カンガルーの小部屋

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  • 2016.05.30

    カンガルーの本棚 潮の声が聞こえる

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    葉室麟さんの「潮鳴り」(祥伝社文庫)を、読みました。

    襤褸蔵とあだ名される主人公は、

    何一失うものはなく、誰に頼られることもなく、

    破れ小屋で、すさんだ暮らしを過ごしています。

    弟の死をきっかけに、彼の心に、生きかえってみようという灯がともり始めます。

    死ぬよりもつらいこと、汚名を浴びながらも生き続けることで、

    愛する人を、守り抜く決意を固めます。

    人の矜持とは何たるかを教えてくれる、お勧めの1冊です。

           2016年5月30日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.05.29

    カンガルーの本棚 みやびの奥に

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    朝井まかてさんの「恋歌」(講談社文庫)を、読みました。

    幕末に活躍した歌人・中島歌子の物語。

    商家のおきゃんな娘が恋い焦がれ、添い遂げた夫は尊王攘夷の志士

    天狗党の乱に巻き込まれた歌子は、投獄され、

    愛する人を、目の前で次々と失っていく・・

    絶望の果てに歌子が再生を託したのが歌

    死を前にして、歌子が願った事とは

    150回直木賞受賞の作品です。

              2016年5月28日

              いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2016.05.26

    カンガルーの本棚 絶望の先に

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    原田マハさんの「翔ぶ少女」(ポプラ文庫)を、読みました。

    神戸の震災で父と母を亡くした3兄弟。

    最愛の妻を亡くした医師

    仮設住宅で、寄り添いながら流れていく年月

    そして、少女に起きたやさしい奇跡とは・・

    板宿駅前の井戸書店、森店長一押しの1冊です。

              2016年5月26日

                        いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.05.18

    カンガルーの本棚 伝えたい言葉を

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    新堂冬樹さんの「引き出しの中のラブレター」(河出文庫)を、読みました。

    ラジオパーソナリティをしている主人公は、

    ラジオを通して届ける自分の言葉の力に悩みます。。

    和解する事なく逝ってしまった父からの手紙。

    読むことなく、しまわれたままの手紙

    伝えたい言葉を、手紙によせて

    やがて物語は、人の縁の不思議さに彩られていきます。

                2016年5月18日

                いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.03.17

    カンガルーの本棚 いつまでも忘れない

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    重松清さんの「また次の春へ」(文春文庫)を、読みました。

    突然の災禍により、大切な人を失った人の、その後を描きます。

    貸してあげた本に はさんであったしおりh

    母の面影を、五百羅漢さんに重ねた幼い日々

    北の国に残した、母と父の秘密とは

    7つのお話に込められた、鎮魂の思い。

    3月13日を、いつまでも忘れません。

              2016年3月17日

              いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.03.11

    カンガルーの本棚 希望のバトン

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    重松清さんの「娘に語るお父さんの歴史」(新潮文庫)を、読みました。

    主人公は1963年生まれのお父さん。

    自分が子どもだった頃を振り返って、日本という国の歩みを語ります。

    未来が希望に輝いていた昭和の時代

    娘の未来も幸せな未来でありますように、

    いや きっと、幸せに違いないと、お父さんは信じるのです。

    生きること、家族を作ることを考えさせられる1冊です。

               2016年3月11日

               いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2016.03.02

    カンガルーの本棚 ときの不思議さ

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    辻村深月さん、万城目学さん、湊かなえさん、米澤穂信さん連作の

    「時の罠」(文春文庫)を、読みました。

    タイムカプセルに秘められた謎とき。

    縁結びの神様のいたずら

    4人の作者の遊び心満載の短編集です。

           2016年3月2日

           いたやどクリニック 木村彰宏  

     

  • 2016.02.28

    カンガルーの本棚 新たな期待が

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    高田郁さんの「あきない世傳 金と銀」(ハルキ文庫)を、読みました。

