カンガルーの小部屋

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  • 2022.10.22

    カンガルーの本棚 良かれと思う一言が

    出口保行さんの「子どもを呪う言葉、救う言葉」(SB新書)を読みました。

    罪を犯した少年の更生を願い、心理分析に関わられてきた著者の子育て論

    「みんなと仲よくしてね」「早くしなさい」「頑張りなさい」「何度言ったらわかるの」

    忙しい子育ての道のりで、親の口からついでてしまう言葉

    その一言が、子どもをひどく傷つけることがあります。

    良かれと思う言葉が、なぜ子どもを傷つけるのか

    著者は豊富な臨床体験から、その謎に迫ります。

    読み終えてしまえば、ごくあたりまえのこと

    子育ての基本は、子どもの気持ちの今を深く観察し、

    親の願いではなく、子どもにとって本当に良かれということなのかと考えて

    育てていくことかも知れませんね。

    2022年10月22日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.10.19

    カンガルーの本棚 ニャンコ名探偵

    西條奈加さんの「猫の傀儡」(光文社文庫)を、読みました。

    傀儡とは、あやつり人形、かいらいのこと

    江戸時代、お蚕さんや米蔵をネズミから守るために、

    ネコが大切にされていました。

    ネコの社会を守るために、選ばれたネコが傀儡師となり、

    あやつった人の助けをかりて、次々と起こる事件を解決します。

    主人公のミスジと呼ばれる傀儡ネコには、人の言葉が分かりますが、

    人には、ニャーっという鳴き声にしか聞こえません。

    さて、傀儡ネコは、どんな方法で人に気持ちを伝えるのでしょう

    ネコ社会の描写がとても愉快で、

    思わずわたしも、ニャーっと鳴いてしまいます。

    2022年10月19日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.10.13

    カンガルーの本棚 許せない過去を

    西條奈加さんの「はむ・はたる」(光文社文庫)を読みました。

    飢饉が続き、人買いに売られたり、捨てられたりして

    江戸の町で暮らす孤児たちの物語

    知恵を絞り、事件を解決し、

    師匠と慕う男の復習を手伝おうとするのですが・・

    「はむ・はたる」はフランス語で「ファム・ファタール」

    魔性の女との苦い結末に、少し気持ちが引いてしまいます。

    やはり、ハピーエンドが読みやすいかも

    2022年10月13日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.10.06

    カンガルーの本棚 いのししの姿に

    西條奈加さんの「亥子ころころ」(講談社時代小説文庫)を読みました。

    大江戸で小さな菓子屋を営む治兵衛のもとに、

    行き倒れの菓子職人が転がり込んでくる

    治兵衛と娘と孫の3人の生活が、

    音を立てて変わっていく

    その先には、何が待ち受けているのか

    南星屋シリーズ第二弾も、ワクワクのひと時を運んでくれます。

    2022年10月6日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.10.05

    カンガルーの本棚 カアカアさんのお金

    西條奈加さんの「烏金」(光文社文庫)を読みました。

    烏金(からすがね)とは、江戸時代の高利貸しのこと

    訳ありの浅吉は、金貸しのお吟の家にもぐり込みます。

    借りたお金を返すことができない人に、

    浅吉は、生きるすべを教え、立ち直らせていきます。

    金貸し業を手伝い、ふところにしまい込んだ金を

    浅吉は何に使おうとするのでしょうか

    お話の中の世界ですが、私利私欲のためでなく

    もっと大きなものを夢見る浅吉に、大きな拍手です。

    2022年10月5日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.10.01

    カンガルーの本棚 今すこし抜け出せた

    伊吹有喜さんの「今はちょっと、ついてないだけ」(光文社文庫)を読みました。

    学生時代にマスコミの寵児となった主人公

    バルブがはじけ、多額の負債を背負わされ、すべてを失い

    冒険家と、写真家という夢も捨て、ひっそりと暮らす

    そんな彼を、母は「今はちょっと、ついてないだけ。

    そのうちいい運がやってくるよ」と、励まします。

    フィルムのカメラから、デジタルのカメラへと時代は移り、

    戸惑いながら、本当にやりたかったことに向かって歩き始めます。

    敗者復活戦は、これから

    あわてないで少しずつ、

    読みながら主人公に声援を送りたくなります。

