カンガルーの小部屋

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  • 2022.03.22

    カンガルーの本棚 縁がつながり

    小野寺史宜さんの『縁』(講談社文庫)を、読みました。

    駅の修繕屋に勤める青年、

    しあわせに過ごす同僚を、受け入れることができないでいる女性

    息子の後始末に奔走する男性

    息子の就職の後押しを願う母親

    生まれも育ちの異なる4人が出合い

    それぞれが歩く道を踏み外す、その時に踏みとどまる縁(ゆかり)

    作者の人を信じる温かさを感じる作品です。

    2022年3月22日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.03.19

    カンガルーの本棚 闇の湖の中で

    小野寺史宜さんの「夜の側に立つ」(新潮文庫)を読みました。

    受験を控えた高校3年の時に、

    野本は友人の勧めで、ロックバンドを組みます。

    男子3名、女子2名のバンドは、文化祭で喝采を浴び、

    そして、それぞれの道を歩き始めます。

    結ばれては離れ、

    22年の月日が流れ、再会を果たしたその夜に起きた出来事は

    青春の燃え盛り思い悩む時期に幕を下ろし、

    次の年代に歩みはじめる再生の物語です。

    2022年3月19日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.03.14

    カンガルーの本棚 ピッチに立てなくても

    小野寺史宜さんの「ホケツ!」(祥伝社文庫)を読みました。

    両親を亡くし、叔母と暮らす大地は、高校3年生。

    一度もピッチに立てないサッカー部員。

    レギュラーの練習相手に、いろんなポジションをこなし、

    家庭でも、主張することなく控えめに生きている。

    そんな彼を、仲間は心の中で頼り、悩みを打ち明ける。

    神さまでも、仏様でもない少年大地が、

    逆境の中でも、前を向いて走る先に待っているのは

    2022年3月14日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.03.08

    カンガルーの本棚 名前のつながり

    小野寺史宜さんの「ひと」(祥伝社文庫)を、読みました。

    両親を亡くし、東京の大学を中退した聖輔は、孤立し

    その日の暮らしにも困ります。

    総菜屋さんで働きはじめた聖輔は、

    店主や仕事仲間、そしてバンドの仲間とのつながりの中、

    亡くなった父の夢を追いかけ始めます。

    大切なのは、形があるものではなく、人と人とのつながり

    当たり前だけれども、忘れがちな大切なことを、

    物語は教えてくれます。

    2022年3月8日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.03.04

    カンガルーの本棚 長い旅路の果てに

    乾ルカさんの「花が咲くとき」(祥伝社文庫)を、読みました。

    小学6年生の大介は、成果主義の両親の中で希望を持てないで暮らしています。

    隣家の老人が運転する車に忍び込み、家出を試みます。

    東京から舞鶴、山口、そして長崎へと

    2人の旅は進みます。

    そこで出会うおとなたちに、仕事の意味、お金を稼ぐ大変さ、

    恥ずかしさとはなどを学び取り、

    少しずつおとなの世界に足を踏み入れていきます。

    旅の終着駅、長崎で2人を待っていたものは・・

    少年の目を通して、人の良心と戦争の愚かさを伝える作品です。

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  • 2022.03.02

    カンガルーの本棚 小さな大発見

    清邦彦先生の「女子中学生の小さな大発見」(新潮文庫)を読みました。

    清先生は、中学の理科の先生です。

    「日常に、ふと感じた小さな疑問」を大切にと、

    生徒から集めた研究テーマを整理した本です。

    テーマや結果へのコメントは一切ありません。

    答えを教えないこと

    その勇気に込められたメッセージに共感です。

    2022年3月2日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.28

    カンガルーの本棚 出合いそして

    椰月美智子さんの「消えてなくなっても」(角川文庫)を読みました。

    タウン誌の取材に、「あおの」は山奥の治療院を訪れます。

    そこで出会った節子先生と暮らすうちに、

    ストレス障害で苦しんでいた心が癒されるのを感じます。

    年の近い「つきの」との出会い

    そして、二人の名前に隠された秘密とは

    運命を受け入れることの悲しさと温かさと

    不思議な物語の中に、生きる力を感じます。

    2022年2月28日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.26

    カンガルーの本棚 夢を信じて

    重松清さんの「いとしのヒナゴン」(文春文庫)を、読みました。

    故郷に帰ったノブは、山中で目撃されたという「ヒナゴン」を見つける

    担当課で働き始めます。

    過疎の村の将来を決める町村合併の嵐の中で、

    夢を信じて、夢を追いかけるノブに、

    様々な出来事が襲いかかります。

    そんなとき、伝説の「ヒナゴン」は

    2017年に出版された同名小説の改訂版ですが

    はじめて読んだかのようにおもしろく

    1日で一気読みしました。

    2022年2月26日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.24

    カンガルーの本棚 磨かれた包丁

    森沢明夫さんの「エミリの小さな包丁」(角川文庫)を、読みました。

    都会での裏切りと中傷の嵐の中で、傷つき明日が見えなくなったエミリは

    母のふるさとの漁村で暮らし始めます。

    透き通る空、波のざわめき、凛と響く風鈴の音

    そして、なにより祖父の手作りの料理に、心が立ち上がりの始めます。

    出会いと別れ

    旅立つ時に祖父から手渡された小さな包丁に込められた願いとは

    家族の再生を願う、あたたかい小説です。

    2022年2月24日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.15

    カンガルーの本棚 心は磨かれる

    森沢明夫さんの「ぷくぷく」(小学館文庫)を、読みました。

    主人公は、まあるい金魚鉢の中で暮らす琉金の「ゆき」

    ご主人の「イズミ」との二人暮らしの物語

    「違いと、嫌いとは別物」

    「こころは傷つかない、ただ、磨かれるだけ」

    物語のなかから、珠玉の言葉が語りかけます。

    こころが前むきになれる1冊です。

    2022年2月15日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.09

