カンガルーの小部屋

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  • 2011.09.14

    カンガルーの本棚 電気のつくりかた

    山﨑耕造さん監修の「これからの電気のつくりかた」(ローレンスムック)を読みました。

    火力・水力・風力・太陽光・地熱・波力・バイオマスなどなど

    いろいろな発電方法の現状を、図解とともに紹介されています。

    エレルギーとは、物を動かす能力。

    わたし達の身の周りに、さまざまな形態で存在し、全体量は増えもせず、減りもしないで、ただ形態が変わるだけ。

    物理学の基本命題も、わかりやすく解説されています。

    どのような道筋で、エネルギー政策を転換していくのか(ロードマップ)

    空想ではなく、科学として考えていく上で、参考にしたいと思います。

    2011年9月14日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.09.13

    カンガルーの本棚 湖水地方の物語

    さだまさしさんの、「茨の木」(幻冬舎文庫)を読みました。

    父が残した、バイオリンのルーツを探す旅の物語です。

    イギリスの湖水地方の静かなたたずまい。

    旅の途上で出会う人の心の温かさ。

    綴られた言葉を読み進むうちに、見知らぬ風景が広がり、

    見知らぬ風景の中に、人の心の優しさを知る。

    主人公と共に、美しい旅を重ねるひと時でした。

    2011年9月13日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.09.09

    カンガルーの本棚 言葉のわかるボンネットバス

    森沢明夫さんの「海を抱いたビー玉」(小学館文庫)を読みました。

    大切にされ、「人の心」を持ったボンネットバスの物語です。

    わたしの家には、言葉がわかる二匹の柴犬がいます。

    言葉がわかるバスだなんてと、不思議な気持ちで読み進めました。

    瀬戸内の小島から、越後の湯沢へと旅する中での、出会いと別れ。

    小さな海色のビー玉に導かれ、物語は進みます。

    「思う、言う、成る」

    なんども繰り返される魔法の言葉は、わたしを勇気づけます。

    2011年9月9日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.09.05

    カンガルーの本棚 神様カルテ

    夏川草介さんの「神様のカルテ」(小学館文庫)を読みました。

    書店では、一番目立つところに平積みされているヒット作です。

    青年研修医は、昔も今も超人的な仕事量。

    仕事をすればするほど、世間が狭くなっていきます。

    人の心と真剣につきあうためには、人間的な生活が必要です。

    危うさをいっぱい秘めた、研修医時代を思い出させる一冊です。

    2011年9月5日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.09.02

    カンガルーの本棚 アントキノイノチ

    さだまさしさんの「アントキノイノチ」(幻冬舎文庫)を読みました。

    書店へ足を運ぶごとに、「積んどく」書籍が増えていきます。

    本の小山の中から、次はどれを読もうかなと迷う時、モントリオール世界映画祭での受賞を耳にしました

    「アントキノイノチ」

    プロレスの人の名前をもじった、さだまさしさんの一冊です。

    通勤時間に、午前診が終わった短いお昼休みに、人の命の重さを考えました。

    現実に耐えきれずに、自らを断つ命。

    遺品整理の仕事を通じて、生まれ変わる若い命。

    さださんの、温かな目が青年を見つめます。

    「元気ですかあ~」

    1cmの文庫本の中から、主人公の声が聞こえてきます。

    2011年9月2日

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  • 2011.08.31

    カンガルーの本棚 経済がわかる本

    池上彰さんの「経済のニュースが面白いほどわかる本」(中経の文庫)を読みました。

    何度解説を読んでも、分かりにくい経済の問題を、6つの章にわけて、解説されます。

    税金は、みんなで国にプールしたお金。

    このお金を、どういう優先順位で使っていくのかを決めていくのが、政治の役割。

    こう考えると、政治と自分との関係が整理されます。

    円高、株価、TPPなど、池上さんの解説を読んでも、腑に落ちないところもあります。

    8月最後の一冊は、いつもと変わった傾向の本で、締めくくりました。

    2011年8月31日

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  • 2011.08.28

    カンガルーの本棚 小夜心星(さよしんぼし)

