カンガルーの小部屋

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  • 2023.04.21

    カンガルーの本棚 もどきってなあに

    成田奈緒子先生の「発達障害と間違われる子どもたち」(青春新書)を読みました。

    この13年間で、10倍に増えたと言われる発達障害

    成田先生はその背景に、過剰診断があるのではないかと危惧されます。

    睡眠障害や生活リズムの乱れ、

    その結果生じる不適切な行動を、「発達障害もどき」と名付けられ、

    まず子どもを「立派な原始人」に育てるところから始めようと言われます。

    子育てにお悩みの方にお勧めの1冊です。

    2023年4月21日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.19

    カンガルーの本棚 空飛ぶ猫

    ルイス・セプルベタさんの「カモメに飛ぶことを教えた猫」(白水社)を読みました。

    黒猫のもとにたどり着いた瀕死のカモメが言い残した3つの願い

    1つ目は、わたしが産む卵を食べないでください

    2つ目は、その卵のめんどうをみてやってください

    そして、3つ目の願いとは

    猫とカモメという種を超えた友情の先に現れる勇気と奇跡

    作者は動物に名を借りて、私たち人間に何を伝えようとしたのでしょう

    読みやすい文体と、ルビ付きの文章

    子どもから大人まで楽しめる1冊です

    2023年4月19日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.12

    カンガルーの本棚 強く弱く悲しく

    凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」(講談社)を読みました。

    高校で出会った、暁海と櫂が過ごした15年の物語

    瀬戸内の島のしがらみの中で、もがきながら愛を確かめ合うふたり

    惹かれ合いながらも引き裂かれ、

    強く、弱く、悲しく そして

    昨年の夏に頂きながら、積ん読く状態の8カ月間

    ようやく手に取ると2日間で一気読み

    本を閉じた後も、小説の世界が目に浮かびます。

    読了した日に、2023年度の「本屋大賞第一位」選ばれた作品です。

    2023年4月12日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.11

    カンガルーの本棚 少しだけ顔を上げて

    西條奈加さんの「わかれ縁」(文春文庫)を読みました。

    金と女にだらしがない亭主のもとから逃れようとする絵乃

    人ごみの中で救ってくれた「別れ屋」家業の手代のもとで、

    新しい人生を探し始めます。

    視野が狭くなり、下を向き足許ばかりを見ている

    そんな顎を一寸だけ上げてやる

    「別れ屋」は絵乃を救い、そして幾多の人を救います。

    今よりのずっと女性の人権が疎んじられていた江戸時代にあって、

    生きる力を取り戻していく女性たちの物語です。

    2023年4月11日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.08

    カンガルーの本棚 愛してるのに

    中野信子先生の「毒親」(ポプラ新書)を読みました。

    子どもの人生を支配し、子どもの人生に悪影響を及ぼす親を指します。

    愛してるのに、愛されたいと思っているのに

    すれ違う親と子の気持ち

    中野先生は、

    子を産む役割と、育てる役割を

    ゆるやかに自然な形で分担できるならと述べられます

    2023年4月8日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.04.05

    カンガルーの本棚 深おも本

    中野信子先生の「脳の闇」(新潮新書)を読みました。

    不安が持つ意味

    うつの生き方

    正義中毒のわな

    不健康の自慢

    これまで抱いていた常識を、根底からひっくり返される心地よさ

    脳科学者の中野先生による、深くて面白い論説集。

    脳が最高に活動しているときに、おすすめの1冊です。

    2023年4月5日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.31

    カンガルーの本棚 親と子のきずな

    高橋和巳先生の「子は親を救うために心の病になる」(ちくま文庫)を読みました。

    学校に行けなくなった子ども、虐待を受けた子ども

    発達障害がある親の元で育てられた子ども

    子どもが自分の課題を乗り越えるうえで見えてくる、親がもつ課題

    カウンセリングは、その人の生き方や悩みをきくのではなく、

    その「存在」を確認する作業だと、高橋先生は述べられます。

    やさしい文体の中に、人の心に迫る深い内容が描かれています。

    2023年3月31日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.26

    カンガルーの本棚 おかしくそして泣かせる人情噺

    畠山健二さんの「本所おけら長屋二十」(PHP文芸文庫)を読みました。

    大江戸の下町長屋を舞台にしたシリーズも、二十巻目をむかえました。

    これまでは四つの小話がつまっていたシリーズも

    今回は、三つのお話に凝縮