    2022年10月1日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.29

    カンガルーの本棚 年を取り巡り会い

    森絵都さんの「出会いなおし」(文春文庫)を読みました。

    出会いのあとに別れがあり、そして再び出会いが待ち受けている

    生きていくと出会うかもしれない、6つの物語が書かれています。

    小学校の同窓会で明かされる、引きづっていた後悔の時間

    昔の出来事を思い出し、少しニコリとしました。

    2022年9月29日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.27

    カンガルーの本棚 1両はいくらなの

    磯田道史さん監修の「江戸の家計簿」(宝島新書)を読みました。

    時代小説を読んでいて、入り込めないのが地名とお金の価値

    1両はいくらなんだろうと思い、手に取りました。

    お米の価格を基にすると、1両は63,000円

    賃金から考えると、1両は300,000円

    とすると、1000両箱は3億円

    頭がくらくらします。

    庶民の生活では、お蕎麦は1杯、16文で約250円

    それでもやはり、江戸の金銭感覚はなじめません。

    あまりこだわらないで、本を読むことにしましょうね

    2022年9月27日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.25

    カンガルーの本棚 鈴の音が聞こえる

    西條奈加さんの「無暁の鈴」(光文社文庫)を読みました。

    幼くして寺に預けられ、愛する友の死をまじかに見つめ

    無暁と名を変えて生きる主人公

    世の哀しみ、人の苦しみをわが身で代ることができればと

    修行に修行を重ねる無暁

    ちりん、ちりんと響く鈴の音に

    人の世の生きづらさが重なります。

    読み終えた後も、作者の重い問いかけが、心に響きます。

    2022年9月25日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.23

    カンガルーの本棚 光と風の布

    伊吹有喜さんの「雲を紡ぐ」(文春文庫)を読みました。

    学校にも家庭にも、居場所を見つけられない高校生の美緒は、

    長く音信が途絶えていた父方の祖父宅に家出をします。

    岩手の山奥にある祖父宅で出会ったものは・・

    自分のことがすきになれない美緒が

    祖父の、そして父の志に気づき、

    自分だけの道を歩み始めます。

    居場所さがしで悩んでいる若い人に、是非読んでほしい1冊です

    2022年9月23日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.22

    カンガルーの本棚 舞い落ちる雪に

    西條奈加さんの「涅槃の雪」(講談社時代小説文庫)を読みました。

    時は水野忠邦による天保の改革の真っただ中

    北町奉行所の与力門佑は、舞い落ちる雪を、

    両手をひろげて受け止めようとする女性に出合います。

    改革が進むにつれて、しぼんでいく江戸の町

    門祐と女性は、改革の嵐に翻弄されながらも

    どんな明日を迎えるのでしょうか

    最後の1ページまで気を抜くことができない、みごとな時代小説です。

    2022年9月22日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.19

    カンガルーの本棚 また会えたね

    山本甲士さんの「迷犬マジック2」(双葉文庫)を読みました。

    孤独にさいなまされている人の足元に

    ぶらりと現れては、役目を終えると去っていく迷犬マジック

    今回は、継父となるひとを、受け入れられない少年

    衝動的な性格から、人生につまづいた青年

    仕事第一で過ごし、息子との確執に身動きが取れないでいる父親

    ひとり暮らしが続き、孤立を深める老女のもとに、

    マジックが現れます。

    マジックと過ごすと、人の輪が広がり

    生きる力が湧いてきます。

    マジックさん、うちのクリニックにも顔を出してくださいね。

    みんなが 待っていますよ

    2022年9月19日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.17

    カンガルーの本棚 旅立つ者と残された者と

    長月天音さんの「ほどなく、お別れです」(講談社文庫)を読みました。

    主人公は、就活中の女子大生

    内定が決まらずに、はじめたバイト先は葬儀屋さん

    旅立つ者と残された者の哀愁が、彼女の心を揺さぶります。

    哀しみの中に、前へ進もうとする生きる力を見つけるお手伝いを

    そんな仕事の意味を見つけていく小説です。

    いたやど駅前、井戸書店の森店長さんお勧めの一冊です。

