カンガルーの小部屋

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  • 2015.03.22

    カンガルーの本棚 母の名前を

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    加藤元さんの「泣きながら、呼んだ人」(小学館文庫)を

    読みました。

    4人の主人公とその母とが織りなす 4つの物語。

    巻末の松本大介さんの解説が秀逸です。

    「かって泣きながら呼んだ人からの自立。

    母の思いと母への思いは断ち切られることなく、

    次の世代へと続いてゆくのかも知れない」

    子どもに何を与え、何を背負わせてしまうのか、

    親子の出会いと、生きていく不思議さは、

    語りつくすことはできません。

              2015年3月22日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.03.08

    カンガルーの本棚 永遠に在り

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    高田郁さんの「あい 永遠に在り」(ハルキ文庫)を読みました。

    江戸時代末期、農村から身を起こし、

    医師となって人々を助け、

    そして北海道の開拓を夢見、

    土に帰っていく関寛斎夫婦の物語。

    一本の山桃の樹にこめられた愛の物語。

    「人たる者の本分は、眼前にあらずして、永遠に在り」

    本書の中で繰り返し描かれる言葉が、心に残ります。

              2015年3月8日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.03.05

    カンガルーの本棚 取り戻す過去

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    後藤健二さんの「ダイヤモンドより平和がほしい」(汐文社)を

    読みました。

    アフリカ大陸西海岸に位置する、シエラレオネ。

    世界一美しいダイヤモンドの産地と、世界一平均寿命が短い国。

    ムリア少年は、両親を殺され麻薬を打たれ、少年兵士にされます。

    武装集団から逃げ出した少年は、保護施設に入り学びをはじめます

    ぼくはここにいる。

    どうか愛して欲しい。

    どうか受け入れてほしい

    少年の慟哭が聞こえます。

    少年をみつめる後藤さんのあたたかな眼差しを感じます。

    53回産経児童出版文化賞受賞作です。

                2015年3月5日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

      

  • 2015.02.25

    カンガルーの本棚 わかりあえたら

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    東田直樹さんの「自閉症の僕が跳びはねる理由」(エスコアール)

    を読みました。

    どうして目を見て話さないの?

    みんなといるよりひとりが好きなのはなぜ?

    フラッシュバックってどんな感じですか?

    跳びはねるのはなぜ?

    いろんな物を回しているのはなぜ?

    自閉症の子どもの行動を、東田さんは自分の体験に基づいて

    解き明かしてくれます。

    自閉症の子どもと仲良くなりたいあなたへの おすすめ1冊です。

                2015年2月25日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

  • 2015.02.24

    カンガルーの本棚 子どもの自立を妨げるもの

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    尾木直樹先生の「親子共依存」(ポプラ新書)を読みました。

    テレビでみた「尾木ママ」の会話がおもしろく、手に取りました。

    思春期の子どもの自立を妨げるもの3つ。

    親の過保護、過干渉、無関心。

    しかし、親側からすれば、就活不安や絆社会など、

    そうせざるを得ない社会的背景があるとも述べられます。

    子どもが主役の教育

    ギャップ・イヤーの導入

    奨学金制度の充実など、

    子どもの自立を促す提案もなされています。

    思春期の子どもさんがいる親御さん、必読の1冊です。

               2015年2月24日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.02.21

    カンガルーの本棚 デジタル・ヘロイン

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    岡田尊司先生の「インターネット・ゲーム依存症」(文春新書)を

    読みました。

    500万人とも言われる「インターネット・ゲーム依存症」

    通勤電車の中でも、まわりを見ればスマホ・スマホ・スマホ

    年配の方も、ゲームに熱中です。

    熱中と依存症の境界は・・・

    スマホやゲーム機を取り上げるだけでは解決できない依存症

    本書は、その現状と対策とが掘り下げて述べられています。

    不登校やひきこもりとの親和性が強く、

    人格崩壊にもつながりかねない「インターネット・ゲーム依存症」

    現代人必読の1冊です。

             2015年2月21日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏 

      

  • 2015.02.19

    カンガルーの本棚 彼が残したもの

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    後藤健二さんの「もしも学校に行けたら」(汐文社)を

