カンガルーの小部屋

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  • 2015.01.23

    カンガルーの本棚 それぞれの想い

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    米澤穂信さんの「遠まわりする雛」(角川文庫)を、読みました。

    神山高校古典部に在籍する、4人の高校生の物語。

    バレンタインや、ひな祭りに起きる小さな事件の

    謎ときを通して描かれる主人公の心の揺れ。

    紙面から、青春の香が立ちのぼります。

    かんがるうっ子 いち押しの一冊です。

                 2015年1月23日

                 いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.19

    カンガルーの本棚 マクロな一冊

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    水野和夫さんの「超マクロ展望・世界経済の真実」

    (集英社新書)を読みました。

    年末に手にした「資本主義の終焉と歴史の危機」の作者です。

    本作は、哲学者・萱野稔人氏との対談集です。

    行き詰りつつある世界経済。

    新自由主義にもとずく成長戦略への疑問。

    明日の経済は、どの方向を目指すのか などなど

    毎日の生活や診療活動の向こうに待っているものを

    本書は教えてくれます。

              2015年1月19日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.16

    カンガルーの本棚 上の子はつらいよ

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    高濱正伸先生の「子どもを伸ばす『生まれ順』子育て法」を

    読みました。

    家族は、ひとつの社会です。

    先に生まれた子どもは、両親の期待を一身に集め

    手厚く、細やかに育てられます。

    後に生まれた子どもは、適度の放任と自由を獲得します。

    ひとりっ子は、自尊感情が高く、人生を楽しく過ごします。

    高濱先生の離される「生まれ順」による子ども性格分析には、

    思わず「ある ある」状態になります。

    子育ての参考書として、お勧めの一冊です。

              2015年1月16日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.12

    カンガルーの本棚 アメリカの医療は今

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    堤未果さんの「沈みゆく大国アメリカ」(集英社新書)を

    読みました。

    オバマケアを境にして、崩壊していくアメリカ医療の現状が

    書かれています。

    日本の皆保険制度の存続も、

    よその国のことだと のんきになんかしていられません。

    混合診療や、株式会社病院、診療報酬の引き下げなど、

    論議の背景にあるのは、アメリカの巨大資本の影。

    国民の「いのち」が、憲法で守られるべきものだとする日本

    「いのち」が、市場に並ぶ「商品」の一つだというアメリカ。

    短い文章の中に私たちが守らなければならないものが見えてきます

    今日は、成人の日です。

    しっかりと学んで、お互い かしこい大人になっていきましょう。

                2015年1月12日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.10

    カンガルーの本棚 何とかしなくては

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    山野良一先生の「子どもに貧困を押しつける国・日本」

    (光文社新書)を読みました。

    「子どもの6人に1人が貧困層」と報道されていますが、

    貧困の実態を目にすることは、容易ではありません。

    山野先生は、子どもや家族、社会の状況を、

    さまざまな数値で表しながら、

    私たちが持っている「貧困」への疑問を、解き明かします。

    カンガルーの今年の研究テーマの口火となる1冊です。

              2015年1月10日

                 いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.08

    カンガルーの本棚 シリーズ2冊

    新春は、シリーズもの最新刊2冊から始まります。

    三上延「ビブリア古書堂の事件手帖6」(メディアワークス文庫)

    佐伯泰英「居眠り磐音・白鶴ノ紅48」(双葉文庫)の2冊です。

    「ビブリア・・」は一年ぶりに出版された続編なので、

    人物関係を追うだけで、頭の中がこんがらがります。

    「居眠り磐音」シリーズは1772年から1786年までの

    田沼時代14年を

    2002年の第1巻から2015年の第48巻まで

    ほぼ同じ13年をかけて ゆっくりと描いています。

    ここにきて、47巻から一気に2年間分 物語の時計の針が進むと

    少し待ってくださいと、戸惑います。

    シリーズものは、安心して読めるものの

    読者のわがままも、大きくなるようです。

               2015年1月8日

                  いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

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  • 2015.01.06

    カンガルーの本棚 学園ものもまた楽し

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    米澤穂信さんの「クドリャフカの順番」(角川文庫)を

    読みました。

    4人の高校生が活躍する学園ミステリー3作目です。

    ハイテンポで物語はすすみ、随所に小説ならではの

    紙面上の工夫が散りばめられています。

    日常的な事件を、見事に解き明かしていくのですが

    何より、殺人事件がおきないのがよい。

    かんがるうっ子 お勧めの1冊です。

               2014年1月6日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

     

