カンガルーの小部屋

2010.06.26

カンガルーの本棚 優しさは・・ 

道上哲也医師の「ボクにしか書けないケイコの物語」(かもがわ出版)を読みました。

道上医師と、パートナー「ケイコさん」の闘病記です。

道上医師は、わたしの前任のクリニック院長をされていました。

内科と小児科と言う専攻の違いのせいか、親しくお話しをさせていただいた記憶はありません。

そんな近くて、少しだけ遠い存在の医師の物語を、淡々と読みはじめました。

とまどい、怒り、悲しみ、寂しさ。

そのひとつ一つのありのままを、感情を抑えられた文体で、ていねいに綴られています。

「優しさは、悲しみや寂しさがじょうずに育っていったもの」

あとがきの中で、重松清さんのこの言葉を引用されています。

「いいご本を書かれましたね」

今度、道上医師にお会いした時に、こう声をおかけしようと思います。

でも、道上医師と同じ医療生協で働いていることの誇りを、どのように伝えすればよいのか、まだ言葉を探せずにいます。

                       2010年6月26日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