カンガルーの小部屋

2017.12.31

カンガルーの本棚 いったりきたり

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朝井まかてさんの「藪医ふらここ堂」(講談社時代小説文庫)を、読みました。

江戸の町で小児医を営む主人公は、

仕事よりも どうすれば楽に暮らせるかと考える毎日です。

弟子に、「小児医の極意は」と聞かれ、

「ふらここだ」と答えます。

「ふらここ」とは、今でいう「ブランコ」のこと

どういうたとえなのかなと、読み進むと、

人は、「正」と「邪」の間を、いったりきたり

こっちが病のある状態、こっちが元気な状態

悪いところもあわせもって生きていく

薬で無理やり取り除くのではなく

徐々に折り合いをつけていく

作者は、主人公のことばに、こう意味を持たせます。

くる年も、「ふらここ」のように、ゆれながら過ごそうと思います。

今年一年、おつきあいくださり、ありがとうございました。

     2017年12月31日

     いたやどクリニック 木村彰宏