カンガルーの小部屋

  • 2024.03.26

    カンガルーの本棚 からっぽの箱に

    寺地はるなさんの「希望のゆくえ」(新潮文庫)を、読みました。

    失踪した「希望」という名の弟を、たずね探す「誠実」という名の兄

    弟が働いていた会社の同僚や、失踪後に住んでいたアパートの家主

    そして、同居していた女性を探しだし、

    弟の消息を尋ねるうちに、弟が抱えている心の闇に気づきます。

    お菓子の空き箱に、大切なものを詰めるように、心の闇を埋めていく、

    その先に、一筋の希望の光を見る思いがします。

    難しいテーマが描かれた小説です。

    2024年3月26日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