    高田郁さんの「みをつくし料理帖」(小夜しぐれ・心星ひとつ:ハルキ文庫)を読みました。

    何を食べてもおいしいと感じる私ですが、さすがにこの暑さだけはいけません。

    たまに見るテレビのグルメ番組は、リポーターの薄っぺらな表現に、興ざめします。

    音と映像とで見せるテレビでさえ、料理そのものを伝える事は難しいことです。

    まして小説は、絵もなければ、音もありません。

    高田さんの小説からは、料理の香や温かさまでが伝わってくるのが不思議です。

    「お前さんの料理は食べる者を元気にしてくれる。喜びの少ない年寄りに、生きていてよかった、と思わせてくれるからね」

    「ここで旨い料理を口にすると、それだけで俺あ息がつけるんだ。まだ大丈夫だ、生きていける、ってな。」

    小説の中の江戸っ子だけではなく、読者の心までを温かく満腹にしてくれる一冊です。

    2011年8月28日

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  • 2011.08.18

    カンガルーの本棚 原発はいらない

    小出裕章さんの「原発はいらない」(幻冬舎)を読みました。

    小出さんの本を読んだのは、「原発のウソ」に続く2冊目です。

    日本各地に存在する原発、計画中の原発の危険性が簡潔に述べられています。

    また、原発の経済性や環境への負荷などの問題も、マスコミなどで流されている論調とは別の視点かえら、解説されています。

    福島原発の事故以降、「原発に依存しない社会」を目指す動きは、大きく拡がっています。

    一方、経済危機の時代にエネルギー政策を転換させることへの不安も残っています。

    どの課題を優先させ、どのように折り合いをつけていくのかを論議する際に、必読の書です。

    2011年8月18日

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  • 2011.08.14

    カンガルーの本棚 ひとときの涼風

    重松清さんの「季節風・秋」(文春文庫)を読みました。

    冬から始まった「季節風シリーズ」も、この本で終わりです。

    ゆっくりと読みたいような、早く読み進みたいような、そんな心温まる12の掌編集。

    転校生の心の動きを描いた「サンマの煙」

    人には同じゴールがない事をさりげなく描いた「よーい、どん!」

    そして、別れていく家族として最後の夕食を描いた「少しだけ欠けた月」

    秋の気配さえ感じ取れない猛暑の中。

    小説の中には、心をいやす涼風が吹いています。

    2011年8月14日

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  • 2011.07.31

    カンガルーの本棚 7月最後の

    重松清さんの「季節風・夏」(文春文庫)を読みました。

    7月最後の日に、滑り込みの形で読みました。

    これで、7月の読書は9冊目。

    「年に100冊以上を読むぞ」という、年初の誓いは、いいペースで進行中です。

    この短編集は、夏にちなむ12のお話。

    わたしは、この中で、父の再婚を描いた「ささのは さらさら」

    死に行く父をみつめる「タカシ丸」が好きです。

    文庫本のあとがきの中で、重松さんは次のように書かれています。

    「思えば、四季の中で夏ほど『終わり』の似会う季節はない。『終わり』があるからこそ、光り輝くものがある。『終わり』があるからこそ、新しいなにかが始まるだろう。『終わり』があるからこそ、生きることのすべては、かけがえのないものになる。」

    「僕たちは誰もがいま、とても大きな『終わりの後の始まりの前』にいるのだろう。でも、いつか、僕たちは歩きだす。『終わりの後の始まり』を生きる。生きて行こう。生きていかなければならない。『終わりの後』を持ち得なかった何万人ものひとびとのためにも」

    夏の一日、人と家族を思いやる一冊に、巡り合えました。

    2011年7月31日

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  • 2011.07.28

    カンガルーの本棚 発達障害の勉強

    発達障害について書かれた本を、集中的に読みました。

    ○発達障害に気づかない大人たち<職場編>(祥伝社)