    質素倹約が奨励された享保年間の、大阪は天満が舞台の物語。

    父と兄とを病気で失い、呉服商に奉公に出た主人公

    第一巻目から、波乱万丈の幕開けです。

    「みおつくし料理帖」作者の新シリーズに、期待が膨らみます。

                 2016年2月28日

                 いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2016.02.27

    カンガルーの本棚 隠された歴史

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    増田実さんの「勇者たちへの伝言」(ハルキ文庫)を、読みました。

    50歳を超えた主人公は、自分が小学生だった頃の世界に迷い込みます。

    昭和40年代、西宮北口に、球場があったころ

    お話は、阪急ブレーブスで活躍した選手たちへのオマージュから、

    主人公の父の秘密へと広がります。

    野球が嫌いだった父の秘密とは・・

    作者が伝えたかった隠された歴史に戦慄を覚えます。

               2016年2月27日

               いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.02.18

    カンガルーの本棚 こころの目

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    宮部みゆきさんの「桜ほうさら」(PHP文芸文庫)を、読みました。

    時は江戸、父親を陥れた犯人を捜すサスペンス。

    偽文書が現れるくだり

    「目はものを見るだけだが、心は見たものを解釈する

    人が生きるということは、目で見たものを心にとどめてゆくことの積み重ねであり、

    心もそれによって育っていく」

    この一文に納得です。

              2016年2月18日

              いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.02.09

    カンガルーの本棚 形がない贈り物

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    角田光代さんの「Presents」(双葉文庫)を、読みました。

    生まれて初めてのプレゼントは、両親からいただいた名前。

    入学の時の贈ってもらったランドセル。

    1人暮らし

    恋愛、失恋、結婚、長い結婚生活

    そして、最後にいただいたプレゼントとは

    人生で出会う、12のプレゼントを綴る物語です。

               2016年2月9日

               いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2016.02.05

    カンガルーの本棚 普通のわたし

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    宮下奈都さんの」田舎の紳士服店のモデルの妻」」(文春文庫)を、読みました。

    夫の病気から、田舎に引っ越すことを余儀なくされた梨々子。

    餞別にと渡された10年連用の日記に綴られていく「普通の日々」

    子どもの母でもなく、夫の妻でもなく、祖母の娘でもなく、

    流れていく日々。

    10年が過ぎ、顔がある人との間で生きていく私。

    いま「普通のしあわせ」を生きている実感。

    喜びと哀しみとが綴られた、ひとりの女性の物語です。

                2016年2月5日

                いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2016.01.08

    カンガルーの本棚 磐音ロス

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    佐伯泰英さんの「居眠り磐音 江戸双紙5051」(双葉文庫)を、読みました。

    足掛け15年にわたり執筆された、剣術家の物語。

    年初に完結編が発刊され、一気読み。

    守り続ける者と、旅立つ者

    おなじみの登場人物が、世代交代していきます。

    楽しくもあり、寂しくもある完結編。

    磐音にならないように、注意します。

            2016年1月8日

            いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2015.12.31

    カンガルーの本棚 今年も目標達成

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    2015年の読書を振り返ります。

    1年で読んだ本は、136冊

    どの1冊も、心に残る本ばかりです。

    著者別に並べてみますと、

    ○松岡圭祐さん 25冊

    ○有川 浩さん  7冊

    ○初野 晴さん  7冊

    ○米澤穂信さん  5冊

    ○湯本香樹実さん 5冊

    ○宮下奈都さん  4冊

    ○椰月美智子さん 4冊

    かんがるっ子の読書傾向に強く影響されましたが、

    常連の作家さんと、新しい作家さんとの出会いと、

    とても幸せな読書の年となりました。

    来年も、わくわくできる本との出会いがありますように。

               2015年12月31日

               いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2015.12.31

    カンガルーの本棚 失われていくわたし

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    荻原浩さんの「明日への記憶」(光文社文庫)を、読みました。

