カンガルーの小部屋

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  • 2010.04.24

    聴診器のむこうに ワニさんいるっ?

    おとうと君を先に診察をしていますと、「ワニ いるっ?」と、ワニが気になるおにいさんの声。

    今日はなんと答えようかと、少し動揺しながら、「名古屋にご飯食べに行ってる」とかわします。

    「またあ~」と、不満そうな、そして疑わしそうな声。

    「ワニ、何に乗って行ったん。電車?」と、確認を取ってきますので、「新幹線!。のぞみ!」と答えます。

    「ふーん。やっぱし、電車なんや」

    そう、のぞみ号にはワニさん専用の座席があります。

    身体が横に長くて通路をふさぐので、一番後ろの車両です。

    グリーン券が4枚も要ります。

    ワニさんもなかなか苦労人です。

    こうして、自分でまいた種の深みにはまります。

                           2010年4月24日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.22

    聴診器のむこうに おねえさんのハンカチ

    中学校に入られたばかりの男の子が来られました。

    男の子には、言葉がありません。そして、音楽が大好きです。

    待っている間は、テレビのおかあさんと一緒に合わせて、飛び跳ねてうれしそう。

    汗が光ると、おねえさんがハンカチでぬぐいます。

    大の苦手は、掃除機の音。こわくて近寄れません。

    学校のトイレで用をたしている時に、一度掃除機の音が鳴り、それからはおうち以外のトイレは使えなくなりました。

    「ラジカセをトイレに持って入ってみたら。」と怪しげな提案をしますと、おねえさんもいろいろと相談に乗ってくれます。

    「おねえさんは、将来なにになりたいの?」って尋ねますと、「助産師です」と言う答え。

    「しっかりと勉強をして、いい助産師さんになってくださいね。」

    あなたのようなやさしい助産師さんの誕生を、おかあさん方は待っていますから。

                           2010年4月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.20

    聴診器のむこうに 若き3才児の悩み

    3才になったばかりの男の子が来られました。

    「ぼく、なんさい?」と尋ねますと、指をしきりに動かします。

    その動きがとてもおかしく感じられましたので、「ごめん、写真に撮るから、もう一度なんさい、してくれない?」とお願いし、パチリとゲット。

    すぐ後に、3才3か月の男の子が来られました。

    「ぼく、なんさい?」と尋ねますと、「さんさい。」といいながら、どうにか指を3本立てようとします。

    これまた、パチリとゲット。

    おふたりとも、「家ではできるんですけどねえ」とは、おかあさんの弁。

    人生の悩みは、若くして3才児に始まることを発見しました。

                           2010年4月20日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.19

    聴診器のむこうに またまた科学者

    名門中学に合格した男の子が、またひとり来られました。

    「将来なにになりたいの。」とお聞きしますと、「科学者です。」という答え。

    先日の男の子も科学者という答えでしたので、クリニックでは科学者が大人気です。

    男の子は喘息で通院されています。

    「研究室にこもって、本を読むだけが科学者ではありません。海に潜ったり、山に登ったりすることで分かる研究もあるのですよ。そのためには身体をしっかりと作ることも忘れないでくださいね。」と、吸入を忘れないように助言しました。