    ○発達障害のある子どもができることを伸ばす(日東書院)

    ○発達障害を持つ 子どもの心 ガイドブック(主婦の友社)

    ○アスペルガー症候群・高機能自閉症の子どもを育てる本(講談社)

    どの本も、発達障害の子どもとの「おつきあい」について、分かりやすく解説されています。

    発行年月を見ますと、なるほど、新しく出版された本ほど、細やかさを感じます。

    8月の講演会に向けて、準備が進みます。

    2011年7月28日

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  • 2011.07.13

    カンガルーの本棚 空気が読めない人

    星野仁彦先生の「空気が読めないという病」(ベスト新書)を、読みました。

    子どもの発達障害は、成人に達しても、その特徴は残ると言われます。

    家庭や職場でうまくいかず、孤立する人々。

    星野先生は、次のように述べられます。

    「わがまま、協調性がない、だらしない、怒りっぽい、忘れっぽい、などと思われ、誤解されています。これらは決して本人の性格によるものや悪意があるわけではなく、脳の発達のアンバランスによって起こる、一種のハンディキャップのようなものである。」

    「脳の発達がアンバランスであっても、特定の分野で素晴らしい能力を発揮する人たち。そういう人たちの力を借りながら、人類は進歩していくと思うのです。」

    家庭生活での工夫、仕事の選び方、」などなど。

    発達にアンバランスがある人の立場から、優しく解説されています。

    2011年7月13日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.07.10

    カンガルーの本棚 特別な卒業式

    新潮社の「これからを生きる君たちへ」を、読みました。

    60ページ余りの、短いブックレットです。

    3月11日の大震災の後、卒業を迎えた子ども達、学生たちへの、校長先生、学長からのメッセージ集です。

    東京都港区立青南小学校の興水かおり校長先生は、卒業生へのはなむけの言葉として、次のように述べられています。

    「自分の頭で考え、判断し、何をすべきかを決めて動きなさい。」

    「君達は私の、ここに集まった大人全ての希望の種です。」

    東大総長、阪大総長、そして、長崎大学学長。

    大震災後の、日本の未来を託す子ども達、学生への、熱いメッセージが書かれています。

    ご一読されることを、お薦めします。

    2011年7月10日
    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.07.08

    カンガルーの本棚 せんせい

    重松清さんの「せんせい」(新潮文庫)を読みました。

    重松さんは、文庫版のあとがきで、次のように語られています。

    「僕は教師という職業が大好きで、現実に教壇に立っていらっしゃるすべての皆さんに、ありったけの敬意と共感を示したいと、いつも思っている。けれど、僕は同時に、教師とうまくやっていけない生徒のことも大好きで、もしも彼らが落ち込んでいるのなら「先生なんて放っときゃいいんだよ」と肩を叩いてやりたいと、いつも思っている」

    「せんせい」には、白髪の二―ル・ドロップスは神さまの涙・マティスのビンタ・にんじん・泣くな赤鬼・気をつけ礼・と、6つの短編が収められています。

    私は、この中で「にんじん」に描かれた工藤先生が好きです。

    先輩への嫉妬、生徒への嫌悪感、人間的で、じたばたとして・・

    「先生とよばれる人も、一人のふつうの人間なんだ」と言う、当たり前のことに、ほろ苦く気づかされる短編集でした。

    2011年7月8日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

     

  • 2011.07.01

    カンガルーの本棚 原発への疑問

    小出裕章先生の「原発のウソ」(扶桑社新書)を、読みました。

    福島原発で起きたこと、起こりつつあることが、書かれています。

    「原発は絶対に安全なんだ」と、言われ続け、避難計画所さえ作られてこなかった現実。

    ○原子力発電って、コストが安いの?

    ○原子力発電って、CO2を排出しない、エコ・エネルギーなの?

    ○原子力発電って、地球温暖化防止に貢献しているの?