    読みました。

    アフガニスタンの内戦の後、いち早く現地に入り、

    後藤さんは 人々の暮らしを その目で確かめます。

    以下、後藤さんのあとがき(P132)からの引用です。

    『「対テロ戦争」「テロとの戦い」とわたしたちがまるで

    記号のように使う言葉の裏側で、

    こんなにたくさんの人たちの生活が

    ズタズタに破壊されていることを、知らないでいたのです、

    あるいは知らせずにいたのです。

    自分は、いかに盲目的だったかと激しく自分を責めました。・・

    その中で、唯一の希望は子どもたちです。

    わたしたちにできることは、さまざまな方法で、

    彼らに手をさしのべ続けることなのではないか、そう思います。』

    後藤さんの著書が、読み拡がることを願います。

                2015年2月19日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.02.14

    カンガルーの本棚 静かな物語

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    初野晴さんの「向こう側の遊園」(講談社文庫)を、読みました。

    「ハルチカシリーズ」の明るさ、騒々しさに比べ、

    静かで悲しくて、不思議なヒトと動物の物語。

    次に手に取る本も、初野作品に決まりです。

              2015年2月14日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.02.13

    カンガルーの輪舞曲 みんなの力で

    2月13日 奈良県の栄養教諭研修会に出かけました。

    県下から、100名近くの学校栄養士さんが集まられました。

    食物アナフィラキシー対策の実務は、栄養士さんと養護の先生が

    担っておられます。

    ともすれば、教科の先生の中では孤立しがちとお聞きします。

    食物アナフィラキシーが起きたときには養護の先生が

    中心になられますが、

    起こさないための対策の中心は栄養士さん。

    ロールプレイングを通じて、お互いの仕事への理解を

    深めていただけたでしょうか。

    食物アナフィラキシーを起こす子どもが、安全に学校生活を

    過ごすために、先生方のお力添えを、よろしくお願いいたします。

    同行いただいた新田栄養士さん、本田栄養士さん

    お疲れさまでした。

                2015年2月13日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

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  • 2015.02.12

    カンガルーの本棚 おもしろ深い青春

    初野晴さんの「ハルチカシリーズ3・4」(角川文庫)を

    読みました。

    3作目のタイトルは、「空想オルガン」

    収められている4つの短編の中で「十の秘密」がおもしろい。

    4作目のタイトルは、「千年ジュリエット」

    4つの短編の内「エデンの谷」は、音楽教育の現状

    「失踪ヘビーロッカー」は、どたばたサスペンス

    そして「千年ジュリエット」は、悲しい物語。

    どの短編も、社会的な問題を含みながらも、おもしろく、ほろ苦く

    かんがるうっ子と、読後感想で大盛りあがりしました。

    もう一度読んでみたいなと思うシリーズ作品です。

               2015年2月12日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

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  • 2015.02.08

    カンガルーの本棚 強さと優しさと

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    初野晴さんの「退出ゲーム」「初恋ソムリエ」(角川文庫)を

    読みました。

    「ハルチカ・シリーズ」の1作目と2作目の作品です。

    廃部寸前の吹奏楽部に入部したチカとハルタ。

    2人を難問が次々とおそいます。

    かんがるうっ子に勧められ、読みだしたものの 

    おもしろくて止まりません。

    大矢博子さんの解説文を読むと、納得です。

    「いったい強さって、何? 優しさって?

    私なりの答えはこうだ。

    強さとは、知性である。

    優しさとは、想像力である。

    危機に面したとき、慌てずに正しく状況判断できる知識と、

    その知識を系統立てて使える知恵。

    それを強さと呼ぶのではないか。

    目には見えない他人の心や背景を、我がことのように受け止め、

    思いやれる想像力。

    それを優しさと言うのではないか・」

    大矢さんは、「ハルチカ・シリーズ」を、このように評されます。

    かんがるうっ子 一押しの シリーズです。

               2015年2月8日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

  • 2015.01.27

    カンガルーの本棚 貧しさの再生産

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    新井直之さんの「チャイルド・プア」(TOブックス)を

    読みました。

    新井さんはNHK報道番組のディレクターさんです。

    201210月に放送された番組が、書籍化されたものです。

    車上生活を強いられた中学生

    母親を失って引きこもった19

    ホームレスだった25歳 などなど

    社会の底辺で苦しむさまざまな若者が登場します。

    「子どもの貧困」は、見えないのではない。

    大人が見えなくしているのではないか。

    新井さんは静かに訴えます。

    子どもを知る手掛かりとなる1冊です。

                2015年1月27日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.25

    カンガルーの本棚 ほろにがいRUN

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    米澤穂信さんの「ふたりの距離の概算」(角川文庫)を

    読みました。

    古典部に属するホータロー・える・里志・摩耶花の高校生の物語。

    そこに、新入生が入部することからドラマは始まります。

    マラソン大会のコースを走りながら、謎ときは進みます。

    友だち、そして恋ばな。

    終わってみれば、ほろ苦い青春のひとこま。

    何十年も前の世界に引き戻されます。

    かんがるうっ子との共通の話題が、ひとつ増えました。

              2015年1月25日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.23

    カンガルーの本棚 それぞれの想い

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    米澤穂信さんの「遠まわりする雛」(角川文庫)を、読みました。

