カンガルーの小部屋

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  • 2020.05.03

    カンガルーの本棚 小さな折り紙

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    ほしおさなえさんの「活版印刷三日月堂」(ポプラ文庫)を、読みました。

    シリーズ6冊目のサブタイトルは「小さな折り紙」

    6つの短いお話の中で、最後の「小さな折り紙」に心ひかれました。

    こころの奥深くに刻まれた、小さな時の思い出が、

    子ども達を、まっとうなおとなに育てていくことを信じて・・

    保育を受け継いでいく主人公たちに、敬意を伝えたくなる作品です。

        2020年5月3日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.05.01

    カンガルーの本棚 こどもの頃の

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    椰月美智子さんの「未来の手紙」(光文社文庫)を、読みました。

    少年少女の5つのお話が納められた短編集

    どのお話が心に残るかは、あなた次第

    わたしは、「しいちゃん」が、お気に入りです。

    小学校6年生の女の子のりえちゃんと、おかあさん、おばあさんの日常を描いた物語

    「大好き」って言葉は、伝染するんだね

    のりえちゃんの言葉に、わたしも大きくうなずいてしまいました。

       2020年5月1日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2020.04.26

    カンガルーの本棚 スマホは依存物?

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    中山秀紀先生の「スマホ依存から脳を守る」(朝日新書)を、読みました。

    スマホは、スマートフォンの略

    スマートという意味は、本来「痛みを感じる」という意味だそうです。

    その機敏なこころの動きから、スマートという言葉は「かしこい」という意味に

    スマートフォンは、賢くて便利で

    でも、他人の不幸に痛みを感じるかというと、

    どうやら そのような賢さは 持ち合わせていないように思います。

    コロナ禍で、学校が長期のお休みになり

    子ども達は、スマホやゲーム機を片手に時を過ごしています。

    いつか世の中が落ち着きを取り戻し、

    あとには、ゲーム依存症の子どもが数多く取り残されている

    そんな悪夢のような未来を現実としないためにも、

    この本が広く読まれることを、願います。

        2020年4月26日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.03.25

    カンガルーの本棚 親から子へと

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    友田明美先生の「親の脳を癒せば子どもの脳は変わる」

    (NHK出版新書)を、読みました。

    発達障害と間違われやすい、マルトリートメントによる愛着障害

    虐待の奥にある、親自身が受けてきた心の傷

    友田先生は、最新の画像機器を駆使されて、

    子どもの脳に起きている変化を、見える化する研究に取り組んでおられます。

    適切な育児ができる養育脳を育てるために、若者が乳幼児とふれあい

    社会で子どもを育てる「とも育て」を提唱されます。

    臨床で得た経験から、研究へ

    そして社会の中での実践へと、友田先生の挑戦は続きます。

    「子どもの脳を傷つける親たち」に続く、野心作です。

       2020年3月25日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.03.20

    カンガルーの本棚 世話を焼く社会

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    岡田尊司先生の「死に至る病」(光文社新書)を、読みました。

    愛着障害について書かれた岡田先生の著書をよむのは、3冊目

    驚きと不思議さと、

    そして、自分が今まで生きてきたよりどころを、深く考えさせられます。

    愛着は、世話を焼く仕組み

    世話を介して、世話をする者にも、される者にも、安心と信頼の絆が育まれる。

    世話をすることによって愛着は育まれ、それは喜びとなり、生きる意味になる。

    ページを繰るごとに、岡田先生の深い言葉に出合います。

    世話を焼く社会、医療生協の役割りの大きな意味もそこに感じます。

    手の届くところにおき、繰り返し読もうと思う1冊です。

       2020年3月20日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.03.07

    カンガルーの本棚 情けは人の

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    岡田尊司先生の「愛着障害の克服」を、読みました。

    長く医療少年院で勤務され、今は精神科クリニックで働かれている先生は

    出会われた患者さんの背景に、愛着の障がいが見られるといわれます。

    子ども時代に満たされなかった思いを、おとなになってからも引きずられて

    苦しんでおられる方の多さに驚きます。

    ペットや動物の世話をする、困っている人の面倒を見る、自分自身の子どもを育てる

    こうした体験は、自身の愛着:アタッチメントを見直し育てる経験となるといわれます。

    情けは人のためならず

    愛着をキーワードに、まわりの方との付き合い方を見直そうと思います。

    読まれると、自分が変われるきっかけがもらえますよ。

       2020年3月7日

       いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2020.02.02

    カンガルーの本棚 生きづらさをかかえる人たち

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    岡田尊司先生の「過敏で傷つきやすい人たち」(幻冬舎新書)を、読みました。

