カンガルーの小部屋

2012.06.20

カンガルーの本棚 愛情と無理解と

佐々木正美先生の「アスペルガーを生きる子どもたちへ」(日本評論社)を、読みました。

「アスペルガー症候群は、脳の統合機能の障害だ」と、佐々木先生は推察されます。

親子の関係に言及された箇所で、「親は最大の愛情をもって『理解者になりたい』と思いながらも、同時に偏見者になってしまうというきわどいところがある」と、書かれています。

子どもの障害を認めたくない親の気持ち、なんとか「普通の子ども」にしようと頑張る親の熱意。

それが子どもを追いつめて、二次障害を引き起こしていきます。

子どもの「あるがまま」を認め、子どもにその人生を任せる難しさ。

講演口調の読みやすい文章ながら、そこに書かれている内容の深さと難しさに、沈黙の一冊です。

2012年6月20日

いたやどクリニック小児科 木村 彰宏