  • 2014.12.31

    カンガルーの本棚 101冊目はこれからの日本を

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    水野和夫さんの「資本主義の終焉と歴史の危機」

    (集英社新書)を読みました。

    新聞の書評欄のベスト3に、複数の撰者があげていた新書です。

    「アベノミクスの浮かれ声とは裏腹に、今なお生活保護世帯や

    低所得者層も増加傾向のままです。

    2013年の非正規雇用者数は1906万人、2012年の年収200万円以下の

    給与所得者数は1090万人、生活保護受給者数も200万人を

    超えてます」

    何故貧富の差が拡がっていくのか、

    日本のゼロ成長をどのようにとらえるのか

    世界経済の行く末は・・・

    新書版にもかかわらず、その論点は人類史を駆け巡ります。

    水野先生は内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当、国家戦略

    室)を歴任された経歴をお持ちの方だけに、

    資本主義の行く末への洞察には説得力を感じます。

    今年の101冊目となる読書です。

    2014年は、講演の下調べで英語論文100編読破に挑戦しました。

    そのおかげで、5月、6月、7月、8月、9月の5か月は29冊と

    1か月6冊にペースダウン

    1年で100冊越えの目標から計算すると、大ブレーキです。

    1230日になって、ようやく101冊を超えることができました。

    2014年の作家別順位は、

    葉室麟さん8冊、重松清さん5冊、佐伯泰英さん3冊 

    米澤穂信さん 三浦しをんさん 東野圭吾さん 岡田尊司さん

    高田郁さん2冊

    作家のみなさん お世話になりました。

    来年もおもしろい本に出会えますように。

               2014年12月31日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.12.22

    カンガルーの本棚 ハシレはしれ走れ

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    森絵都さんの「ラン」(角川文庫)を、読みました。

    主人公は、事故で中学の時に両親と弟を失くします。

    育て親となってくれた叔母を失ったあとは、

    就職したあとも、人との関わりを避け続けます。

    ふとしたことから、冥界に通じる道をみつけ、

    なくなった人との再会だけが、生きがいとなります。

    そんな彼女を、この世に引き戻したものは・・

    人の生きる力を感じさせる1冊です。

             2014年12月22日

             いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.12.17

    カンガルーの本棚 不思議な一夜

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    東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(角川文庫)を

    読みました。

    廃屋に隠れ込んだ3人の青年が経験する、ひと夜限りの奇蹟。

    郵便受けに、時を超えて悩み相談の手紙が届きます。

    悲しくて、つらいことばかりでも、

    それを乗り越えて生きていこうという人々

    彼ら、彼女らにどう助言しようかと悪戦苦闘する青年たちの姿に、

    温かさを感じます。

    この11月に、文庫化されたばかりの作品です。

              2014年12月17日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.12.16

    カンガルーの本棚 鎮西一の

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    葉室麟さんの「無双の花」(文春文庫)を、読みました。

    関ヶ原の戦いに敗れた後、旧領地に戻れた唯一人の武将

    という後ろ書きに引かれて、本書を手に取りました。

    豊臣時代から、徳川時代へと、大きく歴史が移り変わる時に、

    極めて現実かつ未来志向な生き方(解説・植野かおり氏より)を

    貫いた主人公の姿が、葉室さんの筆でいきいきと蘇ります。

    痛快な気持ちにさせてくれる1冊です。

              2014年12月16日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.12.14

    カンガルーの本棚 跳びはねる理由

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    東田直樹さんの「続・自閉症の僕が跳びはねる理由」

    (エスコアール)を読みました。

    東田さんのことは、NHKで放送された番組で知りました。

    キーボードを使い、自分の考えをしっかりと伝える青年として、

    驚きと感動の気持ちで、番組を見つめました。

    著書を読んでみたいと思ったものの、書店では売り切れ続出。

    ようやく三宮まで出かけて、手に入れました。

    「ひとりひとりが大切な人であるように、

    僕が自閉症として生まれてきたことには、

    きっと大きな意味があるに違いありません。」

    終わりの言葉で、東田さんはこのように自分を見つめています。

    簡単な言葉で綴られたメッセージの中に、

    深い意味が込められている1冊です。

                2014年12月14日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

  • 2014.12.07

    カンガルーの本棚 大人になっていく君に

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    重松清さんの「きみの町で」(朝日出版社)を、読みました。

    初めて人生の「なぜ?」と出会ったとき――きみなら、どうする?