    2022年9月17日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.14

    カンガルーの本棚 黄金の蝶

    飯嶋和一さんの「黄金旅風」(小学館文庫)を読みました。

    寛永年間は2代将軍徳川秀忠から家光の世にうつり行く時代。

    鎖国前の海外貿易が盛んな頃の、長崎の物語。

    貿易商の家に生まれた型破りな末次平左衛門は、

    長崎の民を守る一念で行動し、そして「黄金の蝶」を見ます。

    歴史上の人物が多く登場し、読み進むのに難渋することもありましたが、

    歴史に名を残す主人公の生き方に、大いに共感しました。

    2022年9月14日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.12

    カンガルーの本棚 家族の味

    西條奈加さんの「まるまる毬」(講談社文庫)を、読みました。

    大江戸の小さな和菓子屋さんの、3代にわたる家族の物語。

    値が張る和菓子ではなく、庶民でも手が届くお値打ち値段のお菓子を

    日替わりで作り続ける祖父と、それを支える娘と孫娘

    どんな秘密が隠されていて、何が起きるかは読んでのお楽しみ

    人情話も西條さんに、おまかせです。

    2022年9月12日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.09

    カンガルーの本棚 きんとぎん

    高田郁さんの「あきない世傳金と銀 大海編」(ハルキ文庫)を読みました。

    大江戸に店を構え、大火や身内の裏切りにあいながら、

    商いを拡げていく五鈴屋の幸

    新しいく開いた店を取り上げられ、

    それでもみなと手をつなぎながら 前を向いて歩いていく

    金は柔らかく、いつまでも光り続ける

    銀は曇ってしまうけれども、それはひとからひとの手に渡った証

    金と銀がそろわなければ商いはできないという言葉が

    13巻続いた物語をしめくくります。

    いまからスピンオフ作品が楽しみです。

    2022年9月9日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.05

    カンガルーの本棚 本屋さんお勧めの

    朝倉宏景さんの「あめつちのうた」(講談社文庫)を読みました。

    甲子園球場のグランド整備の職を選んだ青年と、仲間の成長の物語。

    スポーツに関しては、新聞紙面で結果を通り読みするしか能がないわたしですが、

    いたやど駅前の井戸書店の森店長さんのお勧めのまま、

    読み始めると、これがやめられない。

    スポーツ選手の汗と苦悩が迫り、一気読みの1冊になりました。

    2022年9月5日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.09.01

    カンガルーの本棚 変わるものと変わらないものと

    三上延さんの「同潤会代官山アパートメント」(新潮文庫)を読みました。

    19年からはじまる4世代の物語、

    関東大震災、戦争、バブルの崩壊、そして、阪神淡路大震災

    歴史の大きな流れの中で翻弄されながら、

    変わるものと、変わらないものと

    アパートメントとともに、家族のささやかな歴史が刻まれていきます。

    2022年9月1日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.08.29

    カンガルーの本棚 やらまいか

    伊吹有喜さんの「なでし子物語地の星」(ポプラ文庫)を読みました。

    子どもが生まれ、働き始めた耀子

    高齢化をたどる山村で、自分ができること、

    じぶんがやりたいことを模索します。

    「やらまいか」

    まわりを励まし、自分を励ます言葉とともに、

    耀子は、おとなの女性へと育っていきます。

    時代の流れの中で、力強く生きようとする耀子が、輝きます。

    大河小説の3巻目は、心に響く1冊です。

    2022年8月29日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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  • 2022.08.26

    カンガルーの本棚 旅立ちの日に

    伊吹有喜さんの「なでし子物語天の花」(ポプラ文庫)を読みました。

    高校を卒業する前に、耀子は誰にも告げず家をでます。

    車窓を見つめるうちに、ともに過ごした少女時代の思い出がよみがえります。

    誰にも愛されない、だれも頼ることができない耀子

    不安の中で物語は進んでいきます。

    大河小説の2巻目も、つらくなる思いがする1冊です。

    2022年8月26日

    いたやどクリニック 木村彰宏

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