    たまには小児科医らしいことも言うものでしょ。

    ところで、科学者っていうけれど、どこまでが科学者と言えるのかと疑問に思っています。

    「おとうさんは、科学者に入るのかなあ?」と言いますと、「ただの変質者」と子どもが答えました。

                           2010年4月19日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.19

    聴診器のむこうに 飲んでもいいですよカード

    春休みに、4月から2年生になる男の子が来られました。

    牛乳アレルギーがあるために、小さいときから牛乳を避けています。

    練習のおかげで少しずつ飲めるようになりましたが、1年生の時には牛乳パックはパス。

    「で、4月から2年生になってもいいって、校長先生は言われたかな。」と尋ねますと、「???」

    「ほら、通知票に『2年生になってもいいですカード』がはさんであったでしょ。」と続けますと、ますます不安げな顔。

    おかあさんはニコニコ顔で成り行きをみられていましたが、頃合いをみて「先生、加古川では今年からそのカードがなくなったんです。」と、助け船を出されます。

    「じゃ大丈夫だ。2年生になれるんだ。」

    そして2年生からは、おかずだけでなく、「パックの牛乳も飲んでいいですよカード」を差し上げることにしました。

    いまごろは、「飲んでもいいですよカード」を通行手形に、みんなといっしょに笑顔で牛乳を飲んでいるのでしょうね。

                           2010年4月19日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.18

    聴診器のむこうに 天草塩キャラメル

    「先生、天草に行ってきました。」と8才の女の子がひとりで診察室に入って来ました。

    おとうさんは後からの登場です。

    「あの、これっ」と、おみやげに渡してくれます。

    18×8×4.5cmの大きさのキャラメル箱です。

    先日飛行機に掃除機をつめこむのかどうかというブログを書かせていただいた子どもさんでしたので、天草の実家で喘息発作もなく、2週間無事すごせたと言うことをお聞きし、ありがたくキャラメルをいただきました。

    箱には天草四郎のいわれも書かれています。

    特別な味だったらどうしようと思いながら、成分表示を確認しつつ看護師さんとなめてみました。

    「これはいける。」とてもおいしいキャラメルでした。

    それにしても、天草塩キャラメルとは地味なネーミングですよね。

                           2010年4月18日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏 

  • 2010.04.18

    聴診器のむこうに おとうさんと、おかあさんと

    一年生の女の子に「おとうさんと、おかあさん、ケンカする?」と聞きました。

    「する、する」と答えますので、「どっちが強い?」と二次調査をします。

    答えはもちろん「おかあさん!」

    「いいこと、教えたげよか。このあいだの夜、妹がのどが乾いたと言うとね、おとうさんとおかあさんがどっちがお茶飲ませに行くか、じゃいけんで決めてン。おとうさんが勝ったんやけど、結局おとうさんが起きて飲ませにいってン。」

    おとうさんは、お医者さんをされています。

    ご家庭でも、身体を張っての子育て、ご苦労さまです。

    女の子の観察力の鋭さには、脱帽です。

    大きくなったときの、いい勉強ができましたね。

                           2010年4月18日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.17

    聴診器のむこうに おなかのポニョ

    8才の男の子が来られました。

    診察をしますと、おなかのお肉がポニョです。

    ポニョを触りながら「これ何かな」と尋ねますと、少しふくれ顔で「先生、あげるわ」と言います。

    「そんなん、いらんわ。先生のお肉をあげよか?」と言いますと、「ちょうだい、売るから」と答えます。

    先生もおなかのお肉は、お金をつけてでも買い手を探したいと思っていたところです。

    君のと一緒に、ネットオークションに出しませんか。

                           2010年4月17日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.14

    聴診器のむこうに 今度はヒグマ

    5年生が来られると、自然学校に話が拡がります。

    喘息をお持ちの子どもさんは、それなりに下準備が必要です。

    ①喘息発作が起こらないように、あらかじめ吸入ステロイド療法を続けておくこと、②お布団のダニ対策をすること、③キャンプファイアーや飯ごう炊さんの時に煙を吸い込まないこと、④それでも発作が起きたときのために、発作を治める薬を持参すること。

    これらの注意点をきりんノートに書き記します。

    5年生の男の子には、もう一つ特別な注意を書き足しました。

    ⑤ヒグマに襲われた時に逃げる練習をしておくこと。

    「えっ、ヒグマ!」と言いますので、「大丈夫、ヒグマは男の子しか食べないから」と安心を与えます。

    「どんな練習をするの」と、なかなかいい質問をしますので、「友だちを前に押しやること」と、秘技を伝授します。

    自然学校が近くなると、楽しい会話で盛り上がります。

                           2010年4月14日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.13

    聴診器のむこうに 足指で携帯

    車椅子に乗られている女性の方が来られました。

    全身の麻痺が強く、言葉や手足の動きも、ママなりません。

    関節や筋肉の痛みもつよく、つらい毎日です。

    それでも携帯を使っているとおかあさんが言われます。

    「大きめのキーボードか何かを工夫されて、使っておられるのですか?」とお尋ねしますと、「ストローに割り箸を入れて、足の指の間にはさんで、携帯を打つんです。」と言われます。

