2013.10.12
カンガルーの本棚 光と音とにおいの
朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」を、読みました。
カンガルーには、すっかり縁が遠くなった 高校生活を描いた作品です。
バレー部、ブラバン部、映画部、ソフトボール部、そして野球部に属している
5人の高校生の学校生活が、さわやかなテンポの文体で、浮かび上がります。
教室にさす光、校庭に響く声、部室の湿ったにおい、
そして、クラスにドッカと存在する、「上」と、「下」の関係。
「もう一度、高校生に戻る気持ちはあるのかな」と聞かれたら、
自分を追い詰め続ける受験勉強と、人間関係の息苦しさが思い出され、
「いえ、今のままで結構です」と答える自分がいます。
2009年小説すばる新人賞に輝いた作品です。
2013年10月12日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