カンガルーの小部屋

2024.01.10

カンガルーの本棚 重く悲しい物語

小川糸さんの「とわの庭」(新潮文庫)を読みました。

主人公「とわ」は、目が見えません。

音と、においと、肌で、この世の中を受け止めていきます。

母とふたりの生活に終止符が打たれた後、

孤独と、飢えと戦う日々が始まります。

勇気を振り絞って、歩き始めたいっぽ、にほ、さんぼ

盲導犬との出会い、ご近所さんとのふれあいのなかで、

「とわ」は、いきているすごさに気づきます。

物語の中とはいえ、「とわ」のつらさを受け止めるには、

読み続ける勇気が必要です。

この世の中から、悲しい思いをする子どもが、ひとりでもなくなりますように。

2024年1月10日

いたやどクリニック小児科 木村彰宏