    神山高校古典部に在籍する、4人の高校生の物語。

    バレンタインや、ひな祭りに起きる小さな事件の

    謎ときを通して描かれる主人公の心の揺れ。

    紙面から、青春の香が立ちのぼります。

    かんがるうっ子 いち押しの一冊です。

                 2015年1月23日

                 いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.19

    カンガルーの本棚 マクロな一冊

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    水野和夫さんの「超マクロ展望・世界経済の真実」

    (集英社新書)を読みました。

    年末に手にした「資本主義の終焉と歴史の危機」の作者です。

    本作は、哲学者・萱野稔人氏との対談集です。

    行き詰りつつある世界経済。

    新自由主義にもとずく成長戦略への疑問。

    明日の経済は、どの方向を目指すのか などなど

    毎日の生活や診療活動の向こうに待っているものを

    本書は教えてくれます。

              2015年1月19日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.16

    カンガルーの本棚 上の子はつらいよ

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    高濱正伸先生の「子どもを伸ばす『生まれ順』子育て法」を

    読みました。

    家族は、ひとつの社会です。

    先に生まれた子どもは、両親の期待を一身に集め

    手厚く、細やかに育てられます。

    後に生まれた子どもは、適度の放任と自由を獲得します。

    ひとりっ子は、自尊感情が高く、人生を楽しく過ごします。

    高濱先生の離される「生まれ順」による子ども性格分析には、

    思わず「ある ある」状態になります。

    子育ての参考書として、お勧めの一冊です。

              2015年1月16日

              いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.12

    カンガルーの本棚 アメリカの医療は今

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    堤未果さんの「沈みゆく大国アメリカ」(集英社新書)を

    読みました。

    オバマケアを境にして、崩壊していくアメリカ医療の現状が

    書かれています。

    日本の皆保険制度の存続も、

    よその国のことだと のんきになんかしていられません。

    混合診療や、株式会社病院、診療報酬の引き下げなど、

    論議の背景にあるのは、アメリカの巨大資本の影。

    国民の「いのち」が、憲法で守られるべきものだとする日本

    「いのち」が、市場に並ぶ「商品」の一つだというアメリカ。

    短い文章の中に私たちが守らなければならないものが見えてきます

    今日は、成人の日です。

    しっかりと学んで、お互い かしこい大人になっていきましょう。

                2015年1月12日

                いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.10

    カンガルーの本棚 何とかしなくては

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    山野良一先生の「子どもに貧困を押しつける国・日本」

    (光文社新書)を読みました。

    「子どもの6人に1人が貧困層」と報道されていますが、

    貧困の実態を目にすることは、容易ではありません。

    山野先生は、子どもや家族、社会の状況を、

    さまざまな数値で表しながら、

    私たちが持っている「貧困」への疑問を、解き明かします。

    カンガルーの今年の研究テーマの口火となる1冊です。

              2015年1月10日

                 いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2015.01.08

    カンガルーの本棚 シリーズ2冊

    新春は、シリーズもの最新刊2冊から始まります。

    三上延「ビブリア古書堂の事件手帖6」(メディアワークス文庫)

    佐伯泰英「居眠り磐音・白鶴ノ紅48」(双葉文庫)の2冊です。

    「ビブリア・・」は一年ぶりに出版された続編なので、

    人物関係を追うだけで、頭の中がこんがらがります。

    「居眠り磐音」シリーズは1772年から1786年までの

    田沼時代14年を

    2002年の第1巻から2015年の第48巻まで

    ほぼ同じ13年をかけて ゆっくりと描いています。

    ここにきて、47巻から一気に2年間分 物語の時計の針が進むと

    少し待ってくださいと、戸惑います。

    シリーズものは、安心して読めるものの

    読者のわがままも、大きくなるようです。

               2015年1月8日

                  いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

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  • 2015.01.06

    カンガルーの本棚 学園ものもまた楽し

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    米澤穂信さんの「クドリャフカの順番」(角川文庫)を

    読みました。

    4人の高校生が活躍する学園ミステリー3作目です。

    ハイテンポで物語はすすみ、随所に小説ならではの

    紙面上の工夫が散りばめられています。

    日常的な事件を、見事に解き明かしていくのですが

    何より、殺人事件がおきないのがよい。

    かんがるうっ子 お勧めの1冊です。

               2014年1月6日

               いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

     

     

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