換です。とてもおもしろい考え方だと思いました。

相手の気持ちになって考える、今までと反対の立場から世の中を見てみる。これはなにも臨床美術の世界に限ったことではありません。

おさんぽで、ハッちゃんにおやつをあげるシーンを「ネガポジ」発想で書いてみましょうか。

「今日は道路が凍っていて、肉珠が冷たいなっ。でも、公園の草のところは、だんだんと柔らかくなってきたかな。あれ、おかあさんが、袋をごそごそとしだしたぞ。お菓子かな。ササミのにおいだ。やった!おやつだ!おやつだ!あれっ、なぜくれないんだろ。そうか、お座りしなくっちゃ。おかあさん、見て、見て。僕お座りしているよ。はやく、ちょうだい、ちょうだい・・」やっぱりイヌものの文章ではパターン化しすぎて、脳の活性化は今ひとつですね。

記号化しない考え方、今までの自分の経験にとらわれすぎない考え方。

そんな毎日が過ごせると、素敵だなと思いました。

                       2010年2月21日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