    HSPあるいはHSCという言葉をご存知ですか

    過敏で傷つきやすい大人や子ども達をさす言葉です。

    従来は自閉スペクトラム症の人に多いといわれていましたが

    岡田先生は、愛着障害の観点から、この病気を説明されます。

    そして、その対処法とは、

    生きづらさに悩まれている方に、お勧めの1冊です。

       2020年2月2日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.01.21

    カンガルーの本棚 そうだ美術館に行こう

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    原田マハさんの「デトロイト美術館の奇跡」(新潮文庫)を、読みました。

    デトロイトといえば自動車産業の発展と凋落の波に翻弄された大都市という

    知識しか持っていなかったのですが、

    市の財政破綻を前に負債軽減の目的で、

    美術館の所蔵作品を売却する計画があり、

    市民と全米の財団とがそれを救ったという出来事を

    この本を通じて知りました。

    この小説は実話をもとに、芸術を友として愛する市民が描かれています。

    お休みの日にゆっくりと、美術館に足を運びたくなる気持ちにさせる1冊です。

         2020年1月21日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2020.01.20

    カンガルーの本棚 地球気候の歴史

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    横山祐典先生の「地球46億年気候大変動」(講談社)を、読みました。

    地球温暖化の原因として、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が考えられ、

    地球規模の対策が進められています。

    その一方で、二酸化炭素説に疑問を投げかける論評もあり

    本書を手に取り、勉強することにしました。

    46億年の歴史の中では、氷期と間氷期が繰り返され、

    その大変動は、大気中の炭素の循環と、

    地球の公転軌道のブレによると、先生は解説されます。

    しかし、人間の活動による、近年の二酸化炭素濃度の急上昇は

    地球がもつ気候の循環を、大きく揺るがす可能性があると危惧されます。

    地球温暖化を考える時に、知識の基本となる良書です。

        2020年1月20日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.11.08

    カンガルーの本棚 いきづらさをもつ子どもたち

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    明橋大二先生の「何かほかの子と違う?HSCの育ち方」(1万年堂出版)を読みました。

    HSCは、Highly Sensitive Child(ひといちばん敏感な子ども)の略です

    HSCは、DOSEと略される4つの特徴があるとされます。

    D 深く考える

    O 過剰に刺激を受けやすい

    S 感情反応が強く、共感性が高い

    E ささいな刺激を察知する

    過敏な子どもといえば、従来アスペルガーの子どもを考えていましたが、

    HSCは、S 感情反応が強く、共感性が高いところが違います。

    そう考えると、外来にも何人ものHSCの子どもが通われています。

    もう少し勉強して、理解を深めていきたいと思います。

          2019年11月8日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2019.10.27

    カンガルーの本棚 今しておくことは

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    杉浦孝宣先生の「不登校・ひきこもりの9割は治せる」(光文社新書)を読みました。

    不登校の小中学生は16万5千人と増え続け、大きな社会問題となっています。

    登校圧力が子どものストレスになるという考え方が拡がり

    不登校の子どもと、どのように接していけばよいのか、

    迷いは、迷いにつながります。

    まずは、しっかりと休養し、充電を始めることが大切ですが

    杉浦先生はそのうえで、次の3つのことを提唱されます

    ①規則正しい生活をする

    ②自律して自信をつける

    ③社会貢献をする

    社会参加する道筋は、たやすく見えるものではないですが

    家族以外の第3者の支援が鍵になるといえます。

    混とんとしているときだからこそ、一石を投じる一冊です

        2019年10月27日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.09.26

    カンガルーの本棚 麒麟がくる

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    海音寺潮五郎さんの「明智光秀をめぐる武将列伝」(文春文庫)を、読みました。

    2020年NHK大河ドラマの主人公は、明智光秀

    それにちなみ、作者の武将列伝を

    コンパクトに編集されたのが本書です

    斎藤道三、織田信長、石田三成、豊臣秀吉、前田利家、黒田如水、徳川家康

    史実から掘り起こした人物像を、フィクションを排して教科書風に淡々と

    どちらかといえば、感情移入しにくい文体ですが、

    戦国時代に生きた武将の生き様を、興味深く読みました。

       2019年9月26日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.09.25

    カンガルーの本棚 伝えたいことが

    81bU3ZCbFiL[1]

    宮口幸治先生の「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)を、読みました。

    書店に平積みされた、表紙の帯の図柄に引かれて手に取り購入

    そのまま、2日で読み切るおもしろさ

    犯罪に手を染める青年たちの心の闇を描き出しています

    ASD・ADHD、被虐待体験、そして認知機能の未熟さ

    一般的に知的発達障害と言われる検査結果からは

    拾い上げることができない軽度の知的な遅れが、

    社会適応を妨げ、社会からのドロップアウトにつながっていることを

    宮口先生は、医療少年院に勤務された体験から、解き明かされます。

    正常ですといわれ、何の援助も受けられずに育った少年たちの心の叫び

    伝えたいことが、本書には詰まっています。

    明日からの診療の質を変えてくれる1冊です。

       2019年9月25日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.09.16

    カンガルーの本棚 何も知らない

    71RRTM3zMSL[1]