    ○原子力発電って、化石燃料の枯渇に備えた切り札なの?

    私達が、脱原発という言葉を耳にする時に、その反論として刷り込まれている、いくつかの疑問。

    その疑問の一つ一つを、ていねいに説明されています。

    さほど厚くない新書ですが、「目からうろこ」の一冊です。

    2011年7月1日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.03.23

    カンガルーの本棚 子どもの貧困

    浅井春夫先生の「脱『子どもの貧困』への処方箋」を読みました。

    以前に購入していたものの、積んどく状態。

    3月11日におきた「東北関東大震災」

    それを機会にページを繰り始め、その主張に引き込まれました。

    浅井先生は、次のように主張されます。

    ①    子どもの現状を知るべき努力を続ける力

    ②    子どもや青年の声に痛みを感じる力

    ③    この現実を変えようとする真摯な姿勢

    知ることと、感じること。そして変えようとすること。

    ひとつひとつ、積み上げていく、一年にしたいと思いました。

                          2011年3月23日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.01.22

    カンガルーの本棚 春になる

    お正月の読みはじめは、コンビニで買った「テストの珍解答」(鉄人社)

    全国の試験解答から集められた、解答集です。

    「雪が溶けたら何になるでしょうか?」

    青森県の小学校の問題に、女の子は「春」

    以前このブログでもご紹介した、答えが載っていました。

    雪道を歩きながら、子どもに

    、この本のことを伏せて、同じ質問をします。

    答えは、「・・・春」

    やったね、大正解です。

    おとうさんは、「春」って、書く子どもが大好きですよ。

                           2011年1月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.24

    カンガルーの本棚 春はまだ

    重松清さんの、「季節風・春」を読みました。

    春は、別れの季節、そして、はじまりの季節です。

    そんな春を、12の物語でたどります。

    わたしは、「めぐりびな」、そして、「せいくらべ」に、こころ引かれました。

    「めぐりびな」は、母の苦労と愛の深さが描かれています。

    「せいくらべ」は、小学校5年生の女の子と、隣家の若夫婦の交流が描かれています。

    ページをめくる手に、電車の走る振動が重なる中、ひとの優しさが、深くこころに伝わります。

                           2010年12月24日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.17

    カンガルーの本棚 夢時計

    川口雅幸さんの「夢時計」(星雲社)を読みました。

    新刊コーナーに積まれていた、レトロな暖かい色の表紙にひかれて、手に取りました。

    主人公は小学6年生の男の子。

    ふとしたことから、自分が産まれた時の家族の時間に戻ります。

    そこで、おじいさんが語ります。

    「神様が人間にタイムマシンを作らせないのは、後悔や失敗を過去の塗り替えなどでなおざりにせず、その思いを、後世、未来へとしっかり紡いでいかせるためだと、わしは思うんだ」

    変えたい過去、変えたい自分。

    それは、過去の自分ではなく、未来につながる今の自分を変えていくこと。

    深いメッセージを、受け取りました。

                           2010年12月17日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.12.11

    カンガルーの本棚 若葉たち

    辻内智貴さんの「信さん」(小学館文庫)を読みました。

    昭和30年代、九州のお話しです。

    主人公は、イチジクの樹を見上げながら思います。

    「遮るものの無い豊かな陽ざしをうけて思うがままに育びていく若葉もあれば、陽の当たらぬまま日陰に枯れて行く葉も何処かに有るのだろう。

    人間もまた、そんな若葉に似た一時期を、その一生のうちに誰でもが持つのではないか。この人の世の様々な陽ざしの中に、人は古から抗いようもなく産まれおちつづけてきた。その理不尽さに時にくるしみながらも、それでも、人はそれぞれの天地のなかで、可憐にその一生を紡ぎつづけてもきた・・」

    職員健診にむかう神戸電鉄のなかで、あふれくる涙に戸惑いながら、読みすすみました。

    クリスマスまでに、多くの人が読まれたらいいですね。

                           2010年12月11日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏 

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