    「前はパソコンを使っていたのですが、パソコンのメールでは、相手の方が開いてくれなかったら届きませんので。それで、携帯にしているようです。」

    「誰にメールをするの?」とお尋ねしますと、「お友だちとか、ヘルパーさんとか、自分で連絡するんですよ。」と代弁されます。

    強い気持ちがあれば、足指を使ってでも人とつながろうと願う、人間存在の素晴らしさを、お教えいただきました。

                           2010年4月13日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.10

    聴診器のむこうに 医者につける薬

    有名大学の薬学部に合格した男の子が来られました。

    それも現役での合格です。

    将来は研究の道に進みたいと言いますので、ひとつお願いをすることにしました。

    「ねえ、お薬を作って欲しいんだけど。たちの悪い医者を治したり、口の悪い医者を治したりするお薬を・・」

    そんな夢のようなお薬ができそうなら、わたしが喜んで試してみることにしますので。

    友だちのお医者さんも、何人でも紹介できますよ。

                           2010年4月10日いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.10

    聴診器のむこうに おたふく顔

    16才の女の子が、「おたふく風邪のワクチン」を受けることになりました。

    「おたふく風邪って、なに?」と聞きますので、「ほっぺたが腫れた、おたふくのお面があるでしょ。それと同じ顔になる病気」と答えました。

    おかあさんが、「あなたは、かかってもかからなくても、おんなじ顔をしてるでしょ。」とつっこみを入れられます。

    会話の間に、素早くワクチンの注射をし終わります。

    女の子は「先生、さすがプロ。気をそらしてくれて、痛くなかったわ。」とほめてくれます。

    いいえ、今回の殊勲者は、わたしではありません。

    うしろから素早くフォローに入られたおかあさんだと言うことを忘れないでくださいね。

                           2010年4月10日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.08

    聴診器のむこうに 漫才ブームも今は昔

    6年生になったばかりの男の子が来られました。

    「学校のクラブは?」と尋ねますと、「まんざいクラブ」と言う答え。

    「で、なにをするの?」と尋ねますと、「コンビを組んで、ネタを探して・・」

    「それで、それっで」と促しますと、「人数が集まらなくって、つぶれた。」と言います。

    悪いと思いながらも大笑いをしてしまいました。

    「漫才ブームも今は昔」。栄枯盛衰は世の常という思いを強くしました。

                          2010年4月8日

                          いたやどクリニック小児科 木村彰宏 

  • 2010.04.08

    聴診器のむこうに 南アフリカへ

    サッカーワールドカップが開催されるまで、あと2か月あまり。

    日本代表のユニフォームを来た子ども達が多くなりました。

    一人目は3年生の男の子です。

    カラスのロゴが入ったブルーのユニフォーム姿での診察です。

    おかあさんが「日の丸は付いてないでしょ。」と言われます。

    なるほど、代表ユニフォームとは微妙に違います。

    それでも記念写真をパチリ。

    二人目は5年生の男の子です。

    背番号16。「OKUBO」と書いてあります。

    「ネットで買ったんです。大久保選手の直筆のサインもあるでしょ。」と言われます。

    「高かったでしょうね。でも確かヴィッセルはまだ1勝しかしていなかったんですよね。」と余計なことを言いながら、また記念写真を撮らせていただきました。

    サッカー少年には、落ち着かない初夏が、もうすぐやってきます。

                           2010年4月8日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏 

  • 2010.04.05

    聴診器のむこうに 計算力のひみつ

    4月から2年生になる女の子に問題を出しました。

    「5たす8は、いくらかなっ?」と尋ねますと、すかさず「13」と答えます。

    あまりの早さに「えらいね、すごい計算力だね。」とほめますと、おかあさんが「この子はお金が好きなんです。」と言われます。

    うしろにいたおねえさんも「幼稚園のときには、毎日貯金箱のお金を数えていたんよ。」と言い添えます。

    ポケモンからカタカナを覚えるのも良し、お金から計算力を養うのも良し、学問の道に王道はありません。