    池上彰さんの「高校生からわかるイスラム世界」(集英社文庫)を、読みました。

    9.11同時多発テロのあと、イスラム原理主義­=テロリストという

    短絡的な思考回路が、世界中を席捲しています。

    池上先生は、まずイスラム教の歴史を ユダヤ教、キリスト教との関係で整理され、

    イスラムの守るべき教えと、イスラムの文化を紹介されます。

    中東問題、湾岸戦争という現代史を

    イスラム世界の側から問い直すと、何も知らなかったことに驚きます。

    多くのイスラム教徒や原理主義者たちとテロリストたちを

    同一視してはならないと、池上先生は言葉強く述べられます。

    知っているつもりで知らなかった。

    読後にこんな思いにさせられる 知的な1冊です。

        2019年9月16日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.09.08

    カンガルーの本棚 神か悪魔か

    71Y6dIulcSL[1]

    池上彰さんの「高校生からわかる原子力」(集英社文庫)を、読みました。

    原子力という言葉を聞くと、東京電力原発事故のあとは拒絶感が先に立ちます

    池上先生は、まず物理学の歴史から立ち入り

    戦争に使われ、広島・長崎の惨劇をうんだこと

    戦後は一転して、平和利用のキャンペーンが張られ、

    「トイレなきマンション」と揶揄されながら、

    原子力発電所依存政策がとり続けられ、

    袋小路に迷い込んでしまっている歴史を

    短い文章の中に簡潔に説明されています。

    原子力は、神か悪魔か

    それは あなたたちが決めることですと、締めくくられます。

    わたし達が生きている時代だけでなく、

    これから続いていく子孫のために、答えを先送りする時間はありません。

    分かりやすい本だけに、多くの人にお読みいただければと思います。

        2019年9月8日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.09.01

    カンガルーの本棚 マルクスからの伝言

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    池上彰さんの「高校生からわかる資本論」(集英社文庫)を、読みました。

    資本論って、そうあの資本論です。

    カンガルーが学生の時には、社会の在り方について活発な論議があり

    資本論も必読の書でした。

    が、難しい表現が多く、読了には時間を要しました。

    池上さんの手により、わかりやすく解説された本を手にし、

    休日一日をかけて、読了しました、

    長時間労働、過労死、非正規雇用、派遣切りなどなど

    若者を苦しめている現代の課題が、150年も前にマルクスにより

    解明されていたとは驚きです。

    読後どう行動するのかは その人にゆだねるとして、

    今の政治のありかたに、苦々しくお思いの方にお勧めに一冊です。

       2019年9月1日

       いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2019.08.26

    カンガルーの本棚 三方よし

    81m1dtUo2gL[1]

    高田郁さんの「あきない世傳 金と銀 碧流編」(ハルキ文庫)を、読みました

    呉服屋に奉公に出た主人公さちは、時代の流れにもまれながら

    大江戸に新しい店を開き、働き始めます。

    近江商人の心得「三方よし」を信条に、江戸の人々とのつながりを深めます

    今の時代にもつながる「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。

    がんばれ さち と

    読み進めながら、なんども声援を送ります。

         2019年8月22日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.08.24

    カンガルーの本棚 キラキラしてる

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    小川糸さんの「キラキラ共和国」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    ポッポちゃんとあだ名される主人公の鳩子さんは、

    代筆業がお仕事

    いろいろな悩みを抱え、自分ではいい伝えられない人に代って

    思いを文にして届けます。

    そんなポッポちゃんに、新しい家族ができました

    喜びの中に 不安と哀しみと

    鎌倉のまちがキラキラと輝き、こころを暖かくしてくれる一冊です。

       2019年8月24日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.08.18

    カンガルーの本棚 女性の矜持

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    朝井まかてさんの「残り者」(双葉文庫)を、読みました。

    物語は慶応4年4月10日 前日の大奥からはじまります

    江戸城明け渡しの前日 1000人を超える女官が

    あわただしく住まいを移す中

    5人の女性が大奥に残ります

    なぜ彼女らが残ろうとしたのか

    それぞれが胸に抱えてきたものが明かされていきます。

    戦争により、日常の精進が失われていく哀しさ

    きらびやかな文体のなかに

    それに抗する女性の矜持とたくましさが伝えくる一冊です

        2019年8月18日

        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2019.08.04

    カンガルーの本棚 おもしろくて哀しくて

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    朝井まかてさんの「福袋」(講談社文庫)を、読みました。

    舞台は 江戸時代後期の江戸の町

    売れない役者が最後に切るおおみえ

    風呂屋家業にぞっこんの女の子 など

    下町で暮らす人々の、7つの物語

    おもしろくて、やがて哀しきかな

    作者ならではの文体で描かれる風俗描写もおもしろく

    読み始めると 本から手を離せなくなる一冊です

       2019年8月4日

       いたやどクリニック 木村彰宏

     

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