    やくざな生き方、母との再会、そして新たな旅立ちと

    どの話もおかしく、そして泣かせるお話

    シリーズの中で、一押しの一冊です。

    2023年3月26日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.23

    カンガルーの本棚 五公五民

    森永卓郎先生の「増税地獄」(角川新書)を読みました。

    所得税に復興特別所得税が加算され、20年先まで延長という話が出ています

    介護保険料に国民年金、医療費負担も増え

    おまけに消費税増税も論議されています。

    江戸時代の租税システムは、四公六民からはじまり

    五公五民になると、人口の伸びがなくなり一揆が多発するようになります。

    そして令和の今、多くの人は五公五民に苦しんでいます。

    減税を、消費税の即時停止をと、森永先生は声を大きくして訴えられます。

    令和の人々は、なぜ減税一揆に立ち上がらないのでしょうか

    庶民の立場から税を考えることができる1冊です。

    2023年3月23日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.18

    カンガルーの本棚 一冊の本から

    青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」(ポプラ文庫)を読みました。

    小学校に隣接する、小さな市民図書室を訪れる5人の物語

    婦人服売り場での仕事に悩む朋香には、「ぐりとぐら」

    経理の仕事になじめない諒には、「植物図鑑」

    ワンオペで閑職に回されて悩む夏美には、「占いの本」

    ニートの浩弥のもとには、「写真集」

    定年後のなしなし生活を送る正雄には、「詩集」が

    それぞれの手元に届けられた一冊が、

    生きる勇気を、そして人生を変える力を与えます。

    本が持つ力を、静かにやさしく教えてくれる一冊です。

    2023年3月18日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.16

    カンガルーの本棚 毎日が割引セール

    藤井聡先生の「なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか」(ポプラ新書)を読みました。

    賃金が上がらず、消費が冷え込み、経済が停滞する理由の一つとして、

    藤井先生は、低賃金とともに、

    消費税や社会保障費が大きくのしかかっていると指摘されます。

    そもそも税とはなになのか、

    国を豊かにし、人々を幸せにする施策の第一歩として

    消費税の凍結を強く訴えられます。

    財源をどうするのか、赤字国債の是非など

    論議を深める余地は残されていますが、

    藤井先生の提言を、受け止めてみようと思います。

    ふしぎな、夢のある1冊です。

    2023年3月16日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.03.14

    カンガルーの本棚 父になる

    重松清さんの「ひこばえ」(朝日文庫)を読みました。

    主人公のもとに、幼い時に分かれた父の訃報が届きます。

    顔も、一緒に生活した時の記憶も思い出せない父を、

    受け入れることができずにいる主人公

    やがて、父の最晩年を知る人とのつながりの中で、

    息子として、父を知る旅が始まります。

    題名に込められた「ひこばえ」の意味を

    読み終えた後も 重く受け止め考えたくなる、おすすめの1冊です。

    2023年3月14日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.02.24

    カンガルーの本棚 せき越えて

    西條奈加さんの「せき越えぬ」(新潮文庫)を読みました。

    小田原藩が下級士族の武一は、

    箱根の関の役人に任じられます。

    「入鉄砲出女」の言葉にもあるように、

    とりわけ女性の関越えには厳しい詮議が待ち受けています。

    箱根の関で起きる様々な出来事

    時代の大きな変化の中で、翻弄される武一

    やがて、武一は友のために大きな決心をします。

    読みやすく楽しめ、若者の心意気を後々まで心に残してくれる作品です。

    2023年2月24日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.02.19

    カンガルーの本棚 非常識の経済学

    藤井聡さん、森井じゅんさん共著の

    「消費税減税・ニッポン復活論」(ポプラ新書)を読みました。

    税金をなぜ集めるのか

    その年度の予算案の財源はどこから

    消費税、社会保障費の増加が、実質賃金を引き下げ

    人々の購買意欲を減らし、物は売れなくなり、

    企業は人減らしと低賃金路線を突っ走る

    その結果、購買意欲はますます冷え込み、物が売れなくなる。

    この悪循環を打開するにはどうすればよいのか。

    これまで常識だと思われてきた経済学に

    まったく新しい観点から風穴を開けようとされる1冊です。

    2023年2月19日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    61qBchqjFUL

  • 2023.02.17

    カンガルーの本棚 町が呼ぶ声

    小野寺史宜さんの「まち」(祥伝社文庫)を読みました。