    カンガルーの本棚 読書の力

    榎本博明先生の「本を読む子は○○がすごい」(日経プレミアムシリーズ)を読みました。

    本を読む人と読まない人の二極化が進んでいます。

    不読率(本を1冊も読まない人の割合)は、

    最近の調査では大学生の48%にのぼるといいます。

    言葉は、コムにケーションの道具としての生活言語と、

    思考の道具としての学習言語に分けることができます。

    日常会話は楽しめても、深く考えることができない大学生が

    この先の日本の進路のかじ取りを、どうしていくのか

    先生は、その処方箋についても言及されます。

    読書が持つ力を考えるうえでの、示唆に富む1冊です。

    2022年2月9日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.02.01

    カンガルーの本棚 10年に一度の

    遠田潤子さんの「ドライブインまほろば」(双葉文庫)を、読みました。

    ドライブインを営む比奈子のもとに、男の子と女の子が逃げてきます。

    過酷な運命を背負った男の子は、

    10年に一度現れ、それを見た者はもう一度生まれ変わることができるという

    「10年池」を探します。

    男の子を追う男と、男の子を守ろうとする比奈子との間に生まれる共感と否定

    家族の再生を願う作品です。

    2022年2月1日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.27

    カンガルーの本棚 秘められた愛

    持地佑希子さんの「七月七日のペトリコール」(集英社文庫)を読みました。

    高校生の和泉の携帯に、不思議な電話がかかってきます。

    それは、12年まえの自分からの電話

    事故で亡くなった親友の命を救うため、

    高校生の自分とともに、未来を変える行動をおこします。

    現在と過去とを行き来する中で、

    そして、その結末は・・

    秘められた愛が、奇跡を引き起こします。

    2022年1月27日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.24

    カンガルーの本棚 あたたかい手

    大沼紀子さんの「てのひらの父」を、読みました。

    舞台は、都内の下宿屋さん

    就活中の主人公と、司法試験浪人の女の子、

    キャリアウーマンの3人が暮らす下宿屋さんに

    突然あらわれた、いかつい顔の管理人

    ドタバタの毎日を過ごす中で

    複雑な家族の問題をかかえる3人に、

    あたたかな父の手のぬくもりが、よみがえります。

    2022年1月24日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.18

    カンガルーの本棚 名前がかわっても

    瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」(文春文庫)を読みました。

    主人公の優子は、3つの名前をもつ女の子

    母親がなくなり、再婚した継母を残して、実父は海外移住

    継母は2人の男性と結婚し、その都度住まいと名前が変わります。

    でも、5人の親に共通しているのは、優子を大切に育てる思い

    5人分の愛情を受け、優子は育ちます。

    そして、新しい家族を作るために旅立ちます。

    映画化された作品の原作です。

    2022年1月18日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.15

    カンガルーの本棚 水曜日はポストに

    森沢明夫さんの「水曜日の手紙」(角川文庫)を読みました。

    育児につかれ、パン屋さんになる夢を忘れていた直美

    仕事に追われ、絵本作家になる夢をあきらめていた洋輝

    ふたりが書いた「水曜日の手紙」

    離れて暮らしていても、同時代を生きる縁が

    ふたりの生き方を変えていきます。

    2022年1月15日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.13

    カンガルーの本棚 君は今何を思っていますか

    持地佑季子さんの「クジラは歌をうたう」(集英社文庫)を読みました。

    ふるさとの沖縄を捨て、東京で暮らす拓海が、ある日気づきます。

    高校の時に想いを寄せていた睦月のブログが、12年ぶりに更新されたことを

    自分しか知らない死んだはずの睦月のブログが、

    なぜ、誰の手により更新されたのか

    明らかになる謎の数々

    クジラは誰のために歌うのだろう

    青春の心の傷をやさしく歌う名作です。

    2022年1月13日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.11

    カンガルーの本棚 言葉が分かる犬

    知念実希人さんの「優しい死神の飼い方」(光文社文庫)を読みました。

    天上から追い払われ、犬に姿を変えた主人公?

    ひらわれて過ごす緩和ケア病院で解き明かされていく謎の数々

    心は死神、体は犬という主人公のとまどいに、

    おかしさを禁じえません。

    外来に通っている、中学生の男の子いち押しのミステリーです。

    2022年1月11日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.09

    カンガルーの本棚 名曲にのせて

    林民夫さんの「糸」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    花火大会で出会った中学生のふたり

    虐待を受けていた葵は、漣から引き離され姿を消します。

    時が流れ、それぞれの人生を歩むふたりは

    運命の糸に手繰り寄せられるかのように、

    巡り会い、抱きあいます。

    ページの間から、切々とした歌声が聞こえ始めます。

    2022年1月9日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.01.05

    カンガルーの本棚 おもいでの一枚

    熊澤尚人さんの「おもいで写真」(幻冬舎文庫)を読みました。

    故郷に住む祖母のもとに帰ってきた結子は、

    幼なじみの一郎の勧めで、おとしよりの「遺影写真」を撮る仕事をはじめます。

    「縁起でもない」と拒み続けられる日々

    ふとしたきっかけで、おもいでの場所で、「おもいでの写真」を撮ることになります。

    満面の笑みを浮かべるおばあさんを収めた一枚の写真が

    結子と、富山の寒村に住むおとしよりの心を結び付けていきます。

    そして、失った過去が、静かに動き始めます。

    2022年1月5日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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