    主人公は、広告代理店で働く50歳の男性。

    頭が重く、訪ねた病院で「若年性アルツハイマー病」と、

    診断されます。

    失われていく記憶、消えていくわたし

    初孫が生まれる前に、仕事を追われ、

    絶望でもなく、哀しみでもなく、

    夕日の中に見つけ出した顔は・・・

    認知症を患う人の内面を、静かに見つめた力作です。

            2015年12月31日

            いたやどクリニック 木村彰宏   

     

  • 2015.12.18

    カンガルーの本棚 言葉のちから

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    菊池省三先生の「甦る教室」(新潮文庫)を、読みました。

    早くから活躍されていた先生の指導実践を、

    TV特番で知り、その日のうちにアマゾン購入

    ほめ言葉のシャワーは、おとなの職場でも使えます。

    あとがきのなかに、構成者のまとめが載せられています。

    ○言葉には安心と自信を作り出す力がある

    ○言葉には自分と自分を向き合わせる力がある

    ○言葉には相手のことを知ることができる力がある

    ○言葉には未来を目指す力がある

    ○言葉には自分を変える力がある

    これらは言葉にしか出来ないものでもある。

    言葉をていねいに育てる大切さを、教えてもらえる1冊です。

              2015年12月18日

              いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2015.12.17

    カンガルーの本棚 希望の街

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    重松清さんの「希望ヶ丘の人びと」(講談社文庫)を、読みました。

    亡くなった妻が育った街、「希望ヶ丘」

    そこに移り住む家族の物語

    希望を無くした人は寄せ付けない、居場所のない街「希望ヶ丘」

    あとがきの中で作者はこう書きます。

    ニュータウンや家族が抱える病理があることは認めながらも

    明るさや元気へと向かう物語

    破天荒な登場人物の行動に、にやりとしながら、

    希望とは、家族とは、子育てはと、考えさせられる1冊です。

                2015年12月17日

                いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2015.12.06

    カンガルーの本棚 強くなれ

    有川浩さんの「レインツリーの国」(新潮文庫)を、読みました。

    ラノベ(ライトノベルズ)で知り合った二人。

    ていねいに言葉を紡ぐ彼女には、

    彼と会えない秘密がありました・・・

    レインツリーは、「アメリカネムノキ」

    花言葉は、歓喜・胸のときめき

    「この~木、なんの木、気になる 気になる」という

    日立のコマーシャルソングで知られる木

    その花言葉に込められた願い。

    読み進みながら、つらくて、あたたかくて

    また1冊、おすすめ本が増えました。

              2015年12月6日

              いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2015.11.12

    カンガルーの本棚 下町のプライド

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    池井戸潤さんの「下町ロケット」(小学館文庫)を、読みました。

    宇宙ロケットのエンジンを制御するバルブシステムをめぐる、

    競合会社、大企業の暗躍

    「夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、

    飯だけ食えても夢がなきゃつまらない」

    クリニックのことなのかと、大きくうなずくカンガルーがいます。

    岸田事務長さんへの、課題図書に指定しました。

    最高のエンターテインメント小説です。

               2015年11月12日

               いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2015.11.07

    カンガルーの本棚 いつまでも歌いたい

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    宮下奈都さんの「終わらない歌」(実業之日本社文庫)を、読みました。

    前作から3年がたち、主人公たちは高校生から、大学生あるいは社会人に、

    音楽の道に進んだ玲は、自分の才能に行き詰まりを覚え、

    「私は情熱がほしい。どんな障害をも越えていく情熱。

    たぶんそれこそが、

    才能だとか、個性だとか、それから努力だとか、

    素質だとか、可能性、環境、遺伝、機会、

    そんなようななんだか別々のようでいて実はとてもよく似た、

    たちの悪いばけものに立ち向かう

    唯一の武器なんかじゃないか」と思います。

    やがて訪れる転機。

    胸が熱くなる、青春小説です。

           2015年11月7日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

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