    高校を卒業し、尾瀬に近い故郷から東京に出てきた瞬一

    身体を動かす仕事をしたいと始めた引っ越し屋の仕事

    川沿いの道を走り、人と出会い、人を助け

    そして、自分がめざしたい道がみえてきます。

    大東京の中で、生きていこう

    瞬一の決意に、街は大きく手を広げ、受け止めてくれます。

    心が暖かくなる1冊です。

    2023年2月17日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    81nrqtug+yL

  • 2023.02.14

    カンガルーの本棚 永遠のパートナー

    新堂冬樹さんの「虹の橋からきた犬」(集英社文庫)を読みました。

    業界でのし上がるために、寸暇を惜しんで仕事に邁進する主人公。

    社員を巻き込み、孤立し、酒におぼれ

    そんな南野のもとに、子犬パステルが預けられます

    南野を見つめるパステルのまっすぐな瞳に

    栄光や賞賛や名誉のかわりに、もっと大切なものを知ります。

    そして、病に侵されたパステルとの別れ

    作者の体験をもとに書かれたこの作品は、

    旅立った我が家の愛犬との日々を、なつかしく静かに思い出させてくれます。

    2023年2月14日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    81VcZCCqL7L

  • 2023.02.11

    カンガルーの本棚 思いを新たに

    南杏子先生の「ブラックウェルに憧れて」(光文社文庫)を読みました。

    大学を退官する教授とその教え子で、女性医師として活躍する4人の同級生の物語

    20年近くの時を経て、眼科医、健診医、エスコートドクター、新生児科医として生きる

    彼女らの前に立ちふさがる、きびしい現実

    悩み苦しみ、それでも患者さんのためにと、立ち上がる女性たちの姿に

    身が引き締まる思いがします。

    毎日をそれなりに過ごすことに満足しないで、

    まだまだやりたいこと、やり残したことに挑んでみようという

    勇気を与えてくれる1冊です。

    このところ、いろいろな分野の新書に手を伸ばし、

    知的好奇心が満たされていましたが

    小説も、いいものですね。

    2023年2月11日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    71M8xxQ-HnL

  • 2023.02.07

    カンガルーの本棚 貧しい国に

    小林美希さんの「年収443万円・安すぎる国の絶望的な生活」(講談社現代新書)

    を読みました。

    電気代、ガス代、生鮮食料品、みそ、しょうゆ

    値上げのニュースを聞かない日はありません。

    その国で暮らす人々は、ペットボトルのお茶を買わずに水筒を持参し、

    ケーキや、スタバは高根の花

    街には非正規社員があふれ、コロナ禍で失業者も増えています。

    若者はその日の暮らしに忙しく、

    結婚する資金もなく、子育てしようにも教育費が重くのしかかります。

    小林先生は、生活者の生の声に耳を傾けられ

    就職氷河期を過ごした、もはや若者とは言えない世代の声を書きとめられます。

    胸が痛くなるような現実

    その現実から目をそらすまいと、誓いを新たにさせる1冊です。

    2023年2月7日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    61rZch7IqdL

  • 2023.02.03

    カンガルーの本棚 複雑すぎて

    島宗理先生の「使える行動分析学」(ちくま新書)を読みました。

    行動分析学を用いて、自分の課題を明らかにし、それに介入して解決していく

    精神論ではなく、行動の後に生じる随伴性をもとに整理する

    ただ、実生活上の課題になると、いろいろな因子が絡み合い、

    複雑になりすぎて、行動を起こす前にためらってしまいそうです。

    まだまだ理解不足

    もっと、消化する必要があると思いました。

    2023年2月3日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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  • 2023.01.20

    カンガルーの本棚 文明は進化しているのか

    稲田豊史さんの「映画を早送りで観る人たち」(光文社新書)を読みました。

    若者の間で、動画を倍速、あるいは10秒飛ばしで観る習慣が広がっている。

    その背景にある若者が置かれている現状とは何か

    作品をコンテンツと考え、鑑賞から消費へと行動が変化したこと

    万人にわかりやすく伝えることが、求められる作品作り

    可処分時間の減少とともに、「タイパ」を優先せざるを得ない生活

    そして、そして

    著者自らが、あとがきで述べられているように、

    本書は「メディア論」であり、「コミュニケーション論」であり

    また、「世代論」「創作論」「文化論」でもある。

    幅広く、軽やかでいて奥深い論調に、記憶に残る1冊となりました。

    2023年1月20日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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