    一緒に立ち止まって考え、並んで歩いてゆく、8つの小さな物語です。

    (本書の紹介記事より)

    「こども哲学」という絵本シリーズの付録として書かれましたが、

    大人のわたし達にも、深い問いかけを投げかけます。

               2014年12月7日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.11.13

    カンガルーの本棚 女の子の眼には

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    重松清さんの「峠うどん物語」(講談社文庫)を、読みました。

    祖父母が営むうどん屋さんの前に、市の斎場ができます。

    それからは、悲しみを背負った人たちが、

    心を温めるために、店の暖簾をくぐります。

    お手伝いに訪れる中学二年生の主人公は、

    いろいろな出会いを重ねながら、少しずつ大人に近付いていきます

    生と死を うどんの湯気と一緒に考えさせられる 1冊です。

               2014年11月13日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.09.25

    カンガルーの本棚 蟻のごとく

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    藤沢周平氏の「蝉しぐれ」(文春文庫)を、読みました。

    子どもが通う学校の課題図書に選ばれた作品ですが、

    読後に子どもから、借り受けました。

    東北の小藩内の勢力争いで父を失う 文四郎少年。

    父の亡骸を大八車に乗せ坂道を登る場面には、涙を禁じ得ません。

    20年の時を過ぎ、愛する人との再会も、

    人の世のはかなさを感じさせます。

    昭和61年に連載されたと言いますから、

    30年近く前の作品です。

    誕生日の月に、思い出となる1冊に出会いました。

                2014年9月25日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.09.22

    カンガルーの本棚 夜空を見上げ

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    葉室麟さんの「銀漢の賦」(文春文庫)を、読みました。

    銀漢とは、漢詩の中で表現される「天の川」のこと。

    3人の若者は、星空に、大人の世界を垣間見ます。

    藩に起きる政変や一揆。

    敵になり、味方になりながら、時は流れます。

    「頭に霜を置き、年齢を重ねた漢(おとこ)も、

    銀漢かもしれない」

    葉室麟さんの本が、また好きになりました。

    第十四回松本清張賞受賞作です。

               2014年9月22日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

  • 2014.09.19

    カンガルーの本棚 川あかり

    9784575666526[1]

    葉室麟さんの「川あかり」(双葉文庫)を、読みました。

    藩で一番の臆病者と言われた七十郎が、刺客になる。

    雨続きで川止めになり、盗賊宿で過ごすうちに

    青年は、様々な体験をしていきます。

    川明けの前夜、宿の娘にこう告げられます。

    「もうじき、川明かりが見えます。

    日が暮れて、あたりが暗くなっても川は白く輝いているんです。

    なんにもいいことがなくっても

    ひとの心には光が残っていると・・・」

    おかしくって、わくわくして、しんみりとして、

    最高の時代小説です。

             2014年9月19日

             いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.09.18

    カンガルーの本棚 うしの鳴き声

    9784834027150[1]

    晴居彗星さんの「おとうさん、牛になる」(福音館出版)を読みました。

    「おとうさんが、うっとうしく感じられるようになったあなたに」という

    書店のポップと、表紙に引き寄せられて、手に取りました。

    朝起きると、おとうさんは牛になっていた。

    全編、モー、ウモアウという、うしの鳴き声

    牛になったおとうさんの運命は、

    娘や息子の生活は、

    どこのご家庭でも起こりうる不思議な物語です。

                      2014年9月18日               

                      いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.09.15

    カンガルーの本棚 こころに残る会話

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    葉室麟さんの「蜩ノ記」(祥伝社文庫)を、読みました。

    講演会の準備に明け暮れていたので、久しぶりの読書です。

    映画化され、公開日が近いとあって、書店の目立つところに

    平積みされています。

    舞台は、豊後羽根藩。

    ラスト近く、主人公と、住職との会話がこころに残ります。

    「もはや、この世に未練はござりませぬ」

    「未練がないと申すは、この世に残る者の心を気遣うてはおらぬと

    言っておるに等しい。この世をいとおしい、去りとうない、

    と思うて逝かねば、残された者が行き暮れよう」

    第146回直木賞受賞作です。

               2014年9月15日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2014.08.15

    カンガルーの本棚 目をそむけないで

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    大山典宏さんの「隠された貧困:生活保護で救われる人たち」を、

    読みました。

    児童養護施設出身者

    高齢犯罪者

    薬物依存者

    外国人貧困者

    ホームレス・孤立高齢者

    彼らにとって、生活保護が最後の命綱であることを、

    実例を通して報告されます。

    困難に陥った原因は一切問わずに、

    「無差別・平等」に保護の対象とする・・

    目をそむけないで、

    本書は、見えない貧困を取り上げた、骨太の1冊です。

              2014年8月15日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

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