    でも、貯めるだけではなく、お金の上手な使い方も勉強してくださいね。

                           2010年4月5日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.04

    聴診器のむこうに あおぞら くん

    1歳の男の子のカルテの名前を見ますと、青空くんと書かれています。

    素敵な名前でしたので、おかあさんに「どなたがつけられたのですか」とお聞きしました。

    おかあさんは「この子です。」と4才のおにいさんの頭をなでられます。

    青空がきれいかったので、おにいさんが「あおぞらにしよう。」と言ったそうです。

    おにいさんの気持ちを大切にされ、おとうと君に「あおぞら」という名前をつけられたご両親にも乾杯です。

                           2010年4月4日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏  

  • 2010.04.02

    聴診器のむこうに ワン・ニャン・チュー

    台風なみの大風が吹き荒れた夜は、眠れません。

    診察に来られた方に様子をお聞きしますと、みなさん家が揺れ動くほどの大風だったと言われます。

    7才の男の子に、「きのうの風で、イヌが飛んでいったのを見たよ。」と言いますと、きょとんとした表情。

    「うしろから、ネコも飛んでいったよ。」と続けますと、えっという表情。

    「そのあとから、ネズミも飛んでいったしね。」と言いますと、疑わしげな表情に変わります。

    「ワン・ニャン・チューって、うるさかったよ。」としめますと、横を向いてしまいました。

    もの事は何事も、切り上げ時が大切だということを教わりました。

                           2010年4月2日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.04.02

    聴診器のむこうに ぼくのランドセルは

    もうすぐ、一年生になる女の子がやってきました。

    ランドセルが気になりましたので、「ねえねえ、ランドセル何色のを買ったの」と尋ねますと、女の子は「あか~」と少しリズムをつけて答えてくれました。

    うしろから3~4才のおとうと君が、すかさず「ぼくは、くろ~」と言います。

    あまりのタイミングの良さに、おかしくて笑っていますと、おかあさんが「あなたは、まだ買わないでしょ。」と言われます。

    なぜ、おねえさんだけで、ぼくには買ってもらえないのか、おとうと君には得心がいかないようです。

    2才前のお孫さんをおもちの看護師さんが、「ラララ、ランドセルは・・・というランドセルのコマーシャルが好きなんですよ。」と唱われます。

    ランドセルは、学用品を運ぶだけではなく、子どもの夢を運ぶ魔法の箱のようです。

                         2010年4月2日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏  

  • 2010.04.01

    聴診器のむこうに おすわりできたよ

    7才の男の子が来られました。

    2月17日のブログで紹介しました、おとうと君に「お手」を教えたおにいさんです。

    「今度はおすわりを教えてね。」という、わたしのミッションを見事にクリア。

    おとうと君は、おすわりができるようになりました。

    おとうと君が大きくなったときに、ブログを見てどう思うのかと、少し心配になりました。

                           2010年4月1日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.03.30

    聴診器のむこうに お仕事おいそがしいですか

    5才の男の子の左腕を見ますと、キャラクター時計がふたつ時を刻んでいます。

    「時計を二つもして、お仕事おいそがしいですか。」と尋ねますと、「そんなのない。」と答えます。

    「お金はどうするの?」と尋ねますと、「落ちてるか、どっかにあるのをひらうもん。」と答えます。

    なるほど、そうして毎日のご飯代をかせいでいるのですね。

    うちの子どもは小さい時に、お金は銀行がくれるものと思っていたようです。

    今では「おこずかいは使わずに貯めておくもの。欲しいものは親やじいちゃん、ばあちゃんに買ってもらうもの」というたくましさを、身につけました。

                           2010